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Perpetual Guardianが週4日勤務を試行

原文(投稿日:2018/08/31)へのリンク

今年初め、信託や遺言や財産を管理するニュージーランド企業のPerpetual Guardianでは、週に4日だけ働いて、新たな余暇を満喫しながら現在と同じ賃金を得られる8週間のトライアルを、同社の従業員240名の参加によって実施した。

CEOで創業者のひとりであるAndrew Barnes氏が主導したこのトライアルは、企業全体として働き方の将来についての議論に参加し、柔軟性と自由時間の増大が社員の生産性や企業利益にどのような影響を与えるかを探るために実施されたものだ。

プロセスの健全性を確保するため、2人の学術研究者が採用されて、調査の準備と実施、結果の解析にあたった。

公表された主な調査結果は、次のようなものだ。

  • リーダ報告によれば、作業実績は同じ水準に留まっていた
  • スタッフのストレスレベルは、45パーセントから38パーセントに低下した
  • ワークライフバランスは、54パーセントから78パーセントへと大幅に向上した
  • チームのエンゲージメントレベルは、64~68パーセントから82~88パーセントに向上した

Barnes氏によれば、

結果の分析から、トライアルの目的は十分に果たされていることが分かりました。ワークライフバランスやエンゲージメント、組織としてのコミットメント、業務への影響など、私たちが測定した重要な領域すべてにおいて肯定的な増加が見られました — これは仕事の満足度にもつながる、重要な組み合わせです。

同社の人事および能力管理の責任者であるChristine Brotherton氏は、今回の調査によって予期せぬ発見がいくつかあったと述べている。その例として、氏は、変化を受け入れるためにマネージャが与えた権限と、成功に向けたスタッフのモチベーションレベルの間に、明らかな関連性が見られたことを挙げた。

今回のトライアルがなければ発見する機会がなかったかも知れないような、リーダシップの欠点を特定することができました。

研究者の視点からは、定量分析と定性分析の両方において、肯定的な徴候の存在が確認されている。オークランド工科大学で人材管理を教えるJarrod Haar教授は仕事の満足度、エンゲージメントと維持力に関する数値を確認した上で、次のように述べている。

これらはトライアル前もすでに高い値を示していましたが、トライアル後はさらに大幅に向上して、そのスコアは、私がニュージーランドのデータで見た中で明らかに最高になっています。要するに、トライアルの肯定的な結果を反映して、従業員の職務態度も向上したということです。

これに関連して、オークランド大学ビジネススクールの上級講師であるHelen Delaney博士は、従業員がトライアルの準備や計画に携わったという事実から、結果的により大きな達成感を得られたとして、次のように述べている。

従業員は、より生産的かつ効果的に作業するために、手作業プロセスの自動化から仕事に無関係なインターネット利用の削減ないし禁止まで、多くのイノベーションやイニシアティブを企画しました。

The Guardian, CNBC, あるいはThe New York Timesといった場所で取り上げられ、ビジネス世界の注目が高まっているこのテーマについて、同社では、この議論に興味のある人を対象に、自社の週4日(four-day week)Webサイトを訪れるように勧めている。

InfoQでは、Barnes氏からより多くの洞察を得るべく、このアイデアがどこから生まれたのか、プロフェッショナルなソフトウェア業界など他の企業に適用するにはどうすればよいか、近い将来の計画や期待はどのようなものか、などを聞いた。

InfoQ: 週4日就業というアイデアは、どのようにして生まれたのでしょう?何か特別なきっかけがあったのでしょうか?

Andrew Barnes: 以前にエコノミストで、本当に生産的な時間というのは、1日の中で2.5時間にも満たない、という記事をいくつか読みました。そこから私は、この理由について考えてみることにしました。1. 社会的な理由 ... 人は毎日、コーヒーを飲んで時間を過ごしたり、社会的な話題について同僚と話したり、ソーシャルメディアを使ったりしています。2. 作業の中断。特にオープンプランのオフィスでは、作業が一旦中断されると、同じレベルの生産性を取り戻すまで20分以上を要します3. 例えば建築工事のように、不意に発生して、通常は週日でなければならないような家庭や家族の問題。そこで私が考えたのは、週にもう1日これらの時間を確保できれば、これらの行動が変わるのではないか ... もしそうならば、失った成果を補うために、日々の生産性を大幅に上げる必要はないのではないか、ということです。

InfoQ: あなたの意見として、トライアルでもっとも意外だったことは何でしたか?

Barnes: ワークロードに関する参加者の認識が、トライアル中は低かったという点です。ストレスレベルが下ってワークライフバランスが上るのは予想通りでしたが、それによってワークロードが管理が、5日の場合よりも4日の方がしやすくなるとは思っていませんでした。

InfoQ: 私たちInfoQは、プロフェッショナルなソフト開発に関する知識の共有とイノベーションのためのコミュニティですが、今回のアプローチはこのような業界でも有効でしょうか?

Barnes: 否定する理由は何もありません。重要なのは、どんなアプローチを採用したいのかをチームメンバに質問して、そのメソッドを導入し監視するための所有権を彼らに与えることです。

InfoQ: この方法を試す場合、会社全体に適用する必要があるのでしょうか、あるいはいくつかの領域のみ、場合によってはいくつかのチームのみを対象とすることも可能でしょうか?

Barnes: 私としては、可能な方法で試してみることをお勧めします。トライアルでは、少なくともひとつのチームが参加を中止しました。重要なのは、それが機能するという証明をして、学んだことをビジネス全体に適用することです。

InfoQ: いくつかのニュースWebサイトで取り上げられていますが、近い将来の具体的な計画は何かありますか?

Barnes: 今回のトライアルは小さな一歩ですが、国内外で大きな反応を呼んでいます。これによって、よりフレキシブルな業務体系に関する議論が今後も続けばと願っています。しかしながら、最初はまず、私たちの会社で週4日を恒久的に実施することです。現在は、法律的な条件について検討しているところです。

InfoQ: あなたのビジョンに関するお話を聞くと、単なる会社と従業員の行動の変化を越えるものを感じるのですが、3年後にはどのようなことを目指しているのでしょうか?

Barnes: 今回のトライアルと、ニュージーランドや世界中で採用されている同種の実験を見てください。もっとよい方法があるはずです。

 

会社で行われている活動に加えて、氏は他のリーダたちに対しても、その考え方を変えようとしている。以下に紹介するのは、氏の最近の言葉からの引用だ。

あなたの両親がもっと子供と多くの時間を使うことができれば、どうしてそれが悪いことでしょうか?結果として、もっとよい教育成果を生み出すのではないでしょうか?

自分自身や個人的な趣味費やす時間がもっと長ければ、精神衛生上の問題は少なくなるのではないでしょうか?毎日20パーセントの人たちを休ませることができれば、どんな意義があるのでしょう?

ですから私は、他のすべてのCEOにこの話をしているのです — 今度はあなた自身が試してください。

最悪のシナリオであっても、これまでよりも熱心で献身的な、活力に溢れた労働力を手に入れることができます。

 
 

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