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NGINXインタビュー: ソフトウェアロードバランシング、APIゲートウェイ、サービスメッシュの企業導入について

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原文(投稿日:2018/09/21)へのリンク

InfoQは先日、NGINX IncのRob Whiteley, Sidney Rabsatt, Liam Crilly各氏と席を共にして、ネットワークとデータセンタコミュニケーションの将来について、彼らのビジョンを聞くことができた。同社では、テクノロジの現状と自らの目標を鑑みながら、ソフトウェアロードバランサ、Ingressゲートウェイ、サービスメッシュの活用を目指す企業の“信頼できるアドバイザ”として、導入の“敷居を低くする(easy on-ramp)”ことを目標としている。

オープンソースと商用NGINXプロキシ、そしてWebサーバの実装が成功を収めたことを踏まえて、同社で製品管理を担当するバイスプレジデントのRabsatt氏は、NGINXは今や、ネットワークとAPIゲートウェイの領域にわたる効果的なコントロールと観測可能性を実現する、包括的なプロダクトスイートを提供するに至るとともに、さらにサービスメッシュの世界へも進出しようとしている、と述べている。NGINXが注目するのは、技術者の“フリーダムとフレキシビリティ”を実現ながら、必要ならばガイドレールの実装も可能とするようなソリューションの提供だ。同社のチームは、大企業がアプリケーションデリバリコントローラ(ADC)やネットワークの分野において、新たなテクノロジを採用する際のガイドとなり得る、“信頼できるアドバイザ”となることを目指している。

同社CMOのWhiteley氏と、プロダクト管理ディレクタのCrilly氏は、デプロイメントファブリックの変化(クラウドやコンテナ、Kubernetes)によって、ネットワーク世界における関心はハードウェアからソフトウェアに移行しつつある、という考えを述べている。企業における新たなファブリックの採用は、APIゲートウェイ(および一般的にはイングレス(ingress))の役割を変化させている。この世界のテクノロジはイノベーションの普及という意味において、いまだ“キャズムを超える”途上にある、というのがWhitely氏の考えだ。サービスメッシュは重要だが、今はまだ黎明期にあり、企業内におけるベストプラクティスが現れ始めたばかりだ。

Rabsatt氏はさらに、ソフトウェアアーキテクチャの変化によってますます複雑化する運用と、それを管理しようとする顧客の増加に対するNGINXの見解について論じている。これらの一因となっているのが、マイクロサービスやFaaS(Function-as-a-Service)のような、可動部分の多いアーキテクチャスタイルの採用だ。一部の大企業ではNGINXを使用したサービスメッシュ的なコンフィギュレーションが試行されているが、これは極めて先進的なものだ。しかしながら、顧客はこの方向性に対して意識と関心を持っており、現有のネットワークソリューションからこの新たな通信スタイルに移行するための方向性やロードマップを策定するためのガイダンスを求めている。

NGINXの顧客の約4割がAPIゲートウェイの実装にこのサービスを使用しており、同社にとって重要な領域のひとつである、とRabsatt氏は言う。その他にもオープンソースおよび商用のKong APIゲートウェイや、オープンソースのOpenRestyなど、多くのAPIゲートウェイソリューションがNGINXを使用して構築されており、この世界におけるコアNGINXテクノロジの適用性と強みをさらに立証している。APIゲートウェイを採用している開発チームは、企業が今後採用するネットワークやコミュニケーション全体との関係を考慮する必要がある、とRabsatt氏は警告し、技術リーダに対して、採用する製品における“ビジョンの完全性”を考慮するように推奨する。

NGINX Unit多言語Webとアプリケーションサービスがプロダクトスイートの中で果たす役割について、Whiteley氏は、開発と運用の間で競合する要請のバランスを支援するものだ、と説明する。開発者が、与えられた要件に対して最善の言語を選択できるように、より多くの言語ランタイムを望む一方で、運用担当者は、ランタイム実装と管理の複雑さの軽減を求める。複数の言語プラットフォームをサポートし、同じ抽象化と制御インターフェースを提供するNGINX Unitの能力は、この開発要件と運用要件の摩擦緩和の一助となっているのだ。

NGINX Unitは複数のユースケースに対しても実行できる、とCrilly氏は説明する。一般的なマイクロサービスベースのアーキテクチャにおいて、サービス毎にUnitをデプロイすることも、あるいは実行時にバインド可能な複数のマイクロサービス的なコンポーネントに対して、単一の大きなUnitをデプロイすることも可能だ。この選択肢によってエンジニアリングチームは、必要とするコンポーネントや粒度から独立して作業することが可能になると同時に、デプロイメントや運用モデルに拘束されない自由を得ることができる。Unit内でのNGINXプロキシ機能の緊密な結合により、一般的なサービスメッシュ実装の中では、サイドカーベースで配置されたプロキシよりも高いパフォーマンスを期待することができる。

結論として参加者は、エンタープライズ企業にとって、今後のADC分野で新たに現れるであろうベストプラクティスを常に注視し、自らの行動を洗練させることが重要である、という認識で同意した。NGINXチームは、ソフトウェアロードバランサやAPIゲートウェイ、サービスメッシュを、自分たちの現在のテクノロジ事情と目標に応じて導入しようとする企業の“敷居を低くする”ことを目指している。重要なのは、“自身のドメイン内にイノベーションの範囲”を持つことだ。これを実現するには、完全なネットワークとアプリケーションデリバリのソリューションに必要なさまざまなコンポーネントを選択し、それらを結合させることが必要となる。

 
 

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