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AmazonがマネージドブロックチェーンとQuantum Ledger Databaseを導入

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原文(投稿日:2018/12/03)へのリンク

先日開催されたAWS re:Invent 2018でAmazonは、スケーラブルなブロックチェーンネットワーキングの開発と管理を行うための、完全マネージドなサービスを新たに発表した。Amazonがこのサービスを開発したのは、ブロックチェーンアプリケーション運用のプロビジョニングとオペレーションを容易にするためだ。現在はオープンソースのブロックチェーンプロジェクトであるHyperledger Fabricをサポートしており、近日中にEthereumをサポートする予定だ。Amazonはさらに、Quantum Ledger Database (QLDB)という補完的なブロックチェーンサービスも導入している。これは、不可変で暗号的に検証可能なトランザクションログを格納するための、マネージドな台帳データベースである。QLDBを使用することで、ブロックチェーンのトランザクションログをQLDBにレプリケートして、SQLライクな言語で問合せることが可能になる。AWS re:Inventの詳細なニュースについては、InfoQによる同イベントのまとめ記事を参照してほしい。

ブロックチェーンのセットアップとコンフィギュレーションは、かなり厄介な仕事だ。Amazonの資料には、同社がこのサービスの構築を決定した理由が説明されている。

ブロックチェーンは、中央集権的なオーソリティを必要とせず、複数のパーティがトランザクションを実行できるアプリケーションの構築を可能にします。現在、既存のテクノロジを使ったスケーラブルなブロックチェーンネットワークの構築は、セットアップが複雑で、管理も容易ではありません。ブロックチェーンネットワークを作るためには、ネットワークの各メンバが、手作業によるハードウェアのプロビジョン、ソフトウェアのインストール、アクセス管理のための証明書の作成と管理、ネットワークコンポーネントの設定を行う必要があります。ブロックチェーンネットワークが稼働すれば、インフラストラクチャを継続的に監視すると同時に、トランザクション要求の増加やネットワークへの新たなメンバの加入ないし離脱などの変更を適用しなければなりません。

コンフィギュレーションとプロビジョンのニーズに対処するためにAmazonは、マネージドなブロックチェーンサービスを数回のクリックのみでプロビジョン可能な、ウィザード風のエクスペリエンスを開発した。さらにこのサービスでは、証明書の管理エクスペリエンスも提供されており、投票APIを通じて簡単に新メンバをネットワークに招待することができる。投票APIは次のような方法で新メンバの参加を簡素化する。

Managed Blockchainの投票APIでは、ネットワーク参加者がメンバの追加ないし廃止を投票することができます。新たなメンバが加わると、Managed Blockchainはそのメンバをローンチして、トランザクション要求の処理と台帳のコピーを保存するために複数のブロックチェーンピアノードの設定を行います。

Managed Blockchainでは、加入と離脱の管理以外のネットワークの継続的なメンテナンス作業も簡素化されている。計算やメモリやストレージの消費メトリクスを含む運用アクティビティはトレースされており、ネットワーク内のノードのパフォーマンスが低下した場合には、それを自動的に削除して、新たなノードを自動的に追加することができる。

イメージ引用: https://aws.amazon.com/managed-blockchain/

Amazon Managed Blockchainは企業の抱える多くの課題を解決するが、ブロックチェーンデプロイメント内のトランザクションの追跡には依然として問題が残る、とAmazonは考えている。

Hyperledger Fabricの既定のオーダサービスはトランザクションの完全な履歴を保存しないため、トランザクション履歴を追跡したり、必要に応じて回復したりすることは困難です。

トラッキングに関するニーズに対処するためにAmazonは、次のような処理が可能な、Amazon Quantum Ledger Database(QLDB)と呼ばれる新たなサービスを発表した

ブロックチェーンネットワークアクティビティの不可変なコピーを、完全マネージドな台帳データベースであるAmazon Quantum Ledger Database(QLDB)に複製します。これにより、ネットワーク外のネットワークアクティビティを分析して、トレンドに対する洞察を得ることが簡単になります。

Amazon QLDBはジャーナルを使って各データ変更をトラックする。このジャーナル内では、レコードの更新あるいは削除を行うことはできないが、クエリを介してアクセスすることは可能なので、さらなるデータ解析を行なうことができる。このデータの完全性を維持するため、QLDBは暗号化機能(SHA-256)を使用して、データの変更履歴に関するセキュアな出力ファイルを生成する。

QLDBはサーブレステクノロジに基づいているため、基盤となるインフラストラクチャをユーザが意識することなく、データベースをスケールアップすることができる。ただし、パフォーマンスに関する洞察を提供する読み込みや書き込み、格納イベントといった運用メトリクスを利用することは可能である。

Amazonは、このサービスが高いスケーラビリティを備えており、“一般的なブロックチェーンフレームワークの台帳に比較して、2~3倍のトランザクションを実行可能”であると主張している

イメージ引用: https://aws.amazon.com/qldb/

SmaatoやHealthdirectといったユーザが、QLDB上に自分たちのアプリケーションをすでに構築している。Healthdirectの場合、同社はQLDBを使用して規制遵守監査を管理している。ゼネラルマネージャのBruce Haefeleが次のように説明する。

Healthdirect Australiaは規制の厳しい業界で活動しているので、コンプライアンスデータが正確で監査可能であることは重要です。Amazon QLDBを採用したことで、システムの完全かつ検証可能なすべての変更履歴が得られるようになり、いつ、どのように現在の状態に到達したかを簡単に監査できるようになります。規制の順守はヘルスケア企業として避け難い現実であり、Amazon QLDBは当社にとって、配置されているコントロールを簡単に追跡し、経時的にどのような変化を遂げてきたかを簡単に理解できるようになります。

Amazon Managed BlockchainおよびAmazon QLDBサービスは、いずれもプレビュー版が公開されている。

 
 

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