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IoTセマンティクステストのためのオープンソースのテストウェア: Eclipse IoT-Testware

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原文(投稿日:2019/05/16)へのリンク

プロジェクトEclipse IoT-Testwareは、モノのインターネット(IoT)ソリューションを開発する業界と企業向けに、オープンソースのテストツールとプログラムを無償で提供している。TestCon Moscow 2019では、Fraunhofer FOKUSのシニアサイエンティストであるAxel Rennoch氏が、IoTの品質保証について講演した。

現在と将来において、IoTのプロダクトとソリューションは、家庭、産業、農業、交通など、日常生活のほぼすべての状況において、あらゆる場所に存在するようになるだろう、とRennoch氏は言う。IoTソリューションには一般的に、オープン性、分散性、ダイナミクス、スケーリング、ロングライフという特徴がある。そのため、IoTデバイスとサービスは、適合性、相互運用性、堅牢性、セキュリティなどに重点を置いてテストする必要がある。

誤用あるいは不正動作とそれに伴う低品質、サイバー攻撃といったものは、人々やその環境に深刻な影響を及ぼす可能性がある、と主張するRennoch氏は、その例として氏は、2018年のSpectreやMeltdownなどの脆弱性と、一般的なIoTプロトコルの実装が不十分なため、無効データを受け入れる可能性のあることで生じる脆弱性を挙げた。

テスト業界とコミュニティは、MQTT、HTTP、CoAPなどいくつかのメッセージング標準、さまざまなIoTプラットフォームに対応しなければならない。"ユーザと開発者のための普遍的な適応テストハーネスが必要だ"、とRennoch氏は述べている。

次にRennoch氏は、IoT-Tプロジェクトを話題にした。このプロジェクトには2つの大きな目標があり、2つの異なるコミュニティが協力している、と氏は説明する。最初の目標は、業界と企業が自社製品やソリューションを改善するための、オープンソースのテストツールやプログラムを無償で提供することだ。さらに、商業的なテスト施設や認証機関による認証行為に用いるリファレンスとして、広く受け入れられるテストカタログを確立する必要もある。

IOT-Tプロジェクトでは、テストウェアを公開する上で、Eclipse IoT-TestwareプロジェクトのEclipseオープンソースコミュニティと連携している。標準化の活動と資料刊行のため、プロジェクトでは、欧州電気通信標準化機構に新たなワーキンググループ(ETSI TC MTS Test WG参照)を創設した。

TestCon Moscow 2019での講演を終えたAxel Rennoch氏に話を聞いた。

InfoQ: IoTの世界における、テスト上のおもな課題は何ですか?

Rennoch: Eclipse Foundation内の開発者とユーザを対象としたIoT Developers Surveyによると、おもな関心事、すなわち私たちの課題は、セキュリティ、データ分析、接続性、相互運用性などです。セッションロックやパスワードの有効期間など、基本的なセキュリティ要件をチェックする必要がありますが、セマンティクスの解釈の相違という問題もあります。例えば、異なるデータモデル(互換性のないデータ形式)や、異なるIoTリソースやデバイスの表現(互換性のない記述言語)を使用している2つのIoTプラットフォームでは、完全な一致はありません("Interoperability in Internet of Things: Taxonomies and Open Challenges"参照)。

テストエンジニアには、あらゆる既知のテスト技術、特に複雑性、非同期性、リソース制約、長期運用フェーズに関する知識を適用する必要があります。プロトコルテストやAPIソフトウェアテスト、システムテスト、セキュリティテスト、パフォーマンステストを実施しなければなりません。経済的な理由からは、テスト自動化を可能な限り導入し、使用することも必要になります。

InfoQ: それらのIoTテストの課題に、どのように対処できるのでしょうか?

Rennoch: オープン性、多様なリソース、IoTシステムの潜在的脆弱性といった理由から、これらのテスト手法は、インタラクションを評価し、大規模な攻撃から公共インフラストラクチャを保護する上で有用です。

ファジングテスト(Fuzzing testing)のような、高度なセキュリティ技術も考慮しなければなりません。さらに、潜在するセマンティクス上の問題を発見するためには、異種IoTプラットフォームに関する相互運用性テストやプラグフェスト(plugfest)イベントの適用も必要です。

これらの技術は新しいものではなく、IoTで始めて使用されるものでもありませんが、新しい点は、IoT製品はフィールドで長年にわたって運用され、更新の対象となるため、IoTソリューションのライフサイクル全体、特に従来でいう受け入れテストの後にも、複数のテスト手法を適用する必要があることです。

InfoQ: IOT-Tプロジェクトでは、これまでにどのようなものを提供したのでしょうか?今後の予定についても教えてください。

Rennoch: 現在Eclipse Foundationから、IoT-Testwareのダウンロードと実行が可能です。MQTT、CoAP、部分的ですがOPC-UAでは、すでに利用可能です。実行ランタイム環境に関する深い知識がなくてもアプリケーションをサポートできるような、ユーザーフレンドリなダッシュボードが付属していて、複雑なインストールを避けるためにdockerコンパートメントに格納されています。

私たちETSIでは、MQTTとCoAP用の標準テスト目的カタログ、特にLoRaWan用のセキュリティテスト、IEC 62443で公開されている産業用セキュリティ要件のドラフト作成に関与しています。

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