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ディジタルトランスフォーメーションのための持続性と拡張性を備えたソリューション

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原文(投稿日:2019/07/18)へのリンク

"デジタルトランスフォーメーション"という用語を使う時、我々の取り得る変革アプローチは、今日の複雑化した組織を扱う上ではすでに無効となった、従来のリニアな管理手法に制約されるようになる。組織の変化に対して、持続可能でスケーラブルなソリューションを考案するためには、そのコンテキストと組織内部の動作を理解することに意識を集中する必要がある。

Lloyds Banking GroupのトランスフォーメーションデザインディレクタであるAlberta Soranzo氏は、Agile Summit Greece 2019で、 "Fit for Survival"と題してプレゼンテーションを行う予定である。カンファレンスはギリシャのアテネで、9月19、20の両日に開催される。Agile Summitの今年のテーマは、"世界を変えられるような素晴らしいチームの構築"である。

Soranzo氏によれば、組織におけるデジタルトランスフォーメーションの最大の課題のひとつは、そのタイトルそのものにある。氏の見解では、アナログからデジタルへの移行を重視するポイントはとうの昔に過ぎており、現在は我々の行うすべてのことがディジタル化されている。"トランスフォーメーションを、その形や性質や外見の著しい変化として、最も純粋な形で定義するならば、サービスプロビジョンのさまざまな側面のただひとつに注目することがどれほどの制約になるのかは、容易に理解できるはずです"、と氏は主張する。

我々が今まさに転換しようとしている、我々が運営する組織や企業は、システムそのものなのだ。Soranzo氏は、従来の管理手法は、それが直線的であるが故に、今日の組織に固有の複雑さを扱う上では効果がないと考えている。

変革の課題への対処は、コンテキストや経緯、フロー、ニーズを理解することから始まる。Soranzo氏によれば、環境と組織の内部の仕組みを完全に把握できているからこそ、そのニーズと需要を真に認識することが可能になる。そうなって初めて、問題を実際に組み立てて、持続可能でスケーラブルなソリューションについての仮説を立てることができるのだ。

ディジタルトランスフォーメーションの課題を克服する上で、氏は最初に、組織がどのように機能するかを理解するように勧める(意外に思えるかも知れないが、ほとんどの企業は、エンドツーエンドのプロセスがどのように機能しているかを実際には知らないのだ)。その上で、需要の隠れたドライバを完全に理解し、決定がシステムとそのユーザに与える影響について検討するのだ。

デジタルトランスフォーメーションの課題、現代的な管理モデルの適用、組織内の人材管理、市場のニーズに対して転換と適応の可能な組織設計について、Alberta Soranzo氏にインタビューした。

InfoQ: 組織のデジタルトランスフォーメーションにおいて、課題となるのは何でしょう?

Alberta Soranzo: 最善の意図をもってしても、変革イニシアチブのほとんどは、顧客エクスペリエンスを重視する、ディジタルジャーニーを短縮する、ディジタルセルフサービスに関する取り組みを増やす、といったように、ある種の最適化活動を中心とするものになります。その結果、真の変革実現の機会は、完全に失われてしまうのです。

それにもかかわらず、経営者はこのような最適化戦略の方を好んでいます。それらが肯定的で短期的な成果につながるものであり、肯定的なビジネス成果は収益として目に見えるものになるからです。

InfoQ: 古い管理モデルの使用から離れて、最新のモデルを採用するには、どのような移行をすればよいのでしょうか?

Soranzo: 本物の専門家を信頼する、ということを学ばなくてはなりません。"変革スペシャリスト"の提供する定型的な知識に頼るのではなく、社外あるいは社外を問わず、最前線の作業員から最上位の作業者まで、システム内で働く人たちの持つ深い専門知識を取り入れることが必要です。

変革を取り巻くサークルには、権限移譲や実験意欲に関するさまざまな話題があります。ですが組織にはリスクを避けようという傾向があるため、一般論的な条件や理論に基づいた"試行錯誤"から逸脱することを嫌い、自分たちの環境に合わせて修正しようとします。

最新のモデルとは、まさにそれです。汎用フレームワークでありながら、カスタマイズされたアプローチを構築するための、ゆるい青写真としてのみ使用することが望ましいものなのです。

InfoQ: 組織内の人材管理に関して、何かアドバイスはありますか?

Soranzo: 変革を決意した組織について語る場合、人材管理は非常に重要です。方向性を決定する強力なリーダーシップを始点として、学習に時間を費やす勇気と才能を備えたチームメンバがそれを囲み、学習成果を成果的な戦略に変える役割を担います。

個々のスキルと適性をビジネスやユーザの目標に一致させて、多様性のある作業力を雇用し、好奇心と敬意を持つ文化を促進することが、変革の成果を達成するための鍵だと思います。私のセッションでは、この人材管理の哲学と、組織がこのアプローチを促進する上で使用できるツールのいくつかを紹介する予定です。

InfoQ: 市場ニーズに対して転換と適応が可能な組織は、どのようにすれば設計できるのでしょうか?

Soranzo: 難しい仕事ですので、決定的な秘策というものがあるかどうかは分かりません。それに、ゼロから組織を設計することと、組織を再設計することには、大きな違いがあると思います。後者の方がずっと複雑な問題です。しかしながら、どちらの場合においても、システマティックなアプローチを取ることをお勧めします。水面下で物事がどのように機能し、適合しているかを明確に把握することから始めて、何が必要か、何は問題なく破棄可能かを理解することによって、システムから不要な複雑性を取り除き、フレキシビリティを阻害する制約を軽減することが可能になるのです。

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