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FacebookがエンボディドAI進展のためAI Habitをオープンソース公開

原文(投稿日:2019/07/08)へのリンク

Facebookは先日のブログ記事で、仮想ロボットなど具現化されたエージェントの訓練用に設計された人工知能(AI)シミュレーションプラットフォームであるAI Habitatを、オープンソースとして公開することを発表した。この技術を使用したロボットは、隣接する部屋から物体を掴む方法を学習したり、慣れない交通システムで移動する視覚障害者を支援したりすることが可能になる。

この技術では、インタラクティブな環境を重視したエンボディド(Embodied)AIを活用して、現実のシステムをトレーニングする。他の研究者がこれまで使用してきた、静的データセットに依存するアプローチとは異なるアプローチだ。

Manos Savva、Abhishek KadianOleksandr MaksymetsDhruv Batra各氏のFacebook研究者チームは、Al Habitatの機能を実証する研究論文を発表した。このサブフィールドを前進させるためにFacebookは、この技術をオープンソース化することを決定したのだ。同社の研究者であるSavva氏はさらに、次のように説明している。

AI Habitatを公開した目的は、このサブフィールドにおいて、再現性と標準的なベンチマークを実現する上で十分な強力さと柔軟性を持ち、オープンかつモジュール形式の設計を備えた、これまでで最も汎用的なシミュレータを広く提供することにあります。

FacebookのAIは、ニューヨーク市のストリートをナビゲートするエージェントを開発した時に、エンボディドAIについて検討していた。当時は自然言語処理(NLP)、コンピュータービジョン(CV)、強化学習(RL)を活用して人間とコミュニケーションをしていた。しかしながら、この頃の活動にはいくつかの課題があった、とSavva氏は、次のように説明する。

私たちの開発には、手軽に実験して結果を相互比較できるような標準プラットフォームが存在しないため、新たなプロジェクトをスクラッチから始めなければならないという、エンボディドAI研究のより大きな状態が反映されています。仮想環境の構築やレンダリングの持つリソース集約的な性格を考えると、ImageNetやCOCOのような標準ベンチマークのある他のサブフィールドと比較した場合に、これが研究の進展を遅らせる原因であるといえます。

AI Habitatスタックの最初のレイヤは、Facebook Reality Labs(FRL)がGitHubで提供しているReplicaデータセットのようなシミュレータだ。シミュレータには、複数階のアパート、小売店、その他の屋内スペースのリアルな3D復元が含まれている。このレベルの詳細を提供することにより、仮想空間と物理空間の間のトレーニングのギャップを減らすことができる。

イメージ引用: https://ai.facebook.com/blog/open-sourcing-ai-habitat-an-simulation-platform-for-embodied-ai-research/

これら3Dデータセットの活用に加えて、シミュレータでは、アセットをすばやくレンダリングすることができる。従来の手法と比較した場合AI Habitatのパフォーマンスを、Savva氏は以下のように特徴付けている。

ベンチマークテストによると、複数プロセスのHabitat-Simは、他のシミュレータの一般的なレートである100FPSに対して、単一GPUで10,000フレーム/秒(FPS)の詳細なシーンをレンダリングすることができます。このような速度の向上は、視覚ベースのエンボディドラーニングに関わります。エージェントが一定期間に経験するフレームの数が増えれば、トレーニング効率を直接的に高めることができるからです。

AI Habitatのアーキテクチャの第2のレイヤは、API経由で視覚的ナビゲーションや質問/回答などのタスクを公開するHabitat-APIである。このAPIはシミュレータから分離されており、AI Habitatスタックにさまざまなコンポーネントを適用可能にするモジュラリティを開発者に提供する。

AI Habitatスタックの第3のレイヤ内では、開発者がトレーニングと評価用のパラメータを指定することで、複雑さ設定の変更や、どのメトリックを重視するかを指示することができる。

AI Habitatは現在公開されており、最近では自律航法の課題でのテストや、CVPR 2019のHabitat Embodied Agentsワークショップなどで使用されている。Facebookでは今後、他のアバターとのアイデア交換やリアクションといったコラボレーションを可能にする、リアルなアバターの導入を目指している。

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