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VRとARを疼痛管理に利用する

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原文(投稿日:2019/09/13)へのリンク

Women in Tech DublinのDeepa Mann-Kler氏によると、没入型技術(Immersive technologies)は過去30年間、痛み、PTSD、恐怖症、不安、幻肢症候群の治療に使用されてきた。人間の脳はテキストの60,000倍の速度で画像を処理し、脳に送信される情報の90%は視覚的なものだ、と氏は説明する。我々は本質的に視覚的であるので、VRやARを痛みへの対処に使用できる、というのが氏の主張だ。

深呼吸は自然界で最も強力な薬のひとつである、とMann-Kler氏は言う。Neonが開発したBreatheVRは、視覚によるディストラクション(distraction、気晴らし)効果と深呼吸の組み合わせによって"没入型ディストラクション(immersive distraction)"状態を作り出す、Gear VRおよびOculus Go用の仮想現実アプリケーションである。呼吸を利用し、視覚的な応答を提供することにより、リラックスした深い呼吸状態に到達できるようにする。

BreatheVRが仮想現実の能力と深呼吸を組み合わせて、ユーザに対して没入感のあるエクスペリエンスを作り出す方法について、Mann-Kler氏は次のように説明する。

ヘッドセットをオンにすると、ユーザは明るくカラフルなアニメーションの牧草地に入り、落ち着いた音楽や鳥の声を耳にします。次にユーザは、鼻から息を深く吸い込み、口から深く吐き出すように指示されます。この時の呼吸はマイクによって検出されていて、仮想現実環境の中で葉が巻き上がります。このシーケンスが繰り返されて、横隔膜呼吸のパターンに入るようにユーザを促すのです。

Neonの開発したもうひとつのゲームは、ゲームセンタで馴染みの"モグラ叩き(Whack a mole)"ゲームをベースにした拡張現実ゲームで、"Whack A Mo"と呼ばれている。スマートフォンやiPadで表示した時に、現実世界にデジタル画像をオーバーレイすることをAR(拡張現実)と呼ぶ。

ARにもVRと同じような没入型ディストラクションの効果がある、とMann-Kler氏は言う。

Whack A Moのプレイ上の要素は、子供の注意を最大化することと、3つの難易度レベルを追加したことです。これによって8~12歳の年齢層に対応しすると同時に、子供がゲームを繰り返しプレイすることを確実にしています。

Mann-Kler氏によると、没入型技術と仮想現実がもたらす治療上のメリットを実際に証明するには、臨床的な指導による無作為化対照試験(randomised control trials)が必要である。短期的には、服用しなければならない薬物や鎮痛剤の量を最小限に抑えることができるならば、実施するメリットがある、と氏は述べている。

Women in Tech Dublin 2019で講演を行った、アルスター大学(Ulster University)のImmersive Futuresの客員教授であるDeepa Mann-Kler氏に話を聞いた。

InfoQ: 慢性疼痛の患者と医療従事者が参加したBelfast pain hackathonに参加されていますが、結果はどのようなものでしたか?

Deepa Mann-Kler: 2017年6月3日にクイーンズ大学ベルファストで、Innovation Lab、財務省、公衆衛生局がPain Hackathonを実施しました。当日朝のセッションには、慢性疼痛患者と医療専門家が参加して、慢性的な痛みに苦しむ人々が、痛みを緩和するためにさまざまなツールにアクセスする必要があることを訴えました。

その際に医療専門家から、患者が報告した唯一かつ最大のメリットが意識的に呼吸することを教えられたことだった、という話があって、これを基にBreatheVRのアイデアが開発されたのです。

InfoQ: 医学的治療を受けている子供たちをサポートする上で、拡張現実はどのように利用できるのでしょうか?

Mann-Kler :ベルファストの小児病院のプレイセラピストからアプローチを受けています。彼らは化学療法、特に定期的なカニューレ処置を受けている子供たちに、この技術を使いたいと強く考えていました。VRは適切なソリューションではありませんでした。子供たちと家族が同時に手順を見られるようにしたかったのです。どんな種類のものでも、医療処置を受けるということは、子供たちにとっては恐怖であり、ストレスにもなり得ます。処置が先に進めなければ、治療が遅れて、NHS(国民保険サービス)への圧迫や費用が発生する可能性があります。

子供の注意をさらに引くために、このゲームは病院でのみできるようになっています。共同設計と共同制作は、このプロセスの中心的な価値であり、Neonのすべての活動の中心にあります。Whack A Moは、Belfast小児病院で6か月のパイロット試験を実施しています。私たちがゲームを作りたかったのは、子供たちが想像力や器用さ、身体的、認知的、感情的な強さを発展させながら、創造性を発揮できるからです。さらに遊びは、健康な脳の発達にとって非常に重要なのです。幼児期の子どもたちは、遊びを通して周りの世界と関わり、交流しています。遊びは私たち大人にとっても重要であり、ストレス解消剤としての笑いにつながることも少なくありません。ですから、ARの魔法、無限の想像力、そして遊びの創造性を組み合わせるのは、ごく自然なことだと思うのです。

InfoQ: 没入型テクノロジを使用する場合、倫理的側面としては何を考慮する必要がありますか?

Mann-Kler :テクノロジの能力を研究すればするほど、ひとつの疑問がより重要になります — 人間であるということは何か、人間性におけるテクノロジの役割とは何か、ということです。

私はTEDxトークの"Being Human"で、倫理的側面について次のように話しました。

"開発したものを将来的に保証しなければなりません。意図した結果と意図しない結果を、すべて予測する必要があります。最悪の結果と最も成功した結果を想定しなければなりません。あらゆるレベルにおいて、倫理を検証する必要があります。メリットを求める人々に関与して、彼らに力を与えなければなりません。人々のニーズを満たすことを目的としたソリューションの設計においては、偏見と差別を抑える必要があります。人工知能、マシンラーニング、アバターなど、あまりにも多くの変化が、途方もない速さで私たちに向かってくるので、現実と非現実の境界は曖昧になり、時代遅れなものになるでしょう。しかし、これらすべてを通じて、人間であることを見つめなければ、私たちは絶滅する運命にあるのです。"

InfoQ: 健康と幸福のための没入型テクノロジの導入は、今後どのようになると思いますか?

Mann-Kler: テクノロジはウェアラブルになり、完全にパーソナライズされ、個々のニーズとバイオデータに対応するようになります。AR、複合現実、ウェアラブルといった機能が実現されたことで、VRの将来性は限定的なものになるでしょう。

私たちの生理機能が十分にモニタされてパーソナライズされるような共同的アプローチが手に入って、予防医療の観点から正しいものを食べるようになったなら — 私たちより先に何が必要かを知っていて、冷凍冷蔵庫が直接スーパーマーケットに注文してくれたなら、素晴らしいことではないでしょうか?

電気について話さないのと同じように、テクノロジが話題に上ることもなくなるでしょう — 目的を達成するための手段に過ぎなくなるのです。

恐ろしいのは、私たちの健康データが利益のために使用され、商品化されることです。

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