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GoogleとApple、iOSおよびAndroid用の接触者追跡ソリューションの開発で協力

原文(投稿日:2020/04/12)へのリンク

GoogleとAppleは、iOSおよびAndroid用のBluetoothをベースとした接触追跡ソリューションの開発で協力することを発表した。この活動は、陽性と診断された人物との接触をユーザに警告することによって、COVID-19ウィルスの拡散を防止するツールの提供を目的としたものだ。

COVID-19は感染した個人との濃厚接触によって伝搬するものであるため、公衆衛生機関では、接触者の追跡を拡散抑止に有効なツールとして位置付けています。世界中のおもな公衆衛生機関や大学、NGOの多くが、オプトイン形式の接触者追跡技術のための重要な活動を続けています。

COVID-19に対抗するために接触者追跡ソリューションを開発するというアイデアは、新しいものではない。実際に3月には、シンガポールがTraceTogetherというモバイルアプリをローンチしており、EUでも同様なソリューションを、EUの厳しいプライバシ規約への準拠という制約に沿って検討中である。トロント大学やペンシルバニア大学、MITといった研究機関でも、プライバシ保護の可能な接触者追跡ソリューションを開発している。その中でも、MITの研究者が開発したPACTと呼ばれるシステムは、AppleとGoogleが開発を目指すものに非常に近い。

共同発表によると、両社は5月に、Bluetooth LEを使用して30フィート内に接近したデバイス間の接触を追跡することの可能な新APIをリリースする。このAPIは、接触者追跡に基くソリューションを構築したアプリにアクセスすることにより、潜在的な感染リスクの通知が可能である。ただし、GoogleとAppleの計画はここで終わらない。第2フェーズでは、新APIを使用したCOVID-19接触者追跡のフルソリューションを提供するために、プラットフォームの拡張を行う予定である。

これはAPIよりも堅牢なソリューションで、オプトインを選択さえすれば、より多くの個人の参加が可能であると同時に、アプリや行政保健機関のより広範なエコシステムとのインタラクションが可能になります。

Appleは新たに、個人情報保護Bluetoothプロトコル暗号キースケジューリング機構アプリケーションレベルAPIという3つの仕様を公開した。

これらの資料によると、AppleとGoogleの接触者追跡ソリューションでは、2つの暗号キーが使用される。ひとつはTracing Keyで、ユーザ毎にユニークであり、デバイス外に通知されることはない。もうひとつのDaily Tracing Keyは、Tracing Keyをベースとして、毎日生成されるキーである。Daily Tracing Keyは、Rolling Proximity Identifierの生成に使用される。ユーザが承認した場合に、Bluetoothを通じて実際に交換される情報がこれである。この情報はTracing Keyとは関連付けられないことが保証されており、これによってデータのプライバシを確保している。

ユーザがCOVID-19で陽性と診断された場合、自身のDaily Tracing Keyを中央サービスに送信する許可を行う。収集されたDaily Tracing Keyには日数情報が付加されて、Diagnosis Keysと総称される。クライアントは周期的にDiagnosis Keysのリストをフェッチし、それらを使って関連するRolling Proximity Identifierをすべて導出する。これらのRolling Proximity IdentifierとBluetoothスキャンによって検出したものとをクロスマッチすることで、潜在的なCOVID-19接触の検出が可能になるのだ。

Wiredが伝えているように、GoogleとAppleの広報によれば、OSレベルで接触者追跡を実装することにより、それを利用するアプリがより効果的かつエネルギ効率のよいものになる。さらに、このソリューションを本当に効果的なものにするため、Appleは、Bluetoothアクセスの制限をバックグラウンドアプリに上げるように求めている。Androidの場合は、プラットフォームのフラグメンテーションに加えて、キャリアによるデバイスシステムのアップデートがGoogleのコントロール下にないことから、問題はさらに多い。そのためGoogleは、Google Play Servicesを通じて、接触者追跡フレームワークをAndroid 6.0以降のすべてのデバイスで動作可能なものにする計画である。

プライバシに関して、Tech CrunchのレポータであるMattew Panzarino氏は、AppleとGoogleのアプローチに対してアメリカ自由人権協会(ACLU)が慎重な見方をしている(cautiously optimistic)ことを伝えている。ACLUでサーベイランスとサイバーセキュリティを専門とする弁護士のJennifer Granick氏は、次のように述べている。

AppleとGoogleが、プライバシと情報収集に関する最低限のリスクを回避可能と思われるアプローチを発表したことは評価できますが、改善の余地はまだあります。接触者追跡アプリが今後も自発的かつ分散的なものであることと、公衆衛生の目的とこのパンデミック期間に限って使用されるものであることを確認するために、私たちは今後も警戒を続けるつもりです。

GoogleとAppleによる接触者追跡はまだ初期段階だが、COVID-19は世界中に広がっている。InfoQでは、この件を含む感染に対処する技術的取り組みに関して、新たな情報が入り次第お伝えする予定である。

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