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Microsoft Build 2020のハイライト

原文(投稿日:2020/05/27)へのリンク

Microsoftは先週、第10回のBuildを開催した。BuildはMicrosoftのテクノロジを使用する開発者を対象に、年次で開催されるカンファレンスである。このオンラインイベントでは、Blazor WebAssemblyの一般向け提供開始間もなくリリースされる.NET 5の最新情報Azure Static Web AppsIoT人工知能に関する新プロジェクトなど、重要な発表やリリースが目白押しだった。

今年のBuildは、昨年までのエディションとは大きく様変わりしていた。昨今のパンデミックの状況を考慮して、Microsoftは、すべて参加無料のオンラインイベントという形式に変更することを決定したのだ。3日間の集会に代わるオンラインカンファレンスでは、48時間にわたって多くのディジタルセッションが並行して開催された。ここ数年と違うもうひとつの点は、そのセッションの性格だ — プロダクトの発表に合わせたものよりも、焦点を定めた開発者指向のコンテンツが多くなっていた。

カンファレンスはMicrosoft CEOのSatya Nadella氏による基調講演から始まった。氏はCOVID-19の状況に触れ、この危機に対するハイテク企業の対応に賛辞を送った。講演に続く8トラックの並行セッションでは、Microsoft Azure、.NET、Windows、Office 365、そして先日買収したGitHubに関する発表が行われた。プログラムには多数の開発チュートリアルやQ&Aセッションも含まれていて、Microsoftの開発チームや、Microsoft製品のさまざまな面に注目するグループが登壇した他、地理的に離れた開発者をつなぐためのセッション — "コミュニティコネクション"も行われた。

Microsoft .NET開発に最も関連の深い発表は、ASP.NET Blazor WebAssemblyの公式リリースと、.NET MAUIの導入に関するものだった。Blazorは、JavaScriptに代えて.NETとC#を使用して単一ページアプリを開発するための、コンポーネントベースでクロスプラットフォームのオープンソースUIフレームワークである。Blazor WebAssemblyは、WebAssemblyベースの.NETランタイムを使用することで、クライアント上のブラウザでBlazorコンポーネントをホストするものだ。今回のリリースと既存のBlazor Serverを組み合わせることで、フルスタックの.NET Web開発を目的とした、実務レベルのMicrosoft製フレームワークが提示されたことになる。 ただし、これがLTSリリースでない点には注意が必要だ — .NET 5がリリースされれば(年内)、アップグレードが必要になる。

.NET MAUI(Multi-Platform App UIの短縮形)は、Xamarin.Formsツールキットを進展させたものだ。Android、iOS、macOS、Windowsをサポートする単一のモバイル開発スタックの提供を目標としており、複数のプラットフォームをターゲットとする単一プロジェクトによる"Single Project Developer Experience"を謳い文句としている。.NET MAUIの一般公開(GA)は2021年11月(.NET 6と同時)の予定だが、プレビューリリースは年内に開始される。

Visual Studio関連でもさまざまなリリースがあった — ML.NET Model Builderと.NET Core用の新しいWindows Formsデザイナが、MicrosoftのIDEの一部になった(いずれもVisual Studio 2019バージョン16.6でプレビュー機能として提供されている)。もうひとつの関連リリースは、Visual StudioをベースとしたMicrosoftのクラウドホスト型開発環境であるVisual Studio Codespace(旧名:Visual Studio Online)へのIDEの接続がサポートされたことだ。この新機能は現在、プライベートプレビューで利用可能である。

その他のMicrosoft .NET関連のリリースは、Entity Framework Core 5.NET 5のプレビュー、近く登場するC# 9.0に関する情報、Kubernetesベースのマイクロサービス開発のための試験的ツールであるProject Tyeなどだった。興味深いのは、F# 5に関するリリースが(Preview 4が同時期にリリースされたにも関わらず)何ひとつなかったことだ。  

Microsoft Azureの分野では、さまざまな方面でいくつかの発表があった。Azure CosmosDBには多くの新機能と能力拡張が行われた。また、Azure Cosmos DBサーバレスが数ヶ月以内にプレビュー版として提供される予定である。Azure Machine LearningによるAzure Cognitive Searchの拡張について、非常に興味深いセッションもあった。

その他Azure関連では、Azure Quantum(量子コンピューティング開発用)のプレビュー版に加えて、Azure Static Web Appと呼ばれる、GitHubリポジトリからフルスタックのWebアプリを自動構築してAzureにデプロイするサービスがリリースされている。

IoTの分野では、BonsaiとMoabというプロジェクトが発表された。Bosaiはマシンラーニングを基盤とするコンポーネントで、自律的システムの構築、運用、管理に使用する。Moabは3Dプリント可能なオープンソースの自己バランス型ロボットで、Bonsaiとともに、実用的な自立型コントロールシステムの構築方法の教育に使用することができる。

Windowsプラットフォーム関連で最も重要な発表のひとつがProject Reunionだ。これは、WindowsデスクトップアプリとUWPアプリの統合を目指す活動の公式名称で、考え方としては、さまざまなWindowsデバイスで動作可能な"ユニバーサル"アプリの構築を可能にするものだ。Project Reunionの発表には、Windows SDK .NETパッケージ、すべてのWindows WinRT API用の.NET interopなどが含まれていた。その他、Windows Terminal 1.0とWindows Package Managerのプレビュー版がリリースされた他、次世代のWindows Subsystem for Linux(WSL2)に関しても、GPUのサポートやリアルビルトインLinuxカーネルなど多くの新機能が発表された。

最後に、Project Cortex — 人工知能(Artificial Intelligence)とMicrosoft Graphを使用してさまざまなソースからナレッジネットワークを構築するMicrosoft 365のサービス — が"初夏"に一般公開(GA)される。Microsoft 365には、Microsoft Listsという生産性アプリケーションも追加される予定である。また、Microsoft Teams用のサードパーティツール開発を可能にするエクステンションがVisual Studio Codeに提供される。

カンファレンスのプログラムには、GitHubプロダクト(AzureやVisual Studioとのインテグレーションから、DevOpsプラクティスやフォーカスグループまで、)、Rust、Java、JavaScriptなどに関連する、多数のチュートリアルやディスカッションも含まれていた。GitHub関連のセッションの大半は、先日のGitHub Satellite 2020カンファレンスをフォローするものだった。

全体的にセッションは、統合化されたプラットフォーム指向の開発ストラテジに関連するものであったと言って差し支えないだろう(この方向性は、.NETエコシステムに対するMicrosoftの最近の活動とも一致している)。この文脈から、イベント期間中に改めて公開されたセッションのひとつが、Scott Hanselman、Scott Hunter(共にMicrosoft)両氏による、.NET 5の現状と将来に関する90分間の録画済ビデオを要約したものだった。

Buildから録画されたセッション(その他のMicrosoftからの一般発表を含む)はすべて、Channel9またはMicrosoftのYouTubeチャネルで見ることができる。

 

 

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