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チームゲームを使ってレトロスペクティブを充実させる

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ゲームはレトロスペクティブに新鮮さを吹き込み、事の進め方についての実りある議論を可能にする。議論から生まれるパターンは、チームの強みや弱みに対する洞察を与えてくれる。気遣いのあるコーチングやファシリテーションは、全員による貢献を可能なものにする。

Laurence Wood 氏は、AginextとDigital Leadership Meetupが主催したWorld Retrospective DayのAgile Lean Coffee(オンライン)で、リッチなレトロスペクティブゲーム(the richer retrospective game)の実践について講演した。

リッチなレトロスペクティブチームゲームを行う時には、チームないしグループがテーブルや壁の近くに集まるか、あるいはZoomなどを使ったブレイクアウトルームを使用する。参加者は順番にカードを読み、自分たちがなりたい姿と、それをどの程度実現できているかを考えるためのステートメントを受け取る。皆が話し始めると、現在の状況が本当に望ましいものなのかどうか、おそらく意見が分かれるだろう、とWood氏は言う。その後、コンセンサスに達したらそのカードを戻し、次の課題へと移るのだ。

最終的には、壁やテーブル上に形作られた回答の形として、各チームのパターンが現れる。これらのパターンから、チームが他の部分で洞察を提供するために使用できる強みと、支援の要否や方法を決定する弱みという、価値あるポートフォリオのビューを形作ることが可能になる、とWood氏は言う。

アジャイルの世界にいる人たちは、ゲームによる学習の支援や重要なトピック領域の探索という考え方には慣れている。常に誰にでも当てはまるものではないが、気遣いのあるコーチングやファシリテーションは一般的に、各人が自分のやり方で貢献することを可能にする。一方で、上級管理者やアジャイル以外の人たちはこの考え方にあまり慣れていないので、簡単過ぎるように見えるゲームには懐疑的な場合がある。Wood氏によれば、ゲームを使用する理由について全員の理解を得るために、ここで重要なのはファシリテーションである。単なるゲームよりも、アクティビティないしワークショップと呼んだ方がよい場合もあるかも知れない。

アジャイルレトロスペクティブでのゲームの実施について、Laurence Wood氏にインタビューした。

InfoQ: リッチなレトロスペクティブチームゲームで使用するカードには、どのようなことが書かれているのでしょう?

Laurence Wood: "ハッピーなチームである"というように、どのチームにも質問できる単純で一般的なものから、"チームウォールに張り出されているバーンアップ(burn up)/バーンダウン(burn down)に誇りを持っている"というようなアジャイルに特化したものまで、非常に幅の広いステートメントです。それぞれの言葉は注意深く選択され、長年に渡って洗練されたものです。

考え方として、一部のステートメントは、チームで継続的改善を実践しようという場合のよい出発点になります。そのようなチームはおそらく、初めてアジャイルにトライしようとしているのでしょう。その他のカードには、最も成熟したアジャイルチームが、さらなる改善を検討する場合を想定してデザインしたものもあります。自分たちの仕事のやり方に合ったペースで前進すればよいと思います。

手っ取り早く始めるためのインストラクションも用意していますが、チームがそれぞれの状況に合わせて、さまざまな使い方を見つけてくれると嬉しいですね。自分たちに一番合うようにカードを追加したり、調整するようなことも可能になるかも知れません。

InfoQ: ゲームを円滑に進めるためには、何に注意すればよいでしょうか?

Wood: 重要なのは、全員が同じレベルで参加できるように、目を配り続けることだと思っています。一般的にゲームは、人々の注意を引いて、トピックや課題についてより深く考えさせるためのツールなのです。ですから、メンバが積極的に参加しないようであれば、ペースや変化の方向を変えなくてはなりません。また、新しい、おそらくは予期していなかった方向へ、勇気を持って進んで行くのも素晴らしいことです。このようなセッションは、最も価値のあるものになることでしょう。

InfoQ: アジャイルレトロスペクティブにゲームを導入することのメリットは何ですか?

Wood: レトロスペクティブは時間とともに退屈なものになると言われますが、ゲームはそれに新鮮さを吹き込んでくれます。リッチなレトロスペクティブチームゲームは常に、改善に関するリッチな会話を生み出します。よりよくなるためには具体的に何をすればよいのか、ということについて、より広く、より深く考える機会を与えてくれるのです。

優れたチームであっても、改善を続けなければ後退してしまいます。お互いがさらにチャレンジするための安全な設定を、ゲームが提供してくれるのです。ゲームの場では、必然的に発生する批判によって相手の気分を害するリスクを大幅に低減できるので、互いにより多くを要求することが可能になります。

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