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テーマは可観測性 - CNCFが最新のTechnology Radarを公開

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原文(投稿日:2020/09/19)へのリンク

CNCFは、季刊であるTechnology Radarの第2刊リリースした。今回のテーマは可観測性である。Radarの目標は、クラウドネイティブテクノロジの導入時に"エンドユーザが積極的に使用するツールは何か、推奨するツールは何か、使用パターンはどのようなものか、といった情報を共有"することにある。

調査で判明したことはウェビナとして公開され、スライドも入手可能である (PDF)。Radarプロジェクトを統括するのは、CNCFのエコシステム担当VPのCheryl Hung氏である。可観測性に関するRadarのデータ収集および解析を行ったチームには、Kunal Parmar氏 (Box)、Marcin Suterski氏 (NY Times)、Jason Tarasovic氏 (payitgov.com)、Jon Moter氏 (Zendesk) らが名を連ねている。2020年6月に継続的デリバリをテーマとして公開された最初のRadarに続いて、今回が2回目となる。

この調査は元々、ツールやテクノロジの観点において網羅的なものであることが目標ではない。特定の状況に対して完璧なテクノロジを処方するような明確な位置付けではなく、"ガイドとなることを目的としている"のだ。

可観測性を調査したRadarチームは、可観測性に関するさまざまなツールやソリューションを対象として、32の企業から283件の投票を受け取っている。回答者はさまざまな分野にまたがっていたが、最も多いのはソフトウェア企業からのものだった。中~大規模企業という微妙なバイアスが存在するかも知れない、とHung氏は記している。

CNCF Tech Radarでは、ソリューションを3つのレベル、すなわち"リング" — Adopt、Trial、Assessに分類する。今回のRadarのAssessのリング — "コンセンサスが最も低い"とみなされるもの — には、ThanosOpenTelemetryKialiが含まれている。ただし、ThanosやKialiと違って、OpenTelemetryは仕様であってツールではない。Trialリング — "今後期待される"ツール — には、Jaeger、Splunk、Lightstep、StatsD、Cloudwatch、Sentryが含まれている。最後のリングであるAdopt — "広く採用されている"もの — には、Prometheus、Grafana、Elastic、Datadog、OpenMetricsがある。SplunkStatsDなどのツールはかなり前から存在し、多くの企業によって広く使用されている、という事実から考えると、このグループ分けは完全とは言えない。また、ウェビナでチームメンバのひとりが指摘していたように、AWSユーザは最終的に、Cloudwatchを何らかの形で使用するようになる。興味深いのは、TrialとAdoptのリングにSaaSと自己管理型ソリューションが混在していることだ。

チームはさらに、今回の調査で明らかになった3つのテーマについてもレポートしている。最初のテーマは、最も多く採用されているツールがオープンソースであることだ。講演者のひとりは、これらOSSツールの運用のために企業が多くの時間とエネルギを費やしている点は注目に値する、と発言している。このようなツールは、小規模なデプロイメントをテスト的に立ち上げるのは容易なのだが、拡張して大規模な運用を行うには多大な労力と時間を必要とするのが一般的だ。

第2のテーマは、可観測性の分野に統合的なソリューションが存在しないことだ。大部分の企業が複数のツールを使用している。調査メンバのひとりは、"回答企業の多くは、ひとつ以上のツールに強みを持っているのですが、必ずしもすべてではありません。それが複数のツールが選択される理由なのだと思われます"、と指摘している。さらに、ひとつのツールから別のツールに移行するコストは非常に高く、それが問題点であるというのは共通した認識である。

最後のテーマは、併用されることの多いPrometheusとGrafanaに関するものだ。PrometheusとGrafanaのインテグレーションは2015年から、データソースとしてGrafanaに含まれている。

ウェビナでも述べられていたように、2020年8月に実施された今回の調査結果は、調査対象となった企業の範囲に制約されたものである点に注意する必要がある。ほとんどの企業はレポートに登場したよりも数多くのテクノロジを運用しており、今回の調査はそれを"興味深く有用な"サブセットに絞り込もうという試みなのだ。今後のRadarで取り上げる話題については、GitHub issueで提案ないし投票することができる。

 

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