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テストツアーのペアリングと学習で学んだこと

原文(投稿日:2021/01/14)へのリンク

チーム唯一のテスタ(solo tester)であるParveen Khan氏は、他のテスタや開発者たちとリモートでペアを組んでトピックを調査するという、テストツアーを行うことにした。このツアーは氏にとって、パフォーマンステスト、ALとML、可観測性、スケッチノーティング(Sketchnoting)といったテストトピックを探求する、学びのテスト体験になった。これらのセッションを行う中で、ペアリングや共有が自分自身の成長に有益なものであることも経験した。

Square Marble TechnologyのシニアテストエンジニアであるParveen Khan氏は、自身のテストツアーの経験をAgile Testing Days 2020で公開している。

チームでただひとりのテスタであることから体験した課題について、氏は次のように語っている。

何よりも大きいのは、テストに関するすべてのことについて学び、共有し、ブレインストームする機会のないことです。開発者やプロダクトオーナとペアを組む場合がほとんどなのですが、それでもチーム内で孤独を感じることがあります。

もうひとつの課題は、他のテスタがテスト中に使用するような、さまざまな観点や手法を経験したり学んだりする機会がまったくないことです。プロセスの実装過程でも、あるいは品質活動においても、チームの中で一人だけ消火活動をしているような思いに駆られることがあります。

当初は事前にトピック全体のリストを計画しておくべきだとも思っていたが、最終的にはその時点での自身の関心に基づいた3つのトピックを選択してスタートすることにした。

とにかく始めたかったのです。次のトピックはツアー中に決めることにしました。

テストツアーはそれぞれ、決められたトピックについてペアを組んだ上で、1~2時間のオンラインセッションで行われた。氏は、セッションで学んだことや経験したことを、"Testing Tour"という自身のブログに記している。

テストツアーで氏は、ペアに関する自身の不安感の克服にチャレンジした。

すべてのセッションがさまざまな経験を与えてくれました。トピックについて学ぶだけでなく、慣れ親しんだ環境から一歩踏み出して、知っている人たちや、会ったことのない人たちとペアを組むことを覚えたのです。

テストツアーについてParveen Khan氏にインタビューした。

InfoQ: テストツアーを始めた理由は何でしたか?

Parveen Khan: これまで述べたような、ひとりでテスタを行う上での課題がおもな理由です。他のテスタから学びたい、彼らとペアを組むことでさまざまなアプローチや観点を学びたい、と思ったのです。多くのテスタと接し、ネットワークを持つことで、さまざまなトピックや課題を共有し、既知の話題を学ぶだけではなく、自分だけでは解決の難しいような新たなトピックを探求したいと思いました。自分の学んだことをコミュニティともっと共有したい、という考えもありました。ペアを組むのは面白いですし、役に立ちます。そういったことからテストツアーを始めて、自分の慣れ親しんだ領域から踏み出したいと思いました。

InfoQ: どうやってツアーを始めたのですか?

Khan: Testing Tourというテストサイトを立ち上げて、それぞれのセッションについて公表することにしました。ブログサイトの立ち上げは目標のひとつだったので、ツアーを始める前にこれを達成したことは、チャレンジを始めるための大きなモチベーションになりました。

対話の手段としては、ペア作業時にお互いの画面をコントロールしやすいことから、Zoomを選択しました。

予定しているセッションやトピックについて公開するために、Trelloボードも使用しました。私自身のアイデアボードとして使った他、ボードに書き込めそうなものは何でも追加しておいて、備忘録として使うと同時に、誰かとペアを組みことができるかどうかを判断する手段としても使用しました。

最初のセッションでは、何かうまくいかなかったり、管理できなかったりする部分もあるだろうと覚悟していたのですが、それらの経験から学んで、それを今後のセッションに活かせればいい、と考えることにしました。

最初のセッションではMaaret Pyhäjärviさんとペアを組んで、あるアプリケーションの調査を行いました。そのセッションでは、それぞれがナビゲータとドライバの立場を交替で務めるという、ストロングタイプのペアリングを学びました。この経験は、お互いが立場を交替することによって、どのように学び、どのように価値を加えるのか、ということを学ぶのに役立ちました。スクリーン上で作業するのは常にひとりではなく、2人で行うことも可能です。

私のテストツアーはこうして始まり、以降のセッションへと続いていったのです。

InfoQ: ツアーを続ける過程では、どのようなことがありましたか?

Khan: 10カ所のテスタ開発者たちとペアを組んで、11件のトピックに取り組みました。ペアで作業したトピックは次のものです。

セッションはトピックによってさまざまな方法で行いました。例えば、探索的テスト(exploratory testing)でペアを組んだ時は、アプリケーションの探索とペアテストに重点を置いていたので、探索するWebサイトないしアプリケーションを計画しておかなくてはなりませんでした。

パフォーマンステストに関するペアリングでは、事前にセットアップして、いくつかのテストを済ませたJmeterスクリプトを作業対象にしました。

AIやテスト可能性、テスト戦略といった新しいトピックについては、それらに関する議論が中心になりました。ですから、セッションはそれぞれ大きく異なっていて、エクスペリエンスや学んだ内容もさまざまだったのです。

InfoQ: 一連のセッションから何を学びましたか?

Khan: 前に述べたように、多くのトピックでペアを組むことができました。これらさまざまなトピックすべてについて学んだだけでなく、自分の仕事にもそれらを活用しています。

  • 例えば、パフォーマンステストでのJmeterの使用についてペアで学んだことを、仕事にも適用しているのです。
  • インフラストラクチャツールの使用や仮想マシンの構築にも習熟して、毎日の仕事で利用しています。これらはどちらも、テストツアー時にAbby Bangserさんとのペアから学びました。

1回のペアセッションでトピックそのものを学ぶだけでなく、新たなトピックを学び始めたり、既知のトピックの新たな方法を学んだりすることができるのです。

そして何よりも、いつでも支援を求めることができる、ということを学びました。私が自身の組織ないし企業内のソロテスタであるように、自分たちの環境に制限があったとしても、それを理由に立ち止まって学ぶことを止める必要はないのです。

それぞれのセッションについてブログ記事を書き、情報を共有することは、私にとってとても大きな喜びになりました。

InfoQ: ペアリングと学習を始めたいという人たちに対して、何かアドバイスはありますか?

Khan: テストツアーを始めたいのであれば、トピックの準備や計画を必要以上に気にしないで、とにかく始めてみるとよいでしょう。ペアを組んでくれる人がいるだろうか、という不安は捨ててください。学習は継続的なプロセスであって、人それぞれの学び方があります。テストツアーとペアリングは私にとって、さまざまな意味で有意義なものでした。ですから、自分自身のやり方でツアーを計画してみてください。

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