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価値 対 時間: アジャイル契約モデル

原文(投稿日:2020/11/05)へのリンク

アジャイル契約モデルは、顧客に提供する価値に重点をおくのに役立つ。そして、チームや人々に報いることを考慮し、共通の目的に向かって継続的改善を行うようにする。Zupit のアジャイル契約モデルの適用方法について、Andrea Zomer氏がAgile Business Day 2020で講演した。

Zupitのアジャイル契約モデルは、固定金額、および、タイムアンドマテリアルの2つの従来モデルの組み合わせだ。顧客は、バグの解決も含めて、ユーザストーリーが完了した時に固定金額を支払う。

このモデルは、「プロジェクト全体」のより小さなまとまりを見積もりできることによって、リスクを減らし、プロジェクトと顧客に関して、より多くの情報を得た時に見積もり活動を行えるとZomer氏は言った。

アジャイル契約モデルを使うことで、サプライヤと顧客の両方が利益を得ると、Zomer氏は説明した。:

しかし、本当の利点は、私たちと顧客の両方がより効果的になる意欲を持つことです。私たちは重要なことに集中できるようになります。このようになると、私たちはより多くの報酬を得て、顧客は費用を減らします。

契約モデルは一般的なモデルではなく、説明を受けて理解する必要があるため、顧客は最初は少し懐疑的だ、とZomer氏は述べた。しかし、一度、顧客が基本原則を理解すれば、この契約モデルを正しく理解すると彼は言った。顧客にとって多くの良い点があり、ウィンウィンの解決策が、どちらか一方が勝つよりも良いことを顧客は分かっている。

本当の節約は、数ユーロのディスカウントを求めるのではなく、プロジェクトの優先順位が何かを理解し、効率化を図ることだと、私たちはたびたび明らかにしてきました。パレートの法則は、ソフトウェア開発にも適用されます。:機能の20%は価値の80%を返します。私たちの仕事の一部は、顧客がその20%を特定するのを助けることです。

InfoQはZupitのCEOであるAndrea Zomer氏に、アジャイル契約モデルの経験についてインタビューした。

InfoQ: 固定価格、タイムアンドマテリアルのような従来の契約モデルの不利な点は何ですか?

Andrea Zomer氏:一般的に、従来の契約モデルは、顧客またはサプライヤに偏っており、共通の目標を持つことはできません。

例えば、固定価格の契約では、サプライヤがすべてのリスクを負います。不確実さが最大の時に、プロジェクトの価格のような基本的なことを決めなければなりません。さらに、価格が固定されているので、利益を増やすためにできるだけやることを少なくしたいサプライヤに対して、顧客はできる限り多くのことをするよう頼みます。

タイムアンドマテリアル契約では、状況は逆転します:顧客がプロジェクトに割いたすべての時間を支払うので、サプライヤは作業を最適化したり、効率的したりすることに無関心です。さらに、顧客は効率の悪さや問題のすべてのリスクを負い、またどのような不具合に対しても支払いを行います。

InfoQ:Zupitのアジャイル契約モデルはどのようなものですか?

Zomer氏:顧客はユーザストーリー(US)に対して固定価格を支払います。(USの大きさにかかわらず)スプリントにUSを入れる前に、いくらぐらい費用がかかるかを顧客に知らせ、価格がその機能のビジネスの価値に対して、正当かどうかを決められるようにします。

ユーザストーリーは、チームがストーリーポイントを見積もります。(フィボナッチ数列 1, 2, 3, 5, 8, 13, ..を使います) 顧客とコラボレーションを始める時に、私たちはストーリーポイント1つの価格に同意します(例えば、100ユーロ)。ユーザストーリーのコストは、ストーリーポイントの見積もりx同意した価格です(例えば、3SP ユーザストーリー × 100ユーロ = 300ユーロ)。

そして、顧客は、ユーザストーリーの検証が疑いのないものであり、バグの解決が含まれている場合にのみ支払います。

InfoQ:バグ修正をどのように扱いますか?

Zomer氏:バグ修正のコストは価格に含まれているので、私たちの関心は、ソフトウェアのバグをできるだけ少なくすることです。これは明らかに、顧客にとって大きな価値となりますが、ユーザもソフトウェアを使う時にバグに出くわすことが少なくなります。

このために、TDD(テスト駆動開発)、ペアプログラミング、プル/マージ要求管理、および、顧客にリリースする前の検証とヒューマンテストの厳格な手順など、共通のアジャイルプラクティスとメソドロジを使用します。また、ふりかえりや多くのトレーニングなどの継続的改善の技術は、高品質のソフトウェアを展開するのに役立ちます。

私たちは、各ユーザストーリー(各ユーザストーリーのUX/UIのモックアップも含む)について、顧客と共有したDoD(Doneの定義)があり、チームは、DoD、および、リストされたプラクティスとプロセスによって保証された品質の最低レベルを保ちつつ、実装部分の管理を自律的に行います。

ユーザストーリーの開発コストにバグ修正を含めることも、Zupitにとって商業的な利点があります。顧客は、バグがソフトウェア開発プロセスの一部であることをいつも理解し、バグ修正の費用を喜んで負担する訳ではありません。サプライヤがこの側面を引き受けるモデルは、私たちの作業の品質について、私たちが顧客を納得させて、より簡単に契約を結ぶのに役立ちます。

私たちにとって、もう一つの利点は、顧客が外部委託するソフトウェアの修正保守のための年間費用を負担することが一般的であるということです。バグが少なくなる(そのため、チケットや作業が少なくなる)ことで、私たちはこれらの繰り返し支払われる費用からはるかに多くのマージンを得て、ディスカウントすることができます。明らかに、私たちは常にバランスを見つけなければなりません。バグを制限するプロセスを持つには費用がかかるので、検討しなければなりません。

InfoQ:このアジャイル契約モデルのあなたの経験はどのようなものですか?

Zomer氏:このモデルはやりがいがあります。私たちは、さらに効率よく、バグの少ない信頼できるソフトウェアを作らなければなりません。

当初は、時には今でも、確かに、私たちの仕事のすべての側面を最適化することを心配することなく、タイムアンドマテリアルで作業する方が簡単で収益性が高いでしょう。私たちが導入したアジャイル契約モデルは、Zupitの人たちが提供できる価値に基づき、チームと人々に報酬を与えることができます。タイムアンドマテリアルでは、毎日の料金に心理的な上限があるため、より効率的で、少ない時間で機能を作成する人に報酬を与えることが難しくなります。

さらに、タイムアンドマテリアルでは、サプライヤが、バグを持ち込まないようにすることの利益はありません。それらを解決するのにかかる時間も顧客によって支払われるからです。一方で、アジャイル契約モデルでは、経済的にも利益となり、人々のスキルを向上させます。そのため、より効率的になり、バグを回避する方法を学びます。

InfoQ:あなたは、講演で、Zupitの従業員は週に30時間の契約で働いていると述べました。これはどのように見えますか? これに伴う利点と課題は何ですか?

Zomer氏:フルタイムの仕事として給与を維持しながら、週30時間(月-金8:00から14:00)で働き始める決定は、いくつかの理由で起こりました。第一に、私たちは、より良いワークライフバランスが不可欠であると考えています。毎日午後6時または午後7時まで働く場合、あなたは情熱と愛情に時間を作ることはできません。オフィスワークに加えて、私たちはバスや車に乗って家に帰り(今、スマートワーキングでこの側面も改善しています)、スーパーマーケットに立ち寄り、料理を作り、シャワーを浴びなければなりません。

しかし、ビジネス的な面もあります。私たちの業界では、新しい人を雇うことは非常に困難です。供給よりも多くの需要があります。最高の開発者は、仕事をしようとする会社を決定する必要があります。私たちのビジネスモデルでは、非常に高い給与を提示することはできませんので、生活の質と、人々の気分が良くなり、成長し、スキルを向上させられる環境を作ることに注目しなければなりません。30時間に移行することで、以前は手が届かなかった有能な人々を引き付けることができました。これはウィンウィンな状態です。私たちの顧客は、高品質の製品につながる優秀なスキルに頼ることができます。

明らかに、ここには多くの作業があり、このアプローチを持続可能にするために、多くのことを最適化する必要があります。私たちはまだ日々物事を変えています。しかし、幸運なことに、私たちは挑戦が好きなのです。

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