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仕事以外の場でテストスキルを磨く

原文(投稿日:2021/03/25)へのリンク

テスト方法をゲームにする(gamify)、テストプラクティスのコミュニティにオンライン参加する、仮想旅行する — これらはいずれも、テスト技術を向上させるために仕事以外の時間で行うことのできるアクティビティの例だ。世界中のテスタたちとともに継続的な学習を実践して、学んだことを職場に持ち込み、チームのメンバたちと共有して、テスト手法を改善することが可能になる。

テストコーチのEmna Ayadi氏はConTEST 2021で、テスタが仕事時間以外にスキルを向上できる方法について講演した。

Emna Ayadi氏によると、今日のテスタに求められているのは、世界の変化の速さへの適応だ。そのためには技術的スキルと人間的スキルという、2つの側面に注目する必要がある。

  • 技術的スキルとは、単にプログラム言語やテストフレームワークを知っていることではなく、継続的に学習し、新たな技術変革に対応できるスキルである。
  • 人間的スキルとは、テスタとしての業務に日々携わる上で重要なスキルである。

書籍"The 21st Century Skills for Testers"では、Ard Kramer、Emna Ayadi両氏が、これらのスキルについて解説している。氏らが提唱するのは"4C"だ。

  • 批判的思考(Critical Thinking)。テスタは物事に対して違う見方をして、別の側面を想定することによって、プロダクトやプロジェクト、チームの成功に貢献する必要がある。
  • コミュニケーション(Communication)は、単なる情報伝達ではなく、周囲とのインタラクション一般である。
  • コラボレーション(Collaboration)は、目標達成に向けてともに働き、考える行動である。
  • 創造性(Creativity)は、新たなコンセプトを想像ないし構築し、実現するための、あるいは問題に対して独創的なソリューションを発見するための、個人あるいはグループの能力である。

ソフトウェアテストに関しては、退屈な仕事である、同じことを何度も何度も繰り返さなくてはならない、など多くの誤解を耳にするが、テスタであれば、自身の学習プロセスやビジョンを定義することが可能だ、とAyadi氏は言う。

スキルを磨くために、Ayadi氏は、テスタはテストプロセスを学び、プロジェクト内のテスト活動全体の概要を知るべきだ、と提唱する。"自分の仕事がテストプロセス全体に関わるものでなくても、その理解を深めておくことで、新たな機会が生じた時に、より深く追求できるような準備をしておくのです"。

テスタは自身の作業時間以外で、設計やプロジェクトアーキテクチャに関与し、開発やプロダクトオーナシップについて学んでおくべきだ、というのが氏の提案だ。

T字型(T-shaped)テスタ、あるいは専門性を持ったジェネラリスト(specialized generalist)になるためには、テストとテスト以外のバックグラウンドを併せ持つ必要があります。それには、継続的な学習のためにテスタとしてテスト以外のコミュニティに参加し、開発者やプロダクトオーナとのコミュニケーションなどのスキルを向上することが有用です。ユーザに適切な質問をして、より価値のあるテスト要約レポートを作成することが可能になります。

ゲーミフィケーション(gamification)は、テスタが業務外で学んだことを実践する上で役に立つ、とAyadi氏は言う。ゲームをすることで得られた、新たなアイデアと視点を、自分の行動に適用することができるのだ。自分のアイデアをチームに提案し、学んだことを提供し、メリットを示すことが可能になる、とAyadi氏は述べている。

Emna Ayadi氏に、業務以外でのテストスキルの獲得についてインタビューした。

InfoQ: テスタが業務時間以外の、個人的な時間を使ってスキルを獲得すべきなのはなぜでしょう?どのようなメリットがあるのでしょうか?

Emna Ayadi: 今日のトレンドは"現代的なテスタ"になることです。すなわち、多くの知識と創造的なマインドを備えた、"専門分野を持ったジェネラリスト"が望まれているのです。品質文化をリードする。改善を追及する。変化に容易に適用し、継続的に学習する。これらのモチベーションを持った現代的なテスタを惹き付けるためには、テスタのタスクを特定面に限定せず、フルタイムのジョブにすることが望まれます。

Erick Ral Ibarra Pérez氏のことばを借りるならば、

私は自分の時間の一部を開発(api、web、モバイル)の学習時間にすることに決めました。それはエラーの特定や改善に役立っただけでなく、考えられる原因を開発チームに説明し、修正を提案することで、コミュニケーションも改善することができたのです。

InfoQ: 旅行とはどのような関係があるのでしょうか?

Ayadi: 私の経験でお話しましょう。私は旅行する時、単に観光地を見るよりも、隠れた名所を見つけることが好きです。

私のブログ記事"Testing is like traveling"では、テストと旅行を比較しています。

 

細かな計画を立てずに旅行して、誰もが知っている観光名所を見るのではなく、隠れた場所を探してリアルタイムな発見をすること

"人生において最高の瞬間は、知らない場所への旅立ちだ" — Sir Richard Burton

詳細の分からないソフトウェアを、経験を頼りに調査すること

"テストを始めるために、仕様がすべて完成するのを必ずしも待つ必要はない" — Michael Bolton

 

ロックダウンに関して言えば、世界中を旅して美しい場所を探す自由を失ったことは、誰にとっても不満なものです。私はといえば、自宅待機している間でも私の旅行趣味を実践することのできる、別の方法を見つけました。

ずっと前に旅行した時に撮った食べ物の写真にヒントを得て、食べ物で世界を旅するというアイデアを思い付いたのです — 美味しそうなスナックや本格的な料理を探しては、友人の助けを借りて海外から取り寄せたり、手元の材料を使って自分で料理したりしていました。

家に居ながら、とても美味しいものをたくさん見付けるというのは、何か不思議な気がしたものです。

この"食を巡る仮想旅行"を追って、@emnafoodiesというInstagramを作りました。難しいのは、バーチャル旅行する国にある、お気に入りの大切なレシピを見逃さないことです。

私からのメッセージは、"テストしているものに限定しないこと"です。新たなテスト方法を探し、新たなテクニックや新たなフレームワークを学び、継続的に学習し、新しいことに挑戦して、自分の"テストの旅"にそれらを取り入れてください。

翼を広げて、リモートであることのアドバンテージを活かしましょう。パンデミックの状況のため、オンサイトのイベントやミートアップが実施できなくなっている中で、ほとんどのミートアップやカンファレンスやコースがオンラインに移行しているのは驚くべきことです。多国籍な環境で学び、多くのコミュニティとつながりをもつ機会を得るという意味で、これは素晴らしいことです。アイデアを交換し、旅について語り合うためには、テスタ同士の仮想コーヒーもよいでしょう。

InfoQ: 業務以外の場所で学んだことを仕事で実践するには、どうすればよいのでしょうか?

Ayadi: 私のスライド"Extend Your Testing Capabilities When You Are Not Testing"では、実際にテスタとしてのスキルを向上させるために、仕事以外の場で実践できるプラクティスをたくさん取り上げています。

私のコミュニティでは、Risk Storming Workshopのように、テストとアジャイルを組み合わせたゲームをいつも探しています。"2019 Ministry of Testing Sfax Meetup"では、私たちの経験した実例を使って、アジャイルテストに関するワークショップを活性化する機会がありました。そこでは技術的知識に関するものと、緊張感を取り除いて人々を結び付けるものという、2つのゲームカードを使用しました。もうひとつの"Pipeline — The Game that Delivers!"を使ったワークショップでは、CDパイプラインをより効率的に設計する方法や、DevOpsに関するさまざまなことを学びました。

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