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GitHubが開発者の日々の充実感を調査

原文(投稿日:2021/06/02)へのリンク

GitHubの研究者たちは、"開発者の日々を充実したものにするものは何か"、を探るべく実施された調査の結果をリリースした。InfoQは今回、GitHubの上級研究者でDeveloper Velocity LabのメンバであるEirini Lalliamvakou博士から話を聞くことができた。

GitHubの調査では、開発者の日々の作業に負の影響を与える可能性のある重要なファクタとして、中断(interruption)と会議(meeting)に注目している。そして、実施されたコード開発作業の量は、必ずしも開発者のフィーリングを示す指標ではないのだ。

中断が最小限または皆無であれば、開発者は82パーセントの割合で充実感を持つことができるのですが、1日の大部分で中断を受けている場合、その比率は7パーセントまで低下しています。。

会議に関する結果はさらに顕著だ。事実として、1日1回の会議を行う開発者の99パーセントが充実した1日を送ることができているのに対し、2回目の会議が加わると、その可能性は74パーセントに下がっている。さらに、1日3回の会議を行う開発者が目標に向けての進捗を実感できるのは、わずか14パーセントである。

これらのことから、GitHubの調査では、開発者の満足感をコントロールする上で、会議や中断の管理が必要であることが明確に示されている。多くの企業にとって、この結果は驚くようなものではないが、GitHubの今回の調査は、これがより構造的なレベルで適用されるという明確な証拠を示したものと言える。

GitHubの調査が明らかにしたもうひとつの大きな発見であり、多くの人たちにとって目新しい結論は、ほとんどの開発者が、毎日の最後の数分間を振り返りの時間に割り当てることが、自身の仕事をよりよく理解する上で有効だと考えている、という点である。

その日の重要な活動と自身の気持ちに注目することで、開発者はその日を"締め括り"、洞察を得ることができるのです。言い換えるならば、このわずかな時間が、立ち止まって自身の日々や仕事を振り返りたいと思う私たちに大きな影響を与えている、ということです。

nfoQは今回、GitHubの上級研究者でDeveloper Velocity LabのメンバであるEirini Lalliamvakou博士に、今回の調査と、GitHub SPACEフレームワークとの関連について聞くことができた。

InfoQ: 今回の調査で確認された事実のひとつは、生産性は個人的なものである、という点ですが、それが分かったことには、どのような重要性があるのでしょうか?どうすれば、これを考慮に入れることができるのでしょう?

Kalliamvakou: 人間のユニークさを本質的に物語っているという意味で、この発見は非常に意味が大きいものだと思っています!今回の調査では、1日のパターンがほぼ正反対である開発者がいました。そういった開発者たちは、パーソナライズされたレポートを見ることで、改善すべき点を見つけることができるでしょう。ですが、平均値を取ってしまうと、個人レベルで有益なこれらの洞察が失われて、結論はどちら側の人たちにとっても無益な("あるいは「適合」しない")ものになってしまいます。つまり、開発者にとっては、個人レベルの洞察が最も価値があるのです。生産性に関するヒントやハックはいくらでもありますが、開発者が仕事に最も充実感を得られるのは、その対策が自身のデータやパターンに合わせて調整されていた場合です。

チームレベルのメトリクスにおいて、開発者をチームの一部として考えた時、このことが有効になります。個人レベルの改善戦略のいくつかが、成功のためのチームプラクティスの調整を促すかも知れないのです。例えば、チームの会議時間をずらして、個々人の集中する時間を確保することはできないでしょうか?個々の開発者とチームの生産性には、こうした議論や変更が有用な場合があるのです。

InfoQ: 日々の振り返りが、開発者の作業を充実させる上で重要なツールであると思われるのですが、今回の調査で、"日々の振り返りプログラム"をよりよく導入する方法については、何が明らかになったのでしょう?アジャイルの朝のミーティングを置き換えるべきだと思いますか?

Kalliamvakou: 今回の調査で使用した形式は、1日の終わりに2分間の時間を設けて、その日の経過についていくつかの重要な質問をする、というものでした。(質問の内容はブログ記事で紹介しています)。開発者たちはこの形式を気に入っていて、自分の1日を"締め括る"方法として喜んで取り入れています。調査が終わった後でさえ、1日の振り返りを続けている開発者がたくさんいるのです!

スタンドアップにはチームの日常のルーチンとして、独自の特別な位置付けがあります。例えば、ボットの実験をしているチームがあります。インタビューによると、スタンドアップボットを使用する場合には、1日の始めにpingを実施してその日の予定をリストするよりも、1日の終わりにその日達成したことのリストをpingする方法が好まれているようです。すべてに当てはまるソリューションというものは存在しませんから、それぞれのチームが(スタンドアップで実現する!)自分たちのニーズに対する認識を持ち、すべてが完了したという充実感を持って1日を終える上で有効な、適切な組み合わせを見つけることが肝要です。

InfQ: プライバシを尊重しながら開発者のフィードバックを収集するツールとして、Slackチャネルとプライベートリポジトリを組み合わせて使っているということでしたが、それについて、もう少し詳しく話して頂けますか?

Kalliamvakou: CTOのオフィスと連携して、概念実証用の内部Slackアプリを開発しました。このアプリは社員(Hubbers)に日々質問に答えるように促して、そのチャートとデータを週次で配信しています。アプリを使用するためのサインアップフローの一部として、開発者のGitHubアカウントにプライベートリポジトリを生成して、その中にすべてのデータとレポートを格納します。データをプライベートに保存した上で、各開発者(のみ)に情報の管理権をすべて与えるという、非常に興味深いやり方です。

InfoQ: 今回の調査結果は、SPACEフレームワークで運用されている幅広い作業に対して、どの程度適合するのでしょうか?

Kalliamvakou: SPACEフレームワークを実際に運用したのは、Good Dayプロジェクトが初めてです。SPACEフレームワークのさまざまな側面をカバーするために、日々の内省に含まれるような質問をデザインしました。彼らの反応と結果からは、SPACEのディメンションと私たちが質問を作った方法が、開発者たちが日々の作業をどのように表現しているのか、確認したパターンに対して作業のどの領域を調整できるのか、といったことに共鳴していることが分かります。

GitHubのGood Day Studyには今回要約した以上のことが含まれているので、ぜひ報告書でその詳細を確認して頂きたい。

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