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AWSがAmazon HealthLakeの供与開始を発表

原文(投稿日:2021/07/21)へのリンク

先日AWSは、完全マネージドなHIPAA準拠サービスのAmazon HealthLakeを一般供与開始すると発表した。このサービスを使うことで、ヘルスケア関連企業、健康保険関連組織、製薬会社などが、健康情報の保管や転送、検索、分析を安全に行えるようになる。

Amazon HealthLakeは、AWS re:Invent 2020において、さまざまなサイロから健康情報を集約し、構造化されたAWSデータレイクに集約することによって、アナリティクスやマシンラーニング(ML)を使用した洞察の獲得を可能にするサービスとしてプレビュー公開されていた。それが今回、まずはUS East(北バージニア)、US East(オハイオ)、US West(オレゴン)から始まり、その後はさらに多くのリージョンを対象として、一般提供されることになったのだ。

Amazon HealthLakeのユーザは、インフラストラクチャを管理する必要がない。AWS Consoleなどを使って新たなデータストアを作成して、AWS Key Management Service(KMS)で暗号化方法を設定 — AWSの管理するキーを使用するか、その他のキー(BYOK — Bring Your Own Keyなど)かを選択 — すればよいのだ。データストアが使用可能になれば、ユーザが直接、データを生成、参照、更新、削除、検索できるようになる。REST API(Application Programming Interface)も公開されているので、提供されるSDKを使って自身のアプリケーションに統合することも可能だ。

EMEAの人工知能およびマシンラーニングエバンジェリストであるJulien Simon氏は、AWS Newsのブログ記事の中で、Amazon Healthcareがサポートするテキストデータについて説明している。

ローンチ時点のHealthLakeは、臨床記録や研究報告、保険請求などで一般的に見られる、構造化および非構造化両方のテキストデータをサポートしています。このデータは、健康情報の交換を目的とした標準であるFast Healthcare Interoperability Resource(FHIR、"ファイア"と読む)形式で格納されます。HealthLakeはその最新バージョン(R4)と互換性があり、現時点では71のFHIRリソースタイプと付加的なリソースをサポートしています。

フォーマットがFHIRでない場合のために、Amazon HealthLakeにはRedox、HealthLX、Diameter Health、InterSystemsなどとのコネクタも含まれており、HL7v2、CCDA、フラットファイルからFHIRへの変換が容易にできる。さらに、AWS Marketplaceには、パートナソリューションも用意されている。 

データがデータストア内にある場合、内蔵された自然言語処理機能を使用することによって、ドキュメント内にあるエンティティを抽出し、対応するメタデータに格納することが可能である。対象となるエンティティは、解剖学(anatomy)、病状、投薬、保護された健康情報、検査、対処、治療などである。そして最後に、パラメータを指定してFHIRリソースの検索および問い合わせを行い、エンティティを抽出することができる。必要であれば、データをAmazon Storageにエクスポートして、その他の分析やMLタスクを実行することも可能だ。 

 
出典: https://aws.amazon.com/healthlake/

Statistics MRCによると、世界的なAIヘルスケア市場は39.7パーセントのCAGRで成長しており、2026年には192.5億ドルに達すると予測されている。ヘルスケアサービスへの投資を見れば、パブリッククラウドベンダがこれを重要な収益要因と考えていることが分かるだろう。AWSはこの他にも、Transcribe、Translate、Comprehendの3サービスでHIPAAに準拠している。これに対して、MicrosoftはAzure Health BotAzure API for Fast Healthcare Interoperability Resource(FHIR)などを備えたAzure for Healthcareなどのヘルスケア用クラウドを、GoogleはCloud Healthcare APIを提供している。

Constellation Research Inc.の副社長兼プリンシパルアナリストであるHolger Mueller氏は、次のように述べている。

2020年は垂直クラウド(vertical cloud)の年でしたが、2021年もそのトレンドは続いています — AWSにとってのそれが、医療データ全般を扱うHIPAA準拠のデータレイクである、Amazon HealthLakeです。この種の情報を扱う上で、クラウドは非常に優秀なプラットフォームと言えます。コスト効率のよい保管と拡張が可能であると同時に、平均的なデータセンタに比較して、安全性の面でも優れているからです。さらに重要なのは、AIを活用した計算処理が安価に利用可能であることです — これにより、より優れた医学的洞察の獲得が可能になると期待されます。

同じく、AWSでAmazon Machine Learningを担当するバイスプレジデントのSwami Sivasubramanian氏も、Amazon HealthLakeのGAに関するAWSのプレスリリースの中で、次のように述べている。

ヘルスケアやライフサイエンスの分野における顧客の多くが、所有する大量のデータの整理と理解に取り組む中で、このプロセスが困難で煩雑なものだと感じています。ヘルスケア産業におけるこの困難な作業を排除するために、当社はAmazon HealthLakeを開発しました。これにより、数分の作業で健康情報をクラウドに移行し、大規模かつ安全な情報分析を開始できるようになります。提供中のAWS for Healthとも相まって、医療提供者、健康保険会社、製薬会社が患者やその他の人々にデータ駆動でパーソナライズされた予防的ケアを提供する上で、Amazon HealthLakeがどのような支援を行うことができるのか、今からとても楽しみにしています。

最後に、Amazon HealthLakeの詳細はドキュメントページに、ガイダンスは自習型ワークショップとして、それぞれ提供されている。

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