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FerrariがレースおよびロードオペレーションにAWSマシンラーニングを採用

原文(投稿日:2021/07/22)へのリンク

Ferrariは、AWSの提供するマシンラーニング、アナリティクス、コンピューティング機能を、Formula OneチームScuderia Ferrariを含む組織全体に導入する。

イタリアの自動車会社であるFerrariが、技術およびの商業の両面における合意を発表した。同社は今後、AWSサービスを使用して自動車の設計およびテスト作業を簡略化することによって、顧客に対する新たなドライビングエクスペリエンスの提供を目指す。さらにScuderia Ferrariは、AWSを使用して、モバイルアプリを通じたディジタル・ファン・エンゲージメント(fan-engagement)プラットフォームを立ち上げる予定である。 

Ferrariは、AWS Europe(ミラン)リージョンを含む世界規模のAWSインフラストラクチャと、広範かつ深遠なそのサービスを使用することにより、自動車の設計とテストを合理化し、顧客によりよいドライビングエクスペリエンスを提供していく。

Ferrariは、Amazon Elastic Cloud(Amazon EC2)を活用して、効率のよいハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)用の特別なインスタンスタイプにアクセスする他、AWS Graviton-2ベースのインスタンスの使用を予定している。 

Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)でデータレイクを構築した上で、Amazon Lake Formationを使用して数百ペタバイトにおよぶデータの迅速かつ安全な収集、カタログ化、クリーンアップを行うとともに、現在および将来的な顧客のための自動車の開発、販売、メンテナンスを容易にする手段としても活用する。 

さらにFerrariは、Amazon Elastic Service(Amazon EKS)とAmazon DynamoDB(Amazonのフルマネージドなキー/バリュー型データベース)を使用することで、Ferrari Car Configuratorに代表される高度なディジタルエクスペリエンスを短期間で構築、提供、スケールアップできるようにする。

またFerrari Formula Oneチームは、Amazon SageMakerのノートブックを使うことにより、Amazon S3にアップロードしたタイミング、タイヤ、気候に関する膨大なデータの分析や可視化が可能になり、アルゴリズムの視点からレースを理解できるようになる。過去のレースにおける戦略と成果を分析して、抽出してMLモデルに取り込む上で最も価値のある履歴データポイントは何か、レース中にリアルタイムで取り込む価値の最も高いデータポイントは何か、といった議論をすることが可能になるのだ。 

そして最後に、Amazon SageMaker上に構築されたマシンラーニングモデルを使うことによって、レースをただ見ているだけでは分からないような、例えば攻撃可能距離やオーバーテイクの難易度といった、レース中に展開されるドライババトルに関する洞察を得ることができる。さまざまなソースから得たすべての関連情報をクリーンにすることで、ビジネス面および技術面におけるKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)や技術的要件、検証コードで使用する出力形式を素早く設定することが可能になる。これにより、特徴量エンジニアリング(feature engineering)やさまざまなアルゴリズムを短時間で試験して、各レース中に予測されるエラーに対して最適化することができるのだ。

AI技術によって、スポーツ産業は、リアルタイム分析、自動化、予測、動的情報の利用へと移行している。

手作業によって収集し、分析されたリアルタイムのアナログデータには、もはや現場コメンテータの余談以上の意味はない。現在のファンや放送レポータ、チームにとってメリットがあるのは、センサやカメラが自動収集したデータの方なのだ。その上において、ハイパフォーマンスコンピューティングは、ピットインを選択したF1マシンへの影響など、マシンラーニングモデルによる情報や分析をリアルタイムで処理するための手段となる。

ルーチーンや信頼性の低いタスク、時間を要するタスクに関しても、自動化することによって貴重なリソースを開放することができる。チケットの売上やチェスの駒取りの可能性などを予測するマシンラーニングモデルから、人工知能サービスによるオブジェクト検出や音声-テキスト変換を使用してメディアへのタグ付けを自動で行うNASCARに至るまで、人工知能は、人が最も得意とする分野である、より創造的かつ戦略的な仕事を行うことを支援する存在である。

事後対応であれ事前予測であれ、コーチやチームは、状況に対応して戦略を変更するか、まったくの直感に基づいてプレーやアクションを予測するかを強いられている。それが今後は、試合中やゲーム中、あるいはレース中においても、予測データという宝の山にアクセスできるようになる。時間切れ直前にプレーを予測するNFLコーチのように、事前情報に基づいた判断をリアルタイムに下すことが可能になるのだ。

静的なものから動的なものまで、スポーツファンならば誰であっても、自分のスポーツは物理的ゲームであると同時に精神的なゲームでもある、と主張するだろう。視覚的にリッチな画面上のグラフィックやインタラクティブなサブスクリーンエクスペリエンスを通じて、ファンがデータや洞察にアクセスできるようにすれば、スポーツ団体や放送メディアは、意思決定の機微をファンに見せることが可能になる。ラック中にリアルタイム情報を表示するSix Nations Rugbyのように、スタジアム内外を問わず、ファンのエクスペリエンスをよりリッチなものにできるはずだ。

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