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Google CloudがCO2排出量最少のリージョンを選択するオプションを導入

原文(投稿日:2021/07/24)へのリンク

Googleは先頃、CO2排出量の最も少ないGoogle Cloudリージョンを選択するオプションを導入した。新機能の対象は、現時点ではCloud RunおよびDatastreamに限定されているが、将来的にはより広範なGoogle Cloudサービスで提供されるようになる予定である。

最少排出量を実現するためには、米国ではアイオワとオレゴンが、欧州ではフィンランドとチューリッヒが、それぞれ推奨リージョンとされている。

Google Cloud、Azure、AWSは、エネルギ効率において他のデータセンタプロバイダを大きく凌駕してはいるが、使用するリージョンによる大きな差異がいまだ存在する。2酸化炭素の排出量を削減する手段としてGoogle Cloudが強調しているのは、新たなアプリケーション用のリージョンを慎重に選択すること、排出量が最少のリージョンでバッチジョブを実行すること、組織ポリシ(organizational policy)を排出量最少のリージョンに設定すること、組織ポリシを使用してロケーションを一部のリージョンに制限すること、などだ。

Lowest CO2ラベルでマークされたリージョンは、少なくとも75パーセントのCFE%(カーボンフリーエネルギ比率)か、または最大200gCO2eq/kwhのグリッド炭素強度(Grid Carbon Intensity)を持っている。ここでグリッド炭素強度とは、グリッドからのエネルギ単位あたりの平均ライフサイクル総排出量であり、CFE%は、特定のロケーションにおいて1時間あたり消費されるカーボンフリーエネルギの平均パーセンテージを示している。

出典: https://cloud.google.com/blog/topics/sustainability/pick-the-google-cloud-region-with-the-lowest-co2

GoogleのProduct ManagerであるSteren Giannini氏は、今回の新オプションについて同社がいくつかのA/Bテストを実施し、重要な結果が得られたことを示唆している。

この機能のリリースに先立って、その効果を測定するための試験を実施したところ、拡張されたリージョンピッカ(region picker)を提示されたユーザは、Cloud Runサービスに低炭素リージョンを選択する確率が19パーセント高くなることが分かりました — 大幅な増加です。この結果から、リージョン選択を決定するコンテキストにおいて、2酸化炭素排出量に関する情報を表示することで、よりサステナブルな判断を支援できることが分かります。

"carbon free energy for Google Cloud regions"という章を含む資料中で同社は、エンドユーザのレイテンシやサービス料金に加えて、アプリケーションの稼働に必要な電力がリージョンによって炭素強度の異なることを考慮した上で、リージョンを選択するように提案している。GoogleでグローバルSMBセールスを担当する副社長のCarolee Gearhart氏は、次のようにツイートしている。

顧客やパートナからの、サステナビリティに関する質問が増えてきています。Google Cloudユーザはすでに総量としてのカーボンニュートラルを達成していますが、当社はさらに、最もグリーンなリージョンでの運用を簡単に選択できるようにします。

AWS Community BuilderでクラウドアーキテクトのAaron Brighton氏は、次のようなコメントをしている。

素晴らしい! Googleに続いて、Amazon Web Serviceからも同様なものが提供されることを期待しています。

企業の炭素排出量の削減とサステナビリティの目標達成を支援しようというプロバイダは、Google Cloudだけではない。Microsoftは先頃、Microsoft Cloud for Sustainabilityを発表した。AWSは"Sustainability in the Cloud"という資料の中で、同社における再生可能プロジェクトの位置付け、対象となるリージョン、サステナビリティに関するその他の情報を提供している。Cloud Carbon Footprintという無償のオープンソースツールを使えば、クラウドの炭素排出量の測定と、クラウドを使用することによる環境への影響を理解することが可能になる。AWS、Azure、Google Cloudがサポート対象である。

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