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自己不信やインポスタ症候群から脱却し、テクノロジにおける多様性のメリットを見出すまで

原文(投稿日:2021/09/23)へのリンク

ElasticのInformation Security部門でスタッフのチーフを務めるCharu Bansal氏は、自身が非技術的なバックグラウンドを持っていることから、そのキャリアにおいて、自分がセキュリティに関する価値を提供できないのではないかと不安を持つ、インポスタ(詐欺師)症候群に度々陥っている。The Diana Initiative 2021で行った講演の中で氏は、非技術系のキャリアから情報セキュリティの分野に転向したことによる多様な観点を持つことが、困難なセキュリティ問題を解決する上でいかに役に立ったか、という話をした。

技術的な議論における自己不信は、複数の要素が組み合わせられて生じる、とBansal氏は言う — その要素とは、個人の技術的バックグラウンド、新たな進歩に追いつくことが困難なほどのペースで進化を続けるテクノロジ、過小評価された一部のグループに対する潜在意識的バイアスなどだ。

テクノロジに従事する女性にとって、性差別は大きな要因となる、とBanal氏は説明する。

ハイテク産業は、知性が性別とはまったく関係ないにも関わらず、極めて男性中心的な産業です。男性の方がテクノロジに長けているという物語が何十年にもわたって語られ続けた結果、多くの人々にとって、そのような考え方が極めて受け入れやすいものになっているのです。

ある特定の命題に対する自分の知識に自信を持っていても、このような内部的および外部的なバイアスが自己不信を引き起こす場合がある、とBansal氏は言う。技術的なバックグラウンドを持たずに、頭字語やコードについて話す人たちのグループと唐突に出会えば、自分自身を自由に表現するのは途方もなく難しい作業になるだろう。

脅威モデリング(threat modelling)は、潜在的なセキュリティ上の脅威を識別し、それらの脅威を積極的に緩和する計画の立案を目的とする、構造化された共同作業である。ここでは幅広い視点を持つことがメリットとなる、多様な経験を持つ人々は、このプロセスに計り知れない価値を加えることができるのだ、とBansal氏は説明する。

多くの国での生活経験を通じて私が得た、各国のさまざまな支払方法や潜在的な脅威ベクトルに関する知識は、世界規模の決済プラットフォームの脅威モデルを構築する上で極めて有用でした。そのような意味からも、これらの"枠にはまらない"脅威パターンを識別し分析することは、成功を収める上での鍵なのです。

講演の中でBansal氏は、テクノロジに関連はなくても情報セキュリティにとって価値のある、ユニークな人生経験の価値を強調するためのメタファとして、脅威モデルの構築を使用した。

国から国へと渡り歩いていた頃はいつも、うまくいかない可能性のあるものすべてを一覧表にして、それらのリスクを軽減する方法を見つけるようにしていました。つまり、それとは意識せずに、脅威モデルを構築していたことになります。セキュリティリスクを識別して回避計画を立案する上で、このスキルが役に立ちました。

セキュリティとは人の行動を理解することだ — すべてのセキュリティ問題に技術的な解決法があるとは限らないし、セキュリティは技術的な問題だけではない、とBansal氏は言う。人の行動に対してユニークな理解を提供するという意味において、多様なバックグラウンドを持つ人たちは、セキュリティチームにとっての資産となり得るのだ。

人の行動に対するバックグラウンドが情報セキュリティにとって持つメリット、メンタリングの効果、インポスタ症候群や技術的能力に関わる不安や疑問への対処から何を学んだことについて、Charu Bansal氏に聞いた。

InfoQ: 文化や人の行動に関するあなたのバックグラウンドは、情報セキュリティという現在の仕事の中で、どのようにプラスになっていますか?

Charu Bansal: セキュリティにおける問題解決には、さまざまなスキルを組み合わせる必要があります。これまでさまざまな国で暮らしたのですが、その中で詳しく知るようになった世界中の法律や規則が、インシデント対応を計画する上でとても役に立つことに気付きました。さらに、暮らし難い環境の中で身に着けたレジリエンスのおかげで、インシデントの間も冷静を保ち、明確にコミュニケーションすることができました。

文化やリアクション、モチベーションに対する理解は、多くの人たちを悪意あるリンクへ導くフィッシングの演習問題を作成する上で非常に有用です。自分の持つ分析的なスキルによって、通常とは異なる行動パターンをピックアップできることも分かりました。例えば、セキュリティ上のインシデントに関与した時には、特定のシステムに対するアクセスパターンを短時間で認識して、従業員の通常とは異なう行動を見つけることができました。

InfoQ: メンタリングには、どのようなメリットがありましたか?

Bansal: テクノロジの世界は、特に女性にとっては、非常に困難な場合があります。情報セキュリティのプロフェッショナルとしてキャリアを積む上で、メンタの存在は、大きな違いを生み出す可能性があります。

私自身のセキュリティのプロフェッショナルとしての成功においても、メンタがいたことは、最も大きな要因のひとつでした。ロールモデルとなる女性を持つことは、自己不信や挫折を経験した時の指標やサポートとして有用です。こうしたロールモデルの例を通じて、私は、存在する性的偏見に対抗するための、自分自身の意見と自信を持つことができました。

私がセキュリティに転向したのは、親しい友人からの励ましによるものでした。彼女はメンタであり、ロールモデルであり、アドバイザであると同時に、今でも友人です。さまざまな問題で苦しんでいるときや、状況にどう対応すればよいのか迷っているときには、今でもよく彼女に連絡をとって、アドバイスやサポートを求めています。

InfoQ: インポスタ症候群に対処する中で、どのようなことを学びましたか?

Bansal: インポスタ症候群が事実のように感じられたとしても、それはごく一般的なことであって、自分でコントロールできる、ということです。私はこれまで、非常に熟練したセキュリティセキュリティの専門家の多くが、インポスタ症候群に苦しんでいるのを見てきました。自己不信は、特定のグループに対する既存の(意識的ないし無意識的な)バイアスによって増長される可能性があります。

他の人たちをサポートすることやメンタリングすることは、自身のインポスタ症候群を克服する非常に優れた方法です。組織もまた、過小評価されているグループのために、人々が自分自身を表現し、心配なく支援を求めることの可能な、包括的かつ支援的な環境の構築に貢献することが可能です。ニューロダイバース(neurodiverse)なチームを作ることもひとつの方法ですし、その人のバックグラウンドに関係なく意見が尊重されるような、包括的な組織的方針や企業文化を構築することもひとつの方法です。

InfoQ: 自身の技術的能力に対して不安や不信といった感情を抱える人たちに対して、何かアドバイスはありますか?

Bansal: 知識は習得することができる、技術的スキルは構築ないし拡張することができる、ということを忘れないでください。あるテクノロジについて知らないからといって、あなたに能力がないのではありません。他の人たちに自分を制限させてはいけません — 新たな学びに毎日チャレンジするのです。信頼できて、サポートを得ることのできるメンタを見付けましょう。周りの人たちに常に自分を見せ、準備をし、関わり合いを持ちましょう — 諦めてはいけません!

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