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企業文化と心理的安心感が創造性を育む

原文(投稿日:2021/10/28)へのリンク

企業が将来にわたってその関係性と競争力を維持して存続するためには、創造に適した環境と文化を作り上げることが求められる。燃え尽き症候群(バーンアウト)への依存や生産性への固執は、創造性を阻害する可能性がある。必要なのは心理面での安心感、インクルージョン、実験、成長の思想、思考時間の許容だ、とSteph South、Priyanka Dsouza両氏は言う。

グローバルHRビジネスパートナのSteph South氏とグローバルHRコンサルタントのPriyanka Dsouza氏は、"A Day of Organisational Psychological Safety by Aginext"で、創造力の育成と創造力(creative muscle)の成長について講演した。

創造性と燃え尽き症候群は逆比例の関係にある、とSouth氏は言う。

バーンアウトを経験すると、想像力を発揮することができなくなります。つまり、バーンアウトが多いほど、創造性は損なわれるのです。

DSouza氏は、生産性は重要ではあるものの、デジタル化、不確実性、カスタマニーズの増加に伴い、我々には創造的思考を育む必要があるという認識が必要だ、アイデアや疑問の共有や協調的作業に不安を感じる環境では、創造性は育まれない、と述べている。

創造性の最も大きな障害は職場だ。企業には、将来にわたって関係性と競争力を維持して存続するために、創造に適した環境と文化を用意することが求められる、とSouth氏は主張する。

チームとコラボレーションし、共に時間を過ごすことが、創造性を行きわたらせるための優れた手段となり得るのだ。

自分のアイデアを他の人たちと議論することで、創造的な閃きが生まれるのです。他の誰かにもアイデアを閃かせるかも知れません。

創造性の育成について、Steph SouthPriyanka DSouza両氏にインタビューした。

InfoQ: 創造性と燃え尽き症候群には、どのような関係があるのでしょうか?

Priyanka DSouza: 燃え尽き症候群は、長期的なストレスによる感情的、肉体的、精神的な疲労の状態です。打ちのめされ、感情的に消耗し、通常の要求を満たすことができないと感じるようになります。創造性と燃え尽き症候群は逆比例の関係にあると言えます。

Steph South: 私たちはAgientで、燃え尽き症候群や生産性への固執によって創造性が損なわれる可能性について講演しました。考えて頂きたいのは、オートメーションのようなコンピュータやデジタルソリューションは生産性の向上には役立ちますが、コンピュータには創造性がないということです。ですから、将来にわたって関係性を保つためには、人間である私たちが創造性を発揮する必要があるのです。

InfoQ: Aginextでのセッションは、心理的安心感を得るためのマインドフルネス(mindfulness)のプラクティスから始まりました。なぜマインドフルネスなのでしょう?そこから得られるものは何なのですか?

South: 短いマインドフルネスプラクティスから始めたのは、参加者の皆さんに、マインドフルネスとメディテーション(meditation)を直接体験して欲しかったからです。使用したプラクティスはコンパッション(compassion)のメディテーションです。コンパッションのメディテーションを行うことで、幸福に関連する脳の領域は強化拡大され、苦痛に関わる領域は縮小されます。

種としての人間は、互いに依存し合っています — 生きるために互いが必要なのです。ですから、成功するためには競争よりも協調が必要なのです。人は競うことでストレスのレベルが高まり、戦闘あるいは逃走のメカニズムが脳内で活性化します。それによってイノベーションは減退し、固定的な考え方に捕らわれやすくなるのです。対照的に、協調することによって、創造性やイノベーションが可能になり、発展的な考え方を持ちやすくなります。脳内の報償のメカニズムが活性化するのです。

今日の仕事の多くはチームを基本にしているので、効果的にコラボレーションして、複雑なビジネス問題を解決することが必要です。マインドフルコンパッションのプラクティスは私たちを、より印象的なチームメンバにしてくれます — コラボレーションし、信頼を築くことは、心理的安心感の礎石となるのです。

InfoQ: 創造性を向上する上で、個々人ができることは何でしょう?

DSouza: 心を開いて、さまざまな経験や文化を持ち、好奇心に富んだ人々を、意図的に周囲に置くようにしてください。忙しい日々の中で散歩をすること、これまでとは違うアプローチの可能なものを考えること、"なぜ"と問うこと、問題にアプローチする新たなアイデアと方法を求めること — これらはすべて、創造性を高めます。Aginextでは、宇宙に行くという想定をしました。実行不可能というバリアに捕らわれずに想像してください。これを実践することが、創造性を向上する上での素晴らしいアイデアなのです。

South: World Economic Forum(2020)では、将来のトップ3スキルのひとつとして創造性がうたわれていました。私たちは誰でも創造性を持っていますし、このスキルを伸ばす能力があります。Priyankaが言ったように、必要なのは実践 — 創造的な実践なのです。心をさまよわせ、自分自身をさまよわせてください。好奇心を持って、まわりの人々やものに興味を持ちましょう。新たな関係の構築を可能にしてくれるはずです。

個人の創造性を高めるプラクティスとして、デザイン思考の原則を使用することができます。例えば、2つの任意の単語やものを選んで結び付けたり、有名な人物や架空の人物ならばその状況や問題にどうアプローチするかを想像したり、さまざまな役割やセクタの人たちが問題解決にどのようにアプローチするのか、それがどの程度創造的なのか、といったことを考えてみましょう。あなた自身のアイデアが生まれるかも知れません。

InfoQ: グループやチーム内で創造性を向上するには、どうすればよいのでしょう?

South: 絶え間なく変化するこの世界では、変化に対して人々がより受容的で、なおかつレジリエントであるような支援が必要です。マインドフルネスはその支援になり得ます。自分を自由に、創造的に表現し得ることもまた有効です。このような環境で私たちは、より多くの心理的安心感を得ることができるのです。

Aginextでは、チームの創造性を向上するために個人やリモートでも実行可能な、面白いグループ行動をいくつか取り上げました。自分たちのスーパーパワーを全員で描いたり、ページに引いた線をそれぞれが個別に完成する(いつも全員が違う絵を描くことになります)描画タスク、関係のない2つのアイテムを一緒に使う方法のリストアップ、あるものの使い道を可能な限りたくさん挙げるタスク、といったものがあります。

最近では多くの企業がハッカソンを使って既存の問題を解決したり、多様性を備えたグループを使って可能なソリューションをブレインストームするようなこともしています。グループエクササイズや個人のプラクティスの可能性に限界はありません。

InfoQ: どのような教訓がありましたか?

DSouza: その瞬間に存在し、自分たちのいる場所や行っていることを認識し、オープンな心を持つことの価値です。これによって、自分がまだ行っていないことを負担に感じたり、自分のコントロールを越えるものを不安に思うことはなくなりました。実践の容易なヒントやアイデアをチームメンバと一緒に実践し、個人レベルでも実践することによって、創造的な考え方を育むための知識をより多く身に付けることができた、と感じています。

South: 自分は創造的ではない、と思っている人の多いことに驚きました。ですが、私が出会った人たちは皆それぞれ、プラクティスを通じてこの限定的な考え方を克服することができています。創造性は誰でも改善できるものなのです。個人的には、一歩退いたり、休息したり、考える時間や自分の時間をもっと増やしても、目標を達成することは可能なのだ、ということを学びました。

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