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”セーフ・トゥ・フェイル”アプローチによってチームに心理的安全性を確立する

原文(投稿日:2021/10/14)へのリンク

企業は、従業員の中に"心理的安全性(psychological safety)"の文化 — 失敗が非難の対象ではなく、誰にも起こり得るものとして受け入れられる文化を確立することができる。"セーフ・トゥ・フェイル(safe-to-fail)"を企業文化の一部にするべきだ、とAdil Addiya氏は言う。成功に対するイメージの転換は、失敗の所在をより深く理解することを可能にし、恐れを克服する勇気を我々に与えてくれる。

ソフトウエア開発者のAdil Addiya氏は"A Day of Organisational Psychological Safety by Aginext"で、チームにおけるセーフ・トゥ・フェイルと心理的安全性について講演した。

心理的安全性とは、ミスを犯したり誤ったりすることの影響を恐れることなく、本音を語り、質問し、懸念を示し、とんでもないアイデアを提案することができると感じられる風潮を作り上げることだ、とAddiya氏は言う。このような率直さの許容は、ハイパフォーマンスチームの最も重要な側面である、イノベーションと学習の2つを促進するための重要な要素である。

心理的安全性の文化を確立することは、チームメンバにとって、これまで行ってこなかったことを始めよう、という誘いになる。この誘いを価値あるものにするためには、その波及効果について考慮する必要がある、とAddiya氏は説明する。

同僚が何か新しいことを始めた時、それが最初から成功すると期待する人はいません。セーフ・トゥ・フェイルアプローチは、あらゆる心理的安全性を実践する上での礎石なのです。

そして氏は、セーフ・トゥ・フェイル文化に移行するために、いくつかの提案をしている。

メンバに対して、失敗は誰にでもあるものだと考えるように促すこと。Steve JobsやOprah Winfrey(訳注: 米国のトーク番組の司会者兼プロデューサ)、Walt Disneyといった著名な成功者も、その人生の中で失敗を犯していることを忘れてはならない。

失敗について語ることが、人々の目に映る彼らの価値を損なうことはない。逆に、その場で起きたことを共有すれば、それが素晴らしい学習体験のチャンスになることさえあるのだ。

心理的安全性とチームパフォーマンスの間にある関係、およびセーフ・トゥ・フェイル文化の創造について、Adil Addiya氏にインタビューした。

InfoQ: 心理的安全性とチームパフォーマンスには、どのような関係があるのでしょう?

Adil Addiya: 失敗した時の安全とハイパフォーマンスとの間にある強い相関関係は、このテーマに関して実施された数多くの研究において、その最前線であり、中心でした。

Project Aristotleを例にしましょう。これは、チームのイノベーションに最も影響する要素を特定する目的で、Googleが4年間に渡って行った調査プロジェクトです。この調査では、作業自体の影響や目的などよりも、リスクを冒すことや他のメンバの前で弱さを見せることを不安に感じないチームメンバの存在が、チームのパフォーマンスをより正確に予測する材料であることが明らかになっています。

InfoQ: 企業は失敗をどのように考えているのでしょう?

Addiya: 多くの場合、企業のマネジメントは、失敗は成功の反対であり、避けるべき災難だと見ています。今日の実業界において、失敗に関するこのような認識から多くの企業が離れつつあるのは喜ばしいことですが、残念ながら、その動きはまだ十分とは言えません。

今日のマネジメントにおいて、失敗は、成功を達成するたに経験しなければならない必要悪だと認識されています。しかし事実は、失敗とはイノベーションの一部であって、これまで達成された成功はすべて、失敗があったからこそ成し遂げれらたものなのです。

InfoQ: セーフ・トゥ・フェイル文化を促進する上で、企業にできることは何でしょうか?

Addiya: 失敗に対する認識のパラダイムシフトを達成することは、セーフ・トゥ・フェイルのアプローチを促進する上で大きな力になると思われますが、私たちが実際に使用している戦術は、その目標を達成する上で適したものとは言えません。

失敗について語ることは、失敗を原因とする恥辱感を克服する手立てになりますが、多くの人にとってこれはプロセスの後半に過ぎるため、安全に失敗できるという感覚よりも、失敗を報告する際の安心感としての意味の方が大きいと思われます。

ですから、過去の失敗に対処するのは簡単であっても、新たなリスク状況に直面した場合に、そのリスクを取ることができる、失敗しても構わない、と理解できるポイントに到達するとには、精神敵な鍛錬が必要なのです。

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