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CNCFがKubeCon EUで"graduated"プロジェクトの最新情報を公開、注目は多様性と成熟度

原文(投稿日:2022/06/02)へのリンク

CNCFの憲章では、そのミッションを"クラウドネイティブコンピューティングをユビキタスな存在にすること"だ、と定義している。CNCFの支援するテクノロジの目的は、組織に対して、レジリエントで管理可能であり、可観測性を備えた疎結合システムをベースとする、パブリック、プライベート、あるいはオンプレミスのクラウド構築を可能にすることだ。KubeCon EUの期間中、CNCFは、プロジェクトの段階的なステータス更新についての報告を行った。

卒業基準(graduation criteria)に関する説明では、"CNCFプロジェクトには'sandbox'、'incubating'、'graduated'という成熟度レベルがあって、それぞれがCrossing the Chasm図のInnovations、Early Adopters、Early Majority層に対応しています。成熟度レベルは、それぞれのプロジェクトをどのような企業が採用するべきか、という、CNCFからのシグナルなのです。プロジェクトの成熟度は、自らの持続可能性をCNCFのTechnical Oversight Committeeにアピールすることで向上します。すなわち、適切な頻度で更新が行われていること、複数の企業からコミッタが参加していること、CNCFのCode of Conductを採用していること、そして、CII(Core Infrastructure Initiative)のBest Practices Badgeを達成し維持していることです。詳細はGraduation Criteriaを参照してください。"

CNCFの最新情報を報告したのは、KubeConプログラム委員会のJasmine JamesEmily FoxRicardo Rochaの3氏である。

Envoy: Lyftがオリジナルを開発した、パフォーマンスの高さとフットプリントの小ささを誇るエッジおよびサービスプロキシである。開発過程で導入されたEnvoyベースのゲートウェイEnvoy Gatewayは、ContourプロジェクトとEmissary-ingressプロジェクト内で行われた開発をベースとしている。これにより、コミュニティ内で行われている冗長な作業を削減できるだけでなく、開発チームやプラットフォームチームにとって、既製品の選択肢としてのEnvoyが、これまで以上に強力なものになる。GitHubのプロジェクトは20,000近いスターを集めており、900人近い個人によってサポートされている。

Jaeger: 元々はUberが、マイクロサービスベースの分散システムの監視およびトラブルシューティング用ツールとして開発したものだ。最新機能としては、分散コンテキスト伝播、トランザクション監視、サービス依存性解析、根本原因解析、パフォーマンス/レイテンシ最適化などがある。

現在の活動には、完全自動化された適応サンプリング動的制御、OpenTelemetry SDKの採用によるOpenTelemetryへの全面参加、ネイティブJaeger SDKの廃止などがある。その他の進行中の取り組みとして、CasandraElasticsearchの採用に関するものがあり、いずれにもコミュニティの協力が強く望まれている。プロジェクトには約16,000のスターがあり、100人のコントリビュータに支援されている。

Prometheus: SoundCloudがオリジナルを開発したこのシステムは、設定されたターゲットから所定のインターバルでメトリクスを収集する、監視および警告のためのツールキットである。Kubernetesに続く第2のプロジェクトとして、2016年にCNCFに参加した。

現在の活動としては、Prometheusの監視スペース内で、さまざまなプロジェクトやベンダ間の相互接続性の保証を目標とするPrometheusコンフォーマンスプログラムや、ローカルストレージが不要ないし(エッジノードのように)使用不可能なシナリオを対象としたPrometheusエージェントモード機能などがある。これらの状況にでは、(Thanoscortexのような)リモートストレージへの記録が可能である。PrometheusのGitHubプロジェクトのスター数は約43,000で、701人のコントリビュータがいる。

Linkerd: 世界で最も小さく、最もシンプルなサービスメッシュを自認する。実運用環境での使用を保証するために、外部セキュリティ監査をパスしている。採用企業の中には、Xbox Cloud Gamingも含まれている。現在の活動のひとつは、障害の発生したサービスから別のサービスへ、トラフィックの自動リダイレクトを保証する自動クロスクラスタ・フェールオーバ機能の開発である。プロジェクトは現時点で8,500のスターを集め、255人の開発者の成果が詰め込まれている。

TiKV: 数ミリ秒のレイテンシを保証する、クラウドネイティブな分散型キー/バリューストレージである。現在開発中のRaft Engine機能では、30パーセントの帯域削減と、それに伴うクラウドのコスト効率向上が見込まれている。悲観的(pessimistic)トランザクションでは、20パーセント高速に動作する。プロジェクトには11,000強のスターがあり、360人のコントリビュータの作業成果が集められている。

TUF: セキュアなコンテンツ配信および更新のためのフレームワークである。さまざまなタイプのサプライチェーン攻撃から防御し、不正アクセスに対するレジリエンスを保証する。プロジェクト側で最も重要な活動のひとつはpythonのリファクタだった。この結果、維持するコードベースがはるかにコンパクトでロバストになるとともに、より人間工学的なAPIを用意することもできた。67人のコントリビュータによる開発成果は、GitHubリポジトリ上で1,400のスターを集めている。

ROCK:Kubernetes用のクラウドネイティブなストレージオペレータである。リリース1.9では、Quincyの最新リリースであるCeph Quincyのサポートが提供される。。GitHubのプロジェクトには約10,000のスターがあり、385人のコントリビュータがいる。

HELM: Kubernetes上のアプリの検索と共有を行うためのパッケージマネージャとして広く利用されている。コミュニティから最も多く望まれていた機能のひとつはOpen Container Initiativeのサポートだった。バージョン3.8.0からは、チャートのコンテナレジストリへの保存が可能になる。562人のコントリビュータが支援するGitHubのプロジェクトには、約22,000のスターがある。

設立から7年を迎えたCNCFには、これまで16の"graduated"プロジェクトがある。それに加えて、"incubated"プロジェクトの数も30を越えており、CNCFを取り巻く環境はさらに多様性を深めている。ソフトウェアだけでなく、認定プログラムを通じたクラウドネイティブ学習も推進しており、最新のものではPrometheusを取り上げている

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