BT

最新技術を追い求めるデベロッパのための情報コミュニティ

寄稿

Topics

地域を選ぶ

InfoQ ホームページ ニュース 心理的安全性の測定から学ぶこと

心理的安全性の測定から学ぶこと

ブックマーク

リスクテイクについてどう感じるかを尋ねることで、心理的安全性のレベルを知ることができるし、問題を発見するのに役立つ。その答えを議論することで成熟したチームであれば安全性のレベルを強化できるし、成熟していないチームであれば改善策を理解してもらう機会になる。

Jitesh Gosai氏はLean Agile Scotland 2022での講演で、心理的安全性に関する体験を共有した。

チームの心理的安全性のレベル測定では、対人関係上のリスクをとっていると感じているかどうかの判断が難しい。ほとんどの人はリスクテイクについてこのようには考えず、自分の状況や感情にもとづいてチャンスをつかむのが普通だとGosai氏は言う。

リスクテイクについてチームメンバーがどう考えているか、またはチーム内でリスクテイクをサポートされていると感じるかどうかを、代理指標として用いるのも一案だ。

これでもまだ、チーム内の心理的安全性や対人関係のリスクを取るかどうかを測るしっかりした物差しにはならないが、少なくとも人々がそうすることを妨げるような問題があるかどうかはわかります。

このスケールを使うことで、チームの心理的安全性を把握するための非常にシンプルな仕組みができる、とGosai氏は述べている。質問をどう解釈するかは人それぞれで、その日の気分でどう答えるかも変わる。

Gosai氏はチームの心理的安全性を測定する際の2つのリスクについて説明した。1つ目は回答が匿名でない場合個人がチームの平均を下げているとして特別視される可能性があることだ。そうすると自分が発言したことを批判されていると感じ、今後発言しづらくなる可能性がある。またこのような事態を他の人が見たら、自分も遠慮してしまうかもしれない、とGosai氏は述べている。

2つ目は測定結果がチームへの支援に使われるのではなく、チームとそのリードを比較するために使われる場合だ。そうなるとチームに対する偏った見方を与えることになり、単なるゲームの指標になってしまう。

大抵のチームでは、心理的安全を測定しようとするのではなく、まず心理的安全とは何かについて共通の理解を築くことから始めるべきだと、Gosai氏は言う。

レベルの高いチームにとっては無駄なことかもしれませんが、それでも今あるものを強化することができます。一方レベルの低いチームにとっては、得るものが多いです。

InfoQではJitesh Gosai氏に心理的安全性の測定についてインタビューした。

InfoQ: 心理的安全性をどのように測定しているのか?

Jitesh Gosai氏:Amy Edmundson氏は、著書『The Fearless Organisation』の中で、チームメンバーが7段階のリッカート尺度で答える質問例を紹介しています。この質問例をチームの心理的安全性を測定するための入門に利用できます。

その反応から、リーダーは心理的安全性が低いか、中程度か、高いかを判断することができます。例えば、「低」の場合は、心理的安全性が低いと判断し、早急に対応する必要があります。

InfoQ:心理的安全度を測定してわかったことは?

Gosai氏:心理的安全性に関する質問を、定期的なチームの健康診断のアンケートに盛りこんで、全体的な傾向を把握できれば理想的です。

もし、回答が減少傾向にあるのであれば、その原因として最近何が起こったのかを確認できますし、逆に増加傾向にあるのであれば、その原因として何を改善したのか確認できます。チームは質問にできるだけ正確に答えることで、単なるチェックボックスのようなエクササイズではない効果を実感できるのです。

リーダーと仕事をしていると、自分の行動がチームにどのような影響を与えるかは分かっていても、心理的安全性と関連付けられていないことが多いです。そのため関連付けを支援することで、チームの心理的安全性に即座に影響を与えられるのです。

Gosai氏は、Learnings from Applying Psychological Safety across Teamsの中で、心理的安全性の考え方を応用して、人々が安全に対人関係上のリスクを取れるようにした方法を説明している。トップダウンとボトムアップを組み合わせた心理的安全性の高い環境づくりでは、リーダーシップとコミュニケーションスキルのチームワークショップを補完することで、人々が発言し、失敗しても大丈夫だと思えるようになることを解説している。

作者について

この記事に星をつける

おすすめ度
スタイル

BT