Pomodoro Technique というパーソナルな時間管理手法が,アジャイル実践者の間で人気を獲得しつつある。Pomodoro には,アジャイルチームが使用するものによく似たプラクティスがいくつも含まれている。time-boxing,調査と順応(inspect-and- adapt)の繰り返し実施,ローテク志向のツール選択,継続可能なペースの維持に重点を置いている点,などだ。
Francesco Cirillo 氏がこの手法の開発を始めたのは,学生であった80年代のことだ。彼は当時,集中力を削ぐような雑用や割込みを減らして勉強時間を質的に向上する方法を模索していた。
そこで私は,自分でも情けないくらい簡単な賭けをすることにしたのです。「10分間,本当に集中して勉強することができるか?」と。そして客観的な証明手段,つまり時間を教えてくれるものが必要になりました。そこで見つけたのが pomodoro(イタリア語でトマトのこと)の形をしたキッチンタイマだったのです。
そして数年間にわたる改良の後,1992年頃には現在の基本形が出来上がった。Pomodoro では,作業を "Pomodoro" と呼ばれる中断のない25分間のセッションで実行する。各 Pomodoro の後に短い休憩があり,3ないし4つの Pomodoro で構成されるセットの完了毎には少し長い休憩がある。
この手法にはライトウェイトな計画とトラッキングも含まれている。1日の始めにその日の目的のリストを作成し,それぞれの完了までに必要な Pomodoro の数の見積をする。7つを越える Pomodoro を要するタスクは分割しなければならない。1つのPomodoro に達しないタスクは Pomodoro 1つ分になるまで集めてグループにする。
割込みや雑用はその場で記録して,現在の Pomodoro が終わり次第処理できるようにしておく。まれに割込みがこの方法で扱えないような場合には,現在の Pomodoro を中断して無効にする。Francesco の話では,次の Pomodoro ではこの部分を改良するということだ。
過去2年にわたって,Pomodoro Technique はアジャイルコミュニティの関心を引き続けてきた。Staffan Noteberg 氏によるこの手法の session が Agile2008 で大変な評判になり,コンファレンスの終了時には再演の対象に選ばれることになった。そして翌年の Agile2009 に Staffan が再演したセッションのタイトルが,Renzo Borgatti 氏の記している "You say tomato, I say Pomodoro" だ。
Pomodoro Technique についてもっと知りたい向きには,Francesco が 45 ページの書籍 と 1ページの覚書 を用意している。いずれも Pomodoro Technique Webサイト からダウンロード可能だ。
Pomodoro Technique を試したことがあるならコメントを残してほしい。あなたの経験を分かち合おう。