Googleは今週,Ubiquity Dev Summit 2016と題した,自社のIoT – Brillo, Weave, Beacon – およびウェアラブル,TV,自動車に関する技術セッションを開催している。
Ubiquity Dev Summit 2016が今週開催され,IoTやウェラブル,Chromecast,TV,自動車など,普及途上のデバイスをターゲットとする上で有効なGoogleのテクノロジのいくつかが開発者に紹介された。Brillo, Weave, Beacons, Google Cast, Android TV, Android Autoなどに関する基調講演やセッションの中から,今回はIoTセッションの要約を紹介する。
GoogleがIoT市場に参入するのは,それが重要な市場であると同社が見ているからだ。初日の基調講演で公開されたIDC, Intel,国連による調査では,2020年に2,000億近いスマートデバイスが存在し,一人当たり26台のデバイスを所有するようになる,とされている。これらのデバイスはウェアラブルなものだけではない。大部分は他の産業によって開発されて,さまざまな技術に組み込まれる。主要なIoTメーカを対象とした調査では,IoTを促進する上で大きな問題となるものとして,相互運用性,セキュリティやビジネスケース,レガシハードウェア,技術の成熟,プライバシの順に挙げられている。Googleは2つのテクノロジ - BrilloとWeaveで,IoTの相互運用性とセキュリティ,プライバシに焦点を当てる。
WeaveはNestが開発し,その後Googleによって買収されたデバイス対デバイスの通信プロトコルで,その内容は以前の記事でも紹介している。Brilloは,コアサービスと開発ツールキットを備えた組込みOSで,OTAアップデートをサポートし,他デバイスとWeaveで通信する。OTAアップデートは,Googleが将来的なセキュリティ問題に対処する上で必須と考えている技術である。BrilloはAndroid HALによって,さまざまなハードウェア上で動作する。基本的なアーキテクチャは次図に示すようなものだ。
WeaveはBrilloに組み込まれる他,Android, iOSおよびWeb用ライブラリとしても提供される。アーリアダプタはインビテーションを要求して,BrilloとWeaveを試すことが可能だ。
Googleが取り組むもうひとつのIoTテクノロジはBeaconである。これは屋内のスマートデバイスがセマンティックな位置情報を提供するための技術だ。Googleは人々が屋内で過ごす時間 - 全時間の90%,に基づいて,これを重要な技術と位置付けている。このようなデバイスは,屋内でのナビゲーション,近接感知型の通知(入り口でのチケット確認),正確な位置情報機能(注文された食事をテーブルに運ぶ)などに利用される。
Beaconデバイスは,Bluetooth Low Energyを使用した一方向信号送信機である。一方向であることで,スマートフォンなど他のデバイスとのペアリングを防ぎ,ユーザのプライバシを保護する。消費電力を最小化するためBeaconは,最大で20バイトという,非常に小さなペイロードを送信する。ペイロードにはURLやUID,あるいはテレメトリ情報を含むことが可能で,オープンソース化されたプロトコルであるEddystoneを使って送信される。Android用とiOS用のSDKが用意されている。
これらの技術に関する詳細を知るには,Ubiquity Dev Summit 2016のセッションを録画したGoogle DevelopersのYouTubeチャネルがよいだろう。