リーダシップは聞き取り(listening)から始まる。聞き取りは影響力を増幅する。Heidi Helfand氏がAgile2018カンファレンスで、よりよいリーダになるための聞き取りのスキルについて講演した。聞く耳を持つリーダは、チームに大きな影響を与える。スローダウンして注意を払って意見を聞くか、一足飛びに答を与えるかは、影響の場所に関わる。遠回りに思えるかも知れないが、その結果には永続性がある。
あなたにとって、これまでで最高のリーダは誰だろうか?なぜ最高なのだろうか?聞くことが最上位のスキルであったことが、彼らをして“最高のリーダ”たらしめていたことに、おそらく間違いはないだろう。偉大なリーダは励まし、刺激し、動機付けし、思いやりがある。これらすべての資質には、優れた聞き取りスキルが必要だ。聞き取りスキルを向上させるには、まず自身の聞き取り能力を自覚した上で、自分が何を重視していて、対話している時にそれがどこにあるのかを認識する必要がある。
Helfand氏は、影響力と聞き取り能力を増幅する3つのツールを公開した。
- 聞き取りレベル
- ミラーリングとパラフレージング
- パワフルな質問
聞き取りレベルは、我々の重点を気付かせてくれる。Helfand氏は我々に3つの聞き取りレベルを体験させ、状況に応じてどのレベルを使うのかを実践した。最初は内向きを重視した。これは自分自身の心と、自分自身の空間を問うものだ。外向きを重視するのは、他の人に注意を向けて聞くときだ。第3のレベルでは、ボディランゲージと環境に重点を置く。これは、他の人のボディランゲージや、あなたとその人を取り巻く環境に注意を向ける場合である。重要なのは、いついかなる時も、自分がどのレベルで聞いているのかを認識することだ。
ミラーリングとパラフレージングは、自分自身と会話への参加方法をどのように表現するか、ということに関わるものだ。ミラーリングでは、他の人と物理的に一致する。相手が笑えば、自分も笑う。相手に集中して、本当に聞く意図を持っている場合に、自然に現れることの多い、強い意思を持ったコンタクトである。パラフレージングは相手の言ったことをそのまま繰り返すのではなく、相手の言った意図を自分がどう思ったかを要約するものだ。相手が見せている感情を認識して肯定すること、明確化のための質問をすること、さらに深く進むことなどもこれに含まれる。
第3のツールはパワフルな質問(Powerful Questions)である。これは話し相手の洞察を呼び起こす。一言で回答できる質問ではなく、答えにくい場合も少なくない。パワフルな質問はまた、聞き手としての情報収集ではなく、話し相手が考えをはっきり述べて前進し、新たな道を切り開くのを支援するものでもある。パワフルな質問の例をいくつか挙げると、
- 何を望むのか?
- これに関して、何が重要なのか?
- 考えられるワンステップは何か?
- どうなって欲しいのか?
- どのようにアプローチするつもりなのか?
ツールにはそれぞれの目的があり、アドバイスを必要とする場合もある。聞き取りレベル2と3は相手に行動を起こさせる。それはリーダとしての我々が、しばしば影響を与えたいと思う部分である。話し相手をあなたが認め、意思が通じてさえいれば、結果を得るためにツールを一緒に使用しても、あるいは単独で使っても構わない。
よい聞き手、それがすなわち、よいリーダなのだ!
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