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かんばんはただの常識か?

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原文(投稿日:2013/09/09)へのリンク

定期的に集まり、学んだことを話し合い、新しいアイデアをブレーンストーミングする経験豊かなリーン・アジャイルコーチのチームがあり、私はそのチームに参加する特権を持っています。昨年の集まりでは、「ウォーターフォール」チームにトレーニングを提供するというリクエストをどうやってうまく扱うかを探っていました。ランチの時に楽しく話し合い、私は簡単なことを提案しました。メッセージが受け取られ、理解されるまで、グループの前に立ち、繰り返し「ノー」というのです。こうして、Introduction to Waterfall(ウォーターフォール入門)というトレーニングのスライド資料が作成されました。

もっと真剣に考えると、私はこれがよいアプローチだとは思えませんでした。以前は、既存のアプローチに「ノー!」と言い、よりよい解決策だと思うものをすぐに提案することで、顧客との関係を保っていました。しかし、今は、数多くの選択肢を提案し、それぞれの可能性のある影響を説明する前に、最初に現在の状況を理解しようとします。

2007年にDavid Anderson氏の講演でかんばんのアプローチについて聴いた後、かんばんは、私の現在のアプローチに最も影響を与えてきました。その時からAnderson氏は、彼の著書「かんばん:テクノロジビジネスの成功した進化的変化」の中で、原則とプラクティスとして、かんばん手法を詳細に記録してきました。その一方で、私は、「かんばんシンキング」(図1を参照)と呼ぶ、もう一つのモデルを開発してきました。この名前を選んだのは、特定の解決策を示すよりも、かんばんベースの技術を使いながら、開発の問題を解決する考え方を表す方法として、このモデルを進化させてきたからです。そうすることの目的の1つは、ここ数年で学んだことから大切なことをつかみながら、規定するのを避けることでした。これを可能にする重要な要素は、経験則がかんばんシステムを設計するように私たちを導くことと、かんばんの妥当性を判断して受ける影響を識別できることです。

 

図1 - かんばんシンキング

従って、この記事のタイトルにある質問に対して、かんばんが常識かどうかの答えは、「ノー!」です。しかし、常識は経験則の例であり、わたしは、かんばんが製品開発の数多くの挑戦を解決するための経験則に基づくアプローチだと信じています。経験則とは何か、経験則が正しいアプローチだと私に気づかせた第一の原因、そして、かんばんシステムを設計するために経験則をどのように使えるかについて、この記事の残りの部分でさらに調べましょう。
 

経験則

Merriam Websterオンライン辞書によると、「経験則」(heuristic)の意味は、次の通りです。:

"実験的、特に、試行錯誤する方法によって、学習、発見、または、問題解決の手助けとして関係したり、役に立ったりすること。また、パフォーマンスを向上させるために(フィードバックの評価として)、自己学習技術を利用する、調査のための問題解決技術に関係していること。

1つも明らかに正しい答えがなく、何をすべきか自分自身で見つけ出す必要があるような状況で、どれだけ経験則が適切かということが、この定義から分かります。経験則の集まりとしてかんばんを考えるならば、かんばんは「パフォーマンスを向上させる」方法を「学ぶ役に立ちます」。私たちは、良いプラクティスや最高のプラクティスを単にコピーするよりも、よりよい結果が得られるかもしれません。

私は、個人的な経験則を発見しました。それは、3回、ある考えや概念が頭に浮かんだら、そのことに注意を払うべきです。3回は何かしら重要なことに違いないからか、その考えに気づく前に3つの実例があるからかどうかはまだ決めていません。このことについて最初に気づいたのは、XPを試していた時だと覚えています。経験則は最近の例であり、以下の示すのは、私がハッとして気付いた経験則の3つの実例です。
 

経験則はルールを置き換える - Dave Snowden氏

Dave Snowden氏は、Cynefinモデル(Figure 2)との関連で経験則について言及しています。そして、今年初めのブログ投稿、Rules is rules(ルールはルール)の中で、次のように述べています。

"私たちは、いつ、誰が反対側の境界線にあるルールや経験則を敗れるかについて明確なルールが必要です。もしあなたがルールを破らなければならないのであれば、それは構いません。ルールを破るようなこともあるでしょう。しかし、その場合は経験則に従わなければなりません。"

右側の規則正しいドメインを当てはめたルールと、左側の無秩序なドメインを当てはめた経験則を、Snowden氏は区別しています。例として、米海兵隊で元の戦闘計画が失敗した時に使う3つの経験則を引用しています。3つの経験則とは、優位な立場を得て、連絡を取り合い、動き続けることです。

図2 - Cynefin

シンプルと複雑というCynefinの規則正しいドメインでは、原因と結果は知られているか、知り得ることです。シンプルな問題では、自明であるベストプラクティスに基づくルールを当てはめて、認識、分類、応答のアプローチを使います。それよりも複雑な問題には、達人の知識から来る、良いプラクティスに基づくルールを当てはめて、認識、分析、応答のアプローチを使います。

複雑で無秩序なドメインでは、しかしながら、システムは原因ではなく、天の配剤です。つまり、原因と結果は、振り返った時にだけ首尾一貫したものになり、繰り返すことはできませんが、全体の影響は同じようなものです。複雑な問題には、調査、判断、応答のアプローチを使い、新しいプラクティスを見つけるために、経験則に導かれる、失敗しても安全なことを試します。さらに、混乱している状況では、行動、判断、応答のアプローチを使い、素早く決定し、奇抜なプラクティスを見つけ出します。

私たちは、しばしば(必ずしも常にではありません)複雑な問題に関してかんばんシステムを作っているので、新しく生まれたプラクティスがどのようなものか決めるのに、経験則を使うのがふさわしいと分かるでしょう。

Snowden氏は、複雑なシステムを扱うために、彼自身の一般的な3つの経験則を提案します。これらの提案は、複雑なシステムが壊れないように、また、複雑さを吸収できるようにするものです。

  • 分散認識 - つながった部分のネットワーク。中心部からよりもむしろ、ネットワーク全体で共有する知識を持つ。自己組織化した、クロスファンクショナルチームは、この経験則が当てはまる例です。
  • 仲介なし - 変換して解釈するのではなく、ソースからデータに直接アクセスします。情報ラジエータや視覚制御は、この経験則が当てはまる例です。
  • 粒度の細かいオブジェクト - 小さな建築ブロック。1つの壊れやすい実体を持つよりも、簡単に作り直せる。小さなチームや小さなストーリーは、この経験則が当てはまる例です。
     

経験則は代用できる - Daniel Kahneman氏

最近のベストセラー「Thinking, Fast and Slow」(考える、速く、そして、ゆっくり)の中で、Daniel Kahneman氏は、私たちが判断して決定する方法について述べ、経験則を次のように定義しています。

「適切だと分かるようなシンプルな手続き。しばしば難しい質問に対する不完全な答えであるけれども。「eureka」(見つかった)という言葉と同じルートから来る言葉。」

このように、経験則は私たちが過去に解決できなかった問題を解決するために使われます。すでに知っていることについて、「見つかった!」という瞬間が訪れることなど聞いたことがないでしょう。特に、Kahneman氏は、私たちが難しい質問をもっと簡単な質問に代えるのに経験則を使うと言い、たくさんの特定の出来事を提案しています。

1つの例は、有効性の経験則です。私たちは、難しい質問を記憶から簡単に思い出せる、1つの関連のある例に代えます。Kahneman氏がある実験を行い、人々に次のように聞きました。「Kという文字を考えてください。Kは、最初の文字として現れることが多いですか? それとも、3文字目ですか?」 大抵の人々は、この質問の統計的な答えを知りません。そこで、私たちは、代わりに「1文字目がKの言葉と3文字目がKの言葉をいくつ思いつきますか?」という質問をします。このように質問すると、大抵の人々は3番目にKがある言葉よりも、最初にKがある言葉の方が多いという結論にたどり着きますが、統計的にはその逆です。

もう1つの例は、代表的な経験則です。この経験則では、難しい質問をよりよく知っていて似ていることに代えます。Kahneman氏は、次のような質問をします。「ある人を次のように近所の人に紹介します。「Steve氏は、とてもは恥ずかしがりやで、引っ込み思案です。常に手助けをしてくれますが、人や現実世界にあまり興味を持っていません。おとなしくてきちんとした魂の持ち主であり、彼は秩序や構造、そして、詳細に関する情熱を必要としています。」 Steve氏は、図書館司書でしょうか、それとも百姓でしょうか」 統計的に、図書館司書よりもずっと多くの百姓がいます。しかし、大抵の人は図書館司書と答えます。今述べたことが図書館司書らしいと思えるからです。

上記の例は、経験則が認識のバイアスの影響を受けることを示すために選ばれました。このような場合、代用は間違った答えを導き出すかもしれません。代用は役に立ちますが、前述した米海兵隊の経験則を使うことで、優位な立場に立ち、連絡を取り合いながら、前に進むことが分かるでしょう。これらは、普通、どこが優位な立場か、どのように連絡を取り合うか、次は誰と何をするのかといった質問につながります。同様に、かんばんシステムをデザインするために、経験則をどのように使うかを理解できます。複雑なシナリオに関する難しい質問に答える時、別の質問やより簡単な質問に代えられます。完璧な答えを保証せずとも、十分改善できる回答を得られるかもしれません。
 

経験則が新しい可能性に導く - Roger Martin氏

デザインシンカーであるRoger Martin氏が、彼の著書「The Design of Business」(ビジネスデザイン)の中で、経験則を次のように述べています。

「可能性を組織的に調査することで、解決策に導かれる経験的な常識」

Martin氏は、謎から、経験則やアルゴリズムへと知識が変わって行く「知識のじょうご(Knowledge Funnel)」(図3)と呼ぶものについて述べています。こうして、経験則は可能性の調査と、解決策の調査の間で移り変わります。

 

図3 - Knowledge Funnel

この移り変わりは、常にじょうごの上から下への1方向であるべきではありませんが、アルゴリズムは過去に基づいたものであり、未来は常に変化して不確かなものです。Martin氏は、妥当性と信頼性の違いについて話します。過去に信頼できたアルゴリズムは、実際には有効でないかも知れず、未来では失敗するかもしれません。朝、農夫がにわとり小屋に到着した時に、必ずえさをもらえると思っているにわとりの話をBertrand Russell氏がしたことを話しました。にわとりの予測は信頼できると分かりますが、有効ではありません。このにわとりは、ある朝、農夫が斧を手にしてやったのを見つけたのです。このように、経験則は、謎を調査することの有効性と、アルゴリズムを利用する妥当性について、その必要性のバランスをとる方法を提供します。

妥当性を探し、新しい可能性を調べるには、仮説的ロジックを使う必要があります。帰納的、または、推論的ロジックとは区別して、仮説的ロジックはCharles Sanders Peirce氏によって提唱された考え方です。「過去のデータを使って、帰納的、または、推論的に証明できる新しい考え方はない」とPeirce氏は言いました。Nassim Taleb氏によって発達し、今年の初めに私と話したJabe Bloom氏によって展開してきたブラックスワンのミーム(訳注:再現・模倣を繰り返して受け継がれて行く社会習慣)を使って、その違いを示すことかできます。帰納的ロジックは、「何が」というロジックです。もし、私が白いスワンしか見たことがなければ、私は、すべてのスワンが白いことは間違いがないと、帰納的に言えます。推論的ロジックは、「どんなものであるべきか」というロジックです。もし、私がすべてのスワンが白いと知っていたら、私は、黒い鳥はおそらくスワンではないと、推論的に言うことができます。ところず、仮説的ロジックは、「もしかしたらこんなものだ」というロジックです。もし、私がスワンのような黒い鳥をみたら、黒いスワンがいるかもしれないともっともらしく仮説的に提案できます。

もう一度、米海兵隊の経験則に戻ると、経験則はどうやって戦闘に勝つかという謎を調査し、新しい計画の形で、新しいアルゴリズムを思いつくために使われます。同様に、かんばんシステムをデザインする時に、私たちは、組織的な調整に対して、有効な解決策を見つけるという謎を調査するために経験則を使います。この場合、可能性を見つけて定義するために仮説的ロジックを使い、その内容に合わせて信頼できるアルゴリズムを定義するようにします。経験則は、私たちが学べる、驚くべき結果を導き出すかもしれません。内容が変化するにつれて、私たちはアルゴリズムがその妥当性を維持して進化し続けられるように、経験則に戻ることができます。
 

かんばんの経験則

私たちは、製品開発に関連する挑戦について考える時に、経験則の概念がどれほど強力かを見てきました。実際に、アジャイルマニフェストは、特定のアルゴリズムである、個々のアジャイルプロセスとプラクティスを使って、経験則をまとめたものだと考えられます。かんばんは、また、経験則に基づくアプローチであり、Martin氏の記事の始めに示されたかんばんシンキングモデルとして理解できます。かんばんシンキングモデルは、注目すべき重要な分野を含む5つのかんばんの経験則と、改善に関する3つの影響が含まれています。

経験則は次の通りです。

  • 内容を調べる
  • 理解したことを共有する
  • 作業を含む
  • 能力を読み取る
  • 可能性を見つける

影響は次の通りです。

  • フロー
  • 価値
  • 可能性

これらの経験則を適用し、影響を調べることで、ルールの定説を避けたいと思います。代わりに、製品開発の謎を調査し、独自のアルゴリズムにしながら、簡単な質問に答えることで直面する、難しい挑戦に応ずるために、私は経験則を使います。
 

内容を調べる

W. Edwards Deming氏の「The New Economics」(新しい経済)の中に、「知識に代わるものはない」という有名な言葉があります。内容を調べることは、現在の状況を改善するために、その状況に関する知識を得る手段です。この経験則により、現在の状況について学べることに関する代わりの質問をすることにつながります。顧客の目的は何ですか? 顧客に共感するためにできることは何ですか? 作業の本質は何ですか? 需要を分析するために何ができますか? 別の需要のために遅れるとどのくらいコストがかかりますか? 作業を進めるために何をしましたか? また、作業が遅れたところはどこですか? 最初の考えから最終的に使用されるまで作業が進みながら、何が作られ、変更されましたか? これらの質問は、共感のマッピング、需要分析、または、バリューストリームマッピングのようなプラクティスへと導きます。
 

理解したことを共有する

通常、かんばんボードの形で、現在の状況を理解し共有することは、人々が本質的にモチベーションを上げる環境を作り出します。Daniel Pink氏の「Drive」という著書の中で、自律性、熟練、目的、そして、理解の共有によって生み出される本質的なモチベーションは、自己組織化(自律性)、改善(熟練)、納品(目的)を可能にすることで実現できます。この経験則により、誰でも同じように現在の状況に気付き、よく知っているようにするために何ができるかに関して、代わりの質問をするようになります。みんなが理解するために重要なことは何ですか? 誰でも見て、読んで、影響を与え合うように、どのようにモデル化と可視化ができますか? 私には、可視化のためのTIPと言う、理解の共有を生み出すために使うさらなる経験則があります。それは、トークン、登録、配置です。情報を伝えるためにどのようにトークンを使いますか? 情報を伝えるために何を示しますか? トークンを配置して、どのように情報を伝えますか? これらの質問により、チームは設計し、所有し、継続的に進化する可視化を可能にします。
 

作業を含む

かんばんシステムは、境界があったり、システムが進化しながら制約がなくなったりするコンテナとして考えられます。そのような境界がなければ、システムは大混乱に陥るでしょう。そのため、作業を含むことで、進行中の作業の制限や、これらの境界を作るはっきりとした方針を定義できます。この経験則により、作業を含むために定義される境界について、代わりに質問されます。どのくらいの作業が進行中ですか? どこで進行中の作業を制限できますか? 進行中の作業の制限はどのくらいで合意できますか? 不安定、または、予測できない作業のフローはどこですか? どの明示的な方針で、遅れを減らし、フローを改善できますか? どこで品質を改善できますか? どの明示的な方針で、間違いや作業のやり直しを最小化できますか? これらの質問によって、プロセスの様々な段階で入力と出力の基準になる「準備完了の定義」と「完了の定義」のような方針と同様、進行中の作業を制限する決定ができるようになります。
 

能力を読み取る

作業が何か、そして、どのように完了できるかについて知識を得ることと同様に、どのようにうまくできるかを知ることも重要です。かんばんシステムの能力を読み取ることは、その能力を測り、影響を与え合うことによってパフォーマンスの感触をつかむことも含まれます。この経験則により、システムが現在どのくらいよく動いているかの見つけ方に関して、代わりの質問をするようになります。現在、作業のフロー、価値の納品、または、可能性の創造に対して、どのような影響がありますか? 生産性、反応性、予測可能性、品質、従業員との契約、顧客満足度をどのように計測できますか? これらの計測から何が分かりますか? リズムを作るのに役立つように定期的に影響を与えられるものは何ですか? 優先順付けや、補充、計画、レビュー、作業のリリースをいつしますか? これらの質問により、ミーティングのリズムや作業を進める出来事を確立し、スループット、リードタイム、納期パフォーマンス、製品欠陥、従業員の維持、顧客満足度のスコア等のメトリクスを知ることができます。
 

可能性を探す

かんばんシステムの可能性を探すことには、新しい製品やサービスではなく、新しいプロセスを作り出すことに当てはめ、検証された学習のアプローチを取ることが含まれます。そのため、 Eric Ries氏による「リーンスタートアップ」と比べられます。Ries氏は、非常に不確実な状況のもとで新しい製品やサービスを作るようにデザインされた人間社会として、スタートアップを定義しています。かんばんシステムの可能性を探すことは、現在の状態を知った上で始め、そこからいろいろ試すことが含まれます。これは、未来の状態をデザインして定義した上で、そこに向かって進むアプローチと対照をなします。この経験則によって、どのように継続的にかんばんシステムを変化させて改善するかに関して、代わりの質問をするようになります。フローや価値、可能性に対してより多くの影響を与えるのは、どのような変化ですか? どのプラクティス、または方針が拡大されますか? 使われなくなるのはどれですか? どの試みからより多く学べますか? 自分たちが改善していることをどのように知りますか? これらの質問をすることで、A3 ThinkingやTOYOTA Kataのようなアプローチを使うようになります。これらのアプローチは、学びから得て、共有された知識を使います。試みた方針の変更と共に、その結果は、期待する影響が得られるかどうかが見えるようになります。
 

かんばんの影響

上述された経験則とそれに伴う質問は、ユニークで前後関係によるプロセスアルゴリズムとなるかんばんシステムの設計をする役に立ちます。チームは、普通の状況でも、常にさまざまな変化があります。私は、そのデザインは間違っているといつも言います。いつも正しい答えはなく、常に改善の可能性があります。最初の試みで完璧なかんばんシステムを設計したチームと働いたことは、今まで一度もありません。かんばんシステムが正しいかどうか知ることよりも大切なのは、期待通りの影響を与えているか、そして、調査のための変化が影響を増やしているか、それとも減らしているどうかということです。これらが、かんばんシンキングのモデルで、私が求めている影響です。
 

フロー

作業フローを改善して影響を与えることは、「物事を正しくしている」か、効率を改善している結果です。進行中の作業を制限し、まとまりのサイズを小さくして、遅れを減らすことで、フローは、最初の構想から最後の消費までの作業をよりスムーズにして、定期的なプロセスを増やせるようになります。改善されたフローにより、次のような結果を達成できるようになります。

  • 不要な遅れや作業のやり直しを避けられるので、予測可能性が増す。
  • より多くの作業を完了できるので、生産性が向上する。
  • 作業がすぐに完了するので、反応が良くなる。

上述された知識のじょうごにあるRoger Martin氏の用語を使えば、フローが良くなれば、信頼性が増します。
 

価値

作業の価値を改善して影響を与えることは、「物事を正しくしている」か、効率を改善している結果です。より素早いフィードバックを得て、リードタイムが短くなれば、より速く検証できます。投資の管理されたポートフォリオ、バリューストリームの中の作業の制限、遅延コストを考えて選択することで、よりよい経済的結果を得られます。価値を改善することにより、次のような結果を達成できるようになります。

  • 顧客のニーズに合うので、顧客満足度が向上する。
  • より価値のある作業が納品されるため、生産性が向上する。
  • 機能が期待通りに動くので、品質が向上する。

Roger Martin氏の知識のじょうごでは、改善された価値は、妥当性が増します。
 

可能性

作業をする人々の可能性を改善して影響を与えることは、どのように「物事を正しくしている」か、幸福感を改善している結果です。人々の人生からストレスと重荷を取り除き、知識を確立するゆとりを生み出すことで、未来により多くの可能性が生まれます。可能性を改善することにより、次のような結果を達成できるようになります。

  • スタッフのモチベーションが上がり、幸せなので、従業員の契約期間が長くなる。
  • 作業が約束された時間内に終わるので、反応が良くなる。
  • 製品とサービスが自由に進化するため、品質が上がる。

このことに関して、Roger Martin氏は同等の言葉は用いていませんが、改善した可能性によって人間性が増すことは、リズムのあるパターンに当てはまるでしょう。
 

結論

かんばんは常識ではありませんが、常識のように見えます。経験則に基づくアプローチなので、組織の中でソフトウェアや製品の開発に挑戦する方法を考えるのに役立つでしょう。かんばんシンキングモデルは、フロー、価値、可能性という3つの影響と共に、学習、共有、包含、感覚、調査という5つの経験則に基づくアプローチを含んでいることをここで述べました。

要約すると、ここにあなたに持ち帰ってほしい3つの提案があります。

  1. ルールに厳密にこだわって、プロセスに従うという定説を避けましょう。代わりに、複雑な問題に取り組むために、経験則を使いましょう。
  2. 複雑な問題から出される複雑な質問があったら、簡単な質問に代える5つのかんばんの経験則を使いましょう。
  3. これらの簡単な質問に答える時、「もしそうだったら?」という仮説的なロジックを使いましょう。この質問から驚くほどのことが学べるでしょう。

このアプローチは、短期間のただの問題解決ではなく、長期間の問題解決力を発展させるでしょう。そうすることで、持続可能で、継続的に妥当性と信頼性のバランスを取り、人間性を高めることができる、学習する組織を作り出せます。

最後の例え話は、Strictly Come Dancing (または、Dancing with the Stars)を見ていること告白しなければなりませんが、様々なダンススタイルは、経験則によって決められていると言えるでしょう。例えば、タンゴは、タンゴに決められている特徴があります。チャチャチャの特徴とはまったく違っています。タンゴは、その解釈がアルゴリズムの中に定義された時にまったく違うものになります。私はダンスのエキスパートではなく、この例えの持つものを仮定していることを認めます。しかしながら、大まかに見れば、かんばんはダンススタイルのようなものであり、かんばんスタイルについて話すことは効果があります。
 

著者について

Karl Scotland氏は、開発からプロジェクト管理、チームリーダーシップ、コーチングとトレーニングまでカバーする、20年の経験を持つ多才なソフトウェア実践者です。ここ10年間、Karl氏はアジャイル手法をうまく適用してきました。最近は、ソフトウェア開発にかんばんシステムを使うパイオニアであり、提唱者になっています。現在は、英国のRally Softwareのアジャイルコーチであり、Lean Systems SocietyとLimited WIP Societyの創立会員です。そして、以前は、BBC、Yahoo!、EMC Consultingでアジャイルとリーンシンキングを支持していました。Karl氏は、最近の彼の考えをブログに書いています。

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