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【QCon Tokyo 2015 講演レポート】ビジネス価値を創造するハイブリッド・クラウド マイクロ・サービス指向のBluemixでアプリケーションを革新

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ハイブリッド・クラウドは、オンプレミスからパブリック・クラウドへ移行するための単なる過程ではない。多様なデータとサービスの柔軟かつ適材適所の組み合わせによってビジネスに革新を起こす、価値創造の基盤となるものだ――。日本IBMの浦本直彦氏は、ハイブリッド・クラウドの本質をこのように示唆するとともに、マイクロサービス指向のアプローチによって次世代のPaaSを体現するBluemixの特長を紹介した。


<講演者>
日本アイ・ビー・エム株式会社
東京ソフトウエア&システム開発研究所 クラウド開発 部長 シニアテクニカルスタッフメンバー
浦本 直彦 氏

 

パブリックかプライベートかの2者択一ではなく
"いいとこ取り"でより良い成果を達成する


今年2月にラスベガスで開催されたIBM InterConnect2015でもハイブリッド・クラウドは重要なテーマとして取り上げられ、注目度は高まるばかりだ。
ここであらためて考えてみたい。そもそもハイブリッド・クラウドとはいかなるものであり、なぜそれが必要なのだろうか。定義的には、2つ以上のクラウド・サービスを組み合わせた運用形態がハイブリッド・クラウドとされ、一部にはオンプレミスのシステムをパブリック・クラウドに完全移行するまでの途中プロセスとする考え方もある。
だが、「ハイブリッド・クラウドは決して過渡期のものではありません」と強く主張するのが、日本IBM 東京ソフトウエア&システム開発研究所クラウド開発の部長を務める浦本直彦氏である。
データは社内外を問わず世界のいたるところで発生する。データの遍在性は本質的なものであり、データを移動させるためには例えばネットワークのコストが発生することがある。一方で、単体では大きな価値を生み出さないデータでも、それらを組み合わせることで価値を増大させることができる。さらにアプリケーションやサービスにはセキュリティやコンプライアンスなど、データをどこでどのように処理するかには様々な特性や制約が生じる。したがって、プライベート・クラウド(あるいはオンプレミス環境)か、パブリック・クラウドか、という2者択一ではなく、満たさなければならない要件や、かかるコストの観点から「両者の"いいとこ取り"をし、より良い成果を達成できる運用形態こそが、ビジネスの変革をもたらすというクラウドの本来の目的に適ったものなのです」と浦本氏は語る。
このハイブリッド・クラウドと組み合わせてIBMが展開しているのがオープン・クラウド戦略だ。大規模運用に最適化されたインフラを提供するIaaS、構成可能で統合されたアプリケーション開発環境を提供するPaaS、高機能なビジネス・アプリケーションを柔軟に利用できるSaaSから、ビジネス変革を実現するBPaaS(Business Process as a Service)まで、オープンな技術に基づく広範なハイブリッド・クラウドのポートフォリオが用意されている。


最先端のコグニティブ・テクノロジーも
容易にアプリケーションに組み込める


IBMが手がける多彩なハイブリッド・クラウド・サービスの中でも、「特に重点的な投資を行っている取り組み」(浦本氏)として注目したいのがBulemixである。IBMが提供するIaaS環境であるSoftLayerをプラットフォームとし、PasSのオープンソース実装の1つCloud Foundryやdockerによるコンテナ管理、OpenStackによるVM(仮想マシン)管理など、複数のオープン・スタンダードに準拠した新タイプのPaaSだ。
そしてBluemixの最大の特長となっているのが、データベースやメッセージ・キュー、ビッグデータ解析など、Bluemixが提供するアプリケーションに必要な機能単位のコンポーネントを自由に選んで利用できる「マイクロサービス指向」の追求である。「利用したい開発言語やサービスを選択すると、わずか30秒でBluemixのランタイム環境にデプロイされます。開発に必要なソフトウエア、ハードウエア環境を構築するための労力が劇的に削減されます」と浦本氏は強調する。
こうしたことからBluemixは、「ただのPaaSではない」と評価されているのである。
すでにBluemix上にはランタイムや組み合わされたサービスの雛形であるボイラープレートを含めて100以上のサービスが用意されており、例えば「IBM Watson(ワトソン)」を基盤としたサービス群も気軽に利用することができる。ちなみにIBM Watsonとは、コンピューターでありながら、人と同じように情報から学び、経験から学習するコグニティブ・テクノロジーだ。具体的には、自然言語による質問応答や機械翻訳、性格診断、画像認識などのサービスがBluemixを通じて提供されおり、「シンプルなAPIを通じてこれらの機能をアプリケーションに組み込むことで、かつてないビジネス価値を創造することができます」と浦本氏は語る。
Bluemixは30日間無料で使用することができ、一度試してみる意義は大きい。

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