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Grails の 1.0 へ向けての活発な動き

Webフレームワークは、ここ数年急激に生産性を重視するようになってきた。Ruby on Railsは、高速Web開発の代表的なものと多くの人から考えられており、従来のフレームワークに大きな影響を与えた。Javaの市場では、多くのフレームワークがRuby on Railsの動きに触発されて、生産性の向上、高速開発、およびスクリプト言語のサポートを目指すようになった。GrailsからStripes、RIFEからTrails、Tapestry 5.XおよびPhobosなど、多くの人々が、JavaによるWeb開発環境の生産性を向上させ、拡張可能なWebアプリケーションを構築できる高速環境を実現するための新たな手段を求めている。

Grails (JavaプラットフォームでGroovyを使用する、Railsと同様のスタイルのWebフレームワーク) は、最近多くの関心を集めており、コミュニティも急成長している。また、TropicanaやPepsicoなどの大企業での製品の使用も増えている。Grailsは、Ruby on Railsと対比されることがよくあるが、これはチャンスになる場合と、その逆になる場合とがある。既知のプラットフォームでのRailsと同様のフレームワークの力に魅力を感じる人もいるが、そうした人は、Rails自体に移行していく可能性もある。最近の比較では、現在のところ、Grailsの方がパフォーマンスの点で優れているとされている。ただし、Rubyの新しいリリースでは全体的にパフォーマンスが向上することが確実と見られており、この状況も変わる可能性がある。

Grailsが Rubyをサポートすることについての議論もあったが、現在、その可能性は低いと見られている。RubyとGrailsの統合に限らず、Grailsの一部を他のアプリケーションに統合する場合は、Grailsのオブジェクト/リレーショナルマッパー (GORM) が使用できることは明らかである。これは、Javaデスクトップアプリケーションなど、Grailsのコンテキスト以外で使用できる。主なIDEはいずれも、GroovyおよびGrailsのサポートを強化する動きを見せている。Netbeansでは IDEサポートについて議論がされており、IDEAでも GroovyJのための改善が議論されている。Eclipseには、 初期バージョンのGrailsプラグインと新しくリリースされたGroovy/Eclipseプラグインがある。Edward Povazan氏は、Big Sky Technologyとともにコード補完機能のサポート改善に取り組んでいる。

Grailsは、最近、バージョン 0.5 をリリースした。このバージョンでは、パフォーマンスの改善、カスタムURLの追加、GORMなどの強化などが行われている。ロードマップでは、次に0.6があり、今年の後半には1.0が予定されている。InfoQでは、Grailsの共同創設者であり、プロジェクトリードであるGraeme Rocher氏に、Grailsの現在の成功と今後について話を伺った。

Grailsへの関心が最近急速に高まったことについて、Graeme氏は次のように説明している。

Java開発者全体が設定は必要な作業ではなくなったと考えるようになり、Grailsはこの動きを代表するフレームワークの1つです。しかし、他のフレームワークに比べて、Grailsでは既存の Java知識、インフラストラクチャ、およびコードの再使用という点も強調しています。Grailsは、Railsと同じようにエレガントでありながら、Spring MVCやSeamと同じように柔軟でもあります。Grailsは、両方の世界の最も良い部分を備えています。最近の盛り上がりは、コミュニティと口コミによるものです。私達はまる1年をかけてリリース版の0.1を完成させましたが、これが大したものでなければ、誰も注目しなかったことでしょう。実際には、多数のユーザーが好感を持ってくれました。そのユーザーが評判を広め、Grails を選択肢の1つと考える人が増えるようになりました。

Grailsと、Java  Webアプリケーション開発向けの他のフレームワークとの比較については、次のように説明している。

Grails は、DRY (同じことを繰り返さない)、Convention over Configuration (規約は設定に勝る) という概念を取り入れています。実際、Grailsアプリケーションを開発するときに設定はほとんどしないといってもいいほどです。しかし、これに加えて、Java Enterpriseの各種、Spring、Hibernate、および SiteMeshなど、既存の API、ライブラリ、およびフレームワークも含めた Java との緊密な統合が実現されています。

 この他にもセールスポイントはたくさんあります。たとえば、拡張可能プラグインシステム、Hibernateを基盤とするドメインドリブン ORM 層、Groovy Server Pages (GSP) による強力なビューテクノロジなどです。

初めての人にGrailsをどのように勧めるかについては、次のように述べている。

実は、開発者に理解してもらうのは難しいことではありません。難しいのは、管理者レベル以上の人達です。ですが、私が本気でGrailsを使用するよう説得したいと思えば、5 分間の簡単なデモだけで購入してもらえる自信がありますよ。

Grailsの今後の方向性や、バージョン1.0およびその後のバージョンについて、Graeme Rocher氏は次のように説明している。

開発者の操作感を向上させることを重視し、秋までに1.0をリリースすることを目指しています。まだ大きな課題が少し残っているため、このバージョンは最終的なものへ向けた段階的な改善の 1 つです。残っている課題としては、GSP での JSP タグライブラリのサポート、JPA のプラグインとしての可能なサポート、および単体テストのインフラストラクチャの改善などがあります。

しかし今の大きな目標は、1.0 をリリースすることです。その後は、構築したインフラストラクチャを活用し、Grails が開発者の作業をさらに向上させることができるように多数のプラグインを作成していく予定です。たとえば、私はGrailsをプラグインとして連携させるGWTのGroovyコンパイラの作成に取り組みたいと思っています。これは魅力的なものになるはずです。

Grailsについてさらに詳しく知りたい場合は、InfoQでのGrailsに関する記事GrailsのWebサイト、『Getting Started with Grails』、および『Definitive Guide to Grails』を参照してほしい。

(原文は2007年5月1日にリリースされました)

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