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SunがMySQLを買収:その展望と、影響の分析

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Sun Microsystems(サイト・英語)は唐突に、MySQLデータベースを所有/開発しているMySQL AB社(サイト・英語)を10億USドルで獲得すると公表した(source)。InfoQはその発表と反応を分析し、MySQLの取締役会会長であるKevin Harvey氏(source)にこの取引の詳細、そして将来に向けての意味を聞いた。

Harvey氏はInfoQの取材に対し、SunのMySQL買収の背景には主に2つの要因があると述べた --(2つの要因とは)Web 2.0データセンターにおけるSunの役割を固める事、そしてオープンソースソフトウェアのリーディングプロバイダとしてのSunの地位を確かなものにする事である。その他にもSunのハードウェアの売上げを増加させる可能性(source)や、Microsoftに匹敵し得るオープンソース企業(source)としての明確な位置づけ、ここ2年間におけるSunの大きな方向転換(source)を示すものでもある。SunのCEOであるJonathan Schwartz氏(source)は、これら以外の大きなメリットを付け加えた(source)

” 世界中の顧客とWeb企業が驚異的な速さで採用してきたデータベースを、私たちは本当に買収しようとしているのです。” Schwartz氏はインタビューでこう話しました。”Webの大物はみんなMySQLを使っています -- 銀行や自動車企業、Fortune 500企業のほとんど全てが、彼らの店舗でMySQLを走らせているのです。”
[...]
”これにより、私たちは世界中のホットなWeb企業や、今後5年はホットであろう全ての企業にアクセスすることができます。”とSchwartz氏は言いました。 ”私たちにとって、これは全ての景色が変わるほどの変化なのです。”

MySQL にとっての合併のメリットは、Harvey氏の指摘によれば、Sunが持つリソースへのアクセスだと言う。MySQLはこれで、Sunが持つ顧客の幅広さを利用し、Sunが持つ既存のサポートシステムを活用し、Sunが持つ多数のポートフォリオ製品と統合して既存のMySQL顧客に対するアピールを拡大したり、新たな潜在顧客の発掘に役立てることもできる。この買収により、これまで企業規模の小ささが理由でMySQLに近づかなかったような巨大企業に MySQLが直接接触できるようになる、と言う点に同意する人もいる(source)。さらにRedMonkのMichael Coté氏(source)はこう推測している(source)。 "MySQLの買収は、またSunにとって、MySQL界隈のクラウドコンピューティングに関する見識者を取り込むことによって、Sunがクラウドコンピューティングを実現するよい機会になります"

「MySQL の方向性が変わるのではないか」と言う点について尋ねられると、Harvey氏はSunの代弁をすることはできないとしつつも、次のように示唆した。彼の理解によればSunはMySQLが持つ現在の方向性を維持し続けるだろう、そして現在MySQLが極めてうまくいっていることを考えると、買収後にSunが MySQLを大きく変えるとしたら驚きだ、と言う。Sunの主導権のもと方向性が変わることを望む人たちもいるし(source)、こうしてMySQLの方針が継続することを喜ぶ人たちもいる(source)

「今回の買収劇がオープンソースコミュニティに対してどのような利益をもたらすか」について尋ねられると、この買収はオープンソースビジネスモデルをさらに検証するものである、とHarvey氏は語った -- これにより、オープンソースプロダクトが多くの顧客価値をもたらしていることを示し、オープンソースが持続可能なビジネスモデルに成り得るかどうか、そして株主にとっての価値を生み出すことができるかどうか - 顧客のために役立つことと、素晴らしい製品をフリーで提供することを同時に実現しながら - の答えになるのだ。SpringSource(サイト・英語)のCEOであるRod Johnson(source)は、この視点に対して強く同意している(source)。彼が言うには、

これはオープンソースにおける商取引の新基準を規定するものです。今までのデータポイント(JBoss, Zimbra, XenSource, Gluecode)は、SunがMySQLに支払った10億ドルにはとても及びません。合計すればなんとかその額に達するといったところです。

Sun によるMySQL買収は、オープンソースのパワーと重要性が、テクノロジーにおける破壊的なエネルギーとして認知された一つの例として記録されます。 Jonathan Schwartzの元で、Sunは自身をオープンソース企業として変革している最中です。それはGlassfishというオープンソースアプリケーションサーバへの投資、Javaをオープンソースにしたこと、ティッカーシンボルを「JAVA」に変えた事などからもわかります。 Schwartzと Sunは意義深いチャレンジに直面しています:あなたなら、どうやって巨大企業をソフトウェア企業に変革していきますか?その過程で、パワフルな現役社員に対して挑戦していかねばならないとしたら?ソフトウェア配布の近代的な手法であるオープンソースを活用することでのみそれが可能である、という認識に基づいて、Schwartzがそれを現実のものとして見せてくれると私は信じています。

Johnsonは以下のようにも指摘した。

Sun とOracleの衝突は、今のところ避けられないように思います。Oracleの歴史が示すところは「データベース業界における競合他社は叩き潰す」という徹底した決意ですし、そうする事は可能でしょう。Sunは今、高い収益が見込めるコアビジネスにおける競争相手なのです。JBossの減速に伴い、今や Java EEアプリケーションサーバ市場は、IBMとOracleの2馬レースになっているようです。Glassfishのおかげで、Sunはこのレースにおけるダークホースになることができました。しかし、製品プラットフォームとしてTomcatの優位性を助長してきたこの新規参入者を受け入れることで、 Java EEアプリケーションサーバという市場区分が成長するのかどうかははっきりしません。

Johnny Aqelは以下のように返答している。

Sun は非常に賢明な動きをしました。私が考えるに、Oracleが2, 3年前InnoDB(MySqlで使われている主要なトランザクショナルデータベースエンジンを開発した会社)を買収したときには、うまくつけ込んだものだと思います。OracleによるInnobase買収の、裏にある動機が何であるかは定かではありませんが、より多くの潜在顧客をOracleに引き入れるためだったとすればそれは逆効果だったように思えます。プロダクションシステムでの採用増加という確固たる結果がMySQLにはあるからです。

Falcon(InnoDBの後継者)は現在まだアルファ版ですが、その開発が進めば、Sunが大物食いになる可能性もそう遠くないのではないでしょうか。

この買収がSun とOracleの関係にどのような影響を及ぼすのかを質問しながら、InfoQはOracleの展望を徹底的に調査した。Harvey氏は、「エンジニアたちは選択肢を持つことを好みます。一部のアプリケーションにとってはMySQLが適しているし、その他にとってはOracleがよいと見なしています」と答えた。さらに彼が指摘したのは、JavaとMySQLの興味深い統合を実現し、MySQLユーザに対してさらなる利益を生み出すことができる、という機会をSunは得たということだ。InfoQはまた、InnoDB(source)(MySQLのデータベースエンジンの中でももっとも人気のあるものの一つ)に対するOracleの所有権(source)について、どんな関心を抱いているかについても尋ねた - Harvey氏は、InnoDBはGNU General Public License (GPL)(サイト・英語)の元で公開されており、InnoDBをプロプライエタリにするという試みは、分裂を引き起こす結果になるだろう、と答えた。結果として彼は、新しいFalconエンジン(サイト・英語)の作業が継続される事への期待を示唆しつつも、MySQL製品の全てはGPLの下で生き残るという自信を表した。Doug MacAskillは、いくつかの人気のある公開パッチがInnoDBのコードベースに組み込まれるいい機会になるのでは(source)、と期待している。Laura Thomsonは、そうした変更はFalconのリリースまで待たされると信じているが(source)。MySQLの製品部門最高責任者であるZack Urlocker(source)は、以下のようにも書いている(source)

一部の人々はこの動きがOracleに対抗する動きだと見ているかもしれないが、私はそのようには思わない。MySQLは、巨大なDBMS企業と競合しようという試みは全くしてこなかった。むしろWeb 2.0、Enterprise 2.0、通信事業者やSaaS、またはオンデマンド企業に対するアピールに重きを置いてきた。多くの場合、MySQLは従来のデータベース製品と共存してきた。例えばIndependent Oracle Users Group:IOUGは、メンバーの三分の一が本番環境でOracleとMySQLをともに利用しているとの報告を行っている。私は状況が変わるとは期待していない。

この買収の標的はOracleではなくMicrosoftにある、という憶測もある。Reuters社のDuncan Martell氏の報告によると、

Forrester Research社のアナリストMike Gilpin氏は、「この買収は、データベース市場においてOracle社やIBMと直接対決しようとするものではなく、むしろ、インターネットを動かす手助けをする、という現在のポジションを強化するためのものだ」と言う。"これは、「Webを動かそうとしているのは誰か」という対Microsoftの戦いにおいて、Sunが自身の弱点を防御したということなのです"と彼は言う。

Harvey氏 はInfoQに対して、Sunは既存のJavaの専門的知識と、Web 2.0アプリケーションにおけるMySQLの偏在性を通じて、MicrosoftやIBM、RedHat、Oracleといった他の統合スタックベンダとの差別化を図る、とも言っている。Harvey氏はまた、Javaテクノロジーと良く統合された、LAMPスタックに匹敵するSolarisベースの同等品(SAMPスタック)が登場したとしても驚かないだろう、とも言う。

Stephen O'Grady氏(source)は買収の詳細(source)について書き、こう言っている。

「世界の」Googleが、Sun自身には実現できなかったことを実現したのは事実である:実際、ネットワークはコンピュータだ(訳注: 「Network is computer」はSunが標榜していたキャッチフレーズ)。そして「世界の」GoogleのサービスはしばしばMySQL上で動作している。この買収を通じて、Sunは巨大な商用システムの供給者たちと関わり合える数少ない(もしかすると唯一の)関連ベンダになったのです。 

O'Grady はまた、どうやってMySQLがデータベース市場において破壊的な存在になったのか、そして伝統的なハイエンド顧客における成長が限られていたにもかかわらず、あらゆる方面で成長してきたことは"見事としか言いようがない"と記している。さらにO'Gradyは、MySQLはエンタープライズレベルの機能を追加してきてはいるが、移行にかかるコストが原因で、ハイエンド市場における浸透はゆっくりとしたプロセスになるだろう、と指摘する。またMySQLの注目度や、内部的な(製品カテゴリの)衝突が存在しないことにより、この買収はSunにとって非常によくフィットする可能性が高い、ということを指摘しつつ、MySQLはSun内部で以前と変わることなくあり続けるだろう、と言う。SunがMySQLのソースコードをクローズにする可能性は、"ブランド的自殺行為"として却下され、InnoDBについては関心事ではあるが大きなものではない、と述べられている。O'Gradyは、こうまとめている。

少なくとも、私のキャリアの中でこれはSunにとってのもっとも重要な買収に他ならない、と述べられることに私は非常に満足しています。
[...]
そのシナジー(相乗効果) - 金融系の人たちが好んで使う言葉ですが - はすぐ手の届くところにあります: MySQLとSunのどちらにとっても、今や全ては「何を実行に移すか」次第なのです。

Colm Smyth氏は買収の結末を考える(source)

MySQLがパフォーマンスの向上やSQL標準のサポート拡大といった標準的なゴールと同じく品質や国際化も重視するようになる、ということを(この買収が)意味しているというかというと、短期的に見ると私は懐疑的です。

その他、ありえる結末としては:
- Sunは、SolarisやJavaベースのアプリにとって、より魅力的なライセンス条項を作るかもしれません(他のプラットフォームにとっても不利になることなく)
- Sunは、MySQLを製品にバンドルするかもしれません(SolarisやJavaだけではなく、StarOffice/OpenOffice.org なども)。しかしそれは巨大なデータベースベンダとの関係が緊密でなく、十分に正当化できる場合のみ行われるでしょう。
- Solaris上で動作するMySQLの、パフォーマンスの公式値が発表されると期待できます。すぐに公表されるかもしれませんし、Linuxなどとのギャップが十分大きくなったあとで、かもしれません。
- Sunのリレーショナルデータベースを基にしたエンタープライズ商品は、MySQLに移行するか、MySQLのサポートに磨きをかけるでしょう。

総合的には、私はMySQLがこれからもずっと愛すべきものであってほしいと期待していますが、Sun製品との相乗効果にも非常に期待しています。

このほか、インターネット上の反応はというと、

  • SunのCEOであるJonathan Schwartz氏(source)と、MySQLのオープンソースコミュニティリレーション最高責任者であるKaj Arnö氏(source)はどちらも、この買収における展望についてブログを書いている。
  • Michael Coté氏 (source) - ”その他の注意点として、Hyperic/MySQLのパートナーシップも問題だ。Sunは自身のIT管理スタックである「Sun xVM Ops Center」の方を好んでおり、今はしていないとしても将来的には抱き合わせ販売を行うだろうと推測している。”
  • Elliotte Rusty Harold氏 (source) - ”興味深い。私は概して合併が好きじゃないし、それにSunは買収した企業を駄目にしてしまう、という非常に悪い実績がある(Cobaltの件、覚えているだろうか?)。しかし、少なくともMySQLがOracleやMicrosoftには行かないという事だ。おそらくSunは、より巨大なデータベース製品でOracleを置き換えるために必要な、ラスト1マイルとしてMySQLを扱うのではないか。” 
  • Kevin Burton氏 (source) - "これはSunにとって、後光が差しているようなものだ。MySQLの顧客は堅牢なOSを求めているし、彼らはそれを得ようとしている - Open Solarisだ。彼らは堅牢なファイルシステムを求めている - ZFSだ。彼らは優秀なストレージアレイを求めている。Sunは彼らが興味を引きそうな商品を「ほんとにたまたま」持っている"
  • Joshua Greenbaum氏 (source) - "私の意見では、Sybaseがもっと論理的な選択肢だったんだが: Sunの顧客基盤の中で長い実績があるし、そこそこの収益とメンテナンスの流れを持ち、そしてちょっとしたリニューアルをとにかく必要としている。"
  • Dan Kuznetsky(source) - "[...] この動きはオープンソースに関するものではない。これはWeb 2.0に関するものだ。これはSunをシステムやソフトウェアのプロバイダから、ソリューションのプロバイダへと変えるものだ。私は将来、アプリケーションを買収するというニュースが何度か聞けると期待している。Sunはこの動きにより、競合の重圧に晒されることになる。ところで、ITの意志決定者にとってSun + MySQLというのは、IBM + DB2やMicrosoft + SQL Serverと同様に見えるのか、というのが全くもってわからない。"
  • Laura Thomson氏 (souce) - "ライセンスについては何が起きるだろう?MySQLは依然としてGPL/商用のデュアルライセンスの元で利用できるだろうか、それとも CDDL/SCSLもしくは同様のライセンスが課されるのだろうか?オープンソースライセンスを他のものに変更するというのは、ロジスティック的、生態学的、どちらにとっても非常に困難なチャレンジだ。"
  • The Register (source) - "ITアナリストが集うOvumのオープンソースディレクターを務めるLaurent Lachal氏が、The Registerに語ったところによると: 'この取引については、私は誓って中立な立場です。Sun によるソフトウェア企業の買収実績を考慮すると、MySQLの勢いに乗るという可能性もあれば、それを壊してしまうという可能性もあります。Sunはそのオープンソース戦略をよりはっきりさせておく必要があります。しかし、文化という点から考えると(SunとMySQLの間には)良く整合性が取れていますし、MySQLが電気通信会社やより多くの企業環境に進出するのを、Sunは間違いなく手助けできるでしょう。"

さて、あなたはどう見る?

原文はこちらです:http://www.infoq.com/news/2008/01/sun-mysql-purchase

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