Adobe SystemsからFlash Playerの最新版が一般提供向けにリリースされた。新機能の多くを最大限に活用するには、開発者は来年のFlex 4のリリースを待たなければならない。しかし、Flash 10は、開発者の興味を引く次の4つの主要な改善をもたらす。Pixel Bender、3Dエフェクト、改良版テキストレイアウト、およびFile Reference APIの変更である。
高度なエフェクトを可能にするために、Pixel Bender(リンク)が追加された。
Pixel Bender技術は、異種ハードウェア上で自動ランタイム最適化を行う共通の画像・映像処理基盤を提供します。現時点ではAfter Effects CS3で採用されていますが、将来的に他のAdobe製品でも採用される予定です。Flash Player 10では、Pixel Benderを活用して、開発者がカスタムフィルタ、エフェクト、およびブレンドモードを作成できるようにします。作動しているPixel Benderをご覧になるには、Flash Player 10の機能デモに進んでください(Flash Player 10ベータ版が必要です)。
Pixel Benderは、ハードウェアに依存しない方法で画像処理アルゴリズムを実装するのに用いられるプログラミング言語です。次に、Pixel Benderの利点をいくつか挙げます。
- C言語をベースとしたGLSLに基づく馴染み深い構文
- マルチコアやマルチプロセッサシステムを含め、異なるGPUおよびCPUアーキテクチャで同一フィルタを効率的に実行
- 異種ハードウェア上での実行の複雑性を排除
- サードパーティによるフィルタとエフェクトの作成および共有をサポート
- Adobe製品において素晴らしい画像処理性能を実現
3Dエフェクト(リンク)の組み込みサポートによって、頻繁に実装されるCoverFlowコンポーネント(リンク)などの、高度なコンポーネントがより構築しやすくなる。
2D空間における既存のインタラクティブ処理のすべてを維持したまま、あらゆる2Dのディスプレイオブジェクトに3D空間内での変形処理やアニメーション処理を簡単に加えることができます。これにより、アプリケーションに新しい次元を取り入れ、クリエイティブな可能性を広げることができます。これまでPaperVision3D、Sandy、Away3DなどのActionScriptやOpen Sourceライブラリを通じてエキスパートユーザーにしかできなかった高速で、極めて軽量でネイティブな3Dエフェクトによる動きを、すべての人が使えるようになります。簡単なコーディングで、3D変形処理を施したオブジェクト同士をネストして複雑な効果を作成できます。継承機能により、多数のオブジェクトに対する変更をすばやく容易に適用できます。
Flashアプリケーションにおいて従来から課題であったものに対する救済法には、Flash Player 10の改良版テキストのサポートが伴う。AdobeプロダクトマネージャーのJustin Everett-Church氏とTom Barclay氏は、flashmagazine.com(リンク)でこの最新版について次のように語った。
「新しいPlayerは、開発者が独自のテキストコントロールやテキストレイアウトコンポーネントを作成できるように、低レベルのAPIを提供します」と、Tom氏は言います。「開発者はパス上にテキストを作成するなど高度なことを実行したい場合、テキストエンジンの新しいAPIを使用してそれを実行することができます。また、これによってデバイスフォントを第一級市民(first class citizens)として扱うことが可能になりました。組み込みフォントと同じ感覚でスタイルの指定やアンチエイリアス処理やエフェクトの適用ができます」。新しいAPIによって、Adobeは年内に提供される予定のテキストレイアウトコンポーネントを構築することが可能になります。それを使用して、FlashおよびFlex開発者は、インライン画像の周囲を流れる複数列のスクロール可能なテキストなどを作成できます。「テキスト方向、縦書きのテキストレイアウト、中国語/ヘブライ語/アラビア語[言語]用の右から左向きに書くテキストレイアウトを取り入れ、複雑なスクリプトや合字にも対応する予定です」と、Tom氏は語り、Justin氏が次のように言い添えています。「それに加え、我々は表やインライン画像といったものを追加できるため、皆様はこれまでテキストフィールドを使用して可能だった以上にコントロールすることが可能になります」
クライアントサイドで(つまりファイルをサーバーに送信せずに)ファイルを管理できるように、File Reference APIが更新された。AdobeのJustin Everett-Church氏は、flashmagazine.com(リンク)でFile Referenceの更新についても語った。
「これまで、我々は、ユーザーが選択したファイルをロードし、それをサーバーに直接送信することができましたが、Flash Player 10では、ファイルへの実行時アクセスを可能にします」と、Justin氏は言います。これはどのファイルにも適用されるのかという問いに、彼は次のように答えています。「もちろんです。ファイルをロードしたら、bytearrayまたは文字列のいずれかとしてアクセスできます。見方を変えると、実行時から内容を取り出し、それを保存し戻すことができます。そのため[このアプリケーションで]私はビットマップデータのPNGエンコードを実行するためにActionscriptライブラリを使用し、それをFileReferenceオブジェクトに渡してPNG画像をデスクトップに保存します」。
詳細については「Adobe Press Release(リンク)」をみてほしい。