Microsoftの新しいモデル駆動型サービス指向アーキテクチャ(SOA)において、Microsoftのビジョンの基礎を成しているのはOsloプロジェクトであり、モデル駆動型開発によりビジネスアナリストとITの間のギャップが克服され、SOAが約束を果たし、アプリケーション開発はビジネス上のニーズと一致するようになる。MicrosoftのConnected Systems部門のBurley Kawasaki部長は(リンク)次のように述べている。
モデル駆動型開発は、業界がこれまで探し続けてきた不足していた要素です。Osloは、モデル駆動型開発を使う新世代のアプリケーション開発の支えとなり、このアプリケーション開発によってモデル駆動型開発が主流となるでしょう。モデルをインポート、エクスポートしてコード生成するのではなく、モデルがアプリケーションであり、サイロを解体するのです。私たちが作成しているのはモデリングツールやモデリング言語、リポジトリの汎用セットであり、この汎用セットは、アプリケーションを記述する多種多様なあらゆる種類のモデルの橋渡しができ、アプリケーション開発の中心にモデルをもってくることができます。そうするとモデルはアプリケーションになります。モデルはプリンタに送るものではなく、サーバーに送るものです。
全体的なビジョンがかなり明確に表現されてはいるが、このモデリングのビジョンが、今日のアーキテクチャ界の共通語であるUMLをベースにするか否かという問題は残ったままである。Kawasaki氏がMicrosoftの立場(リンク)を明確にしている。
〔UMLは〕Microsoftがサポートする必要のある標準の1つですが、サポートしなければならない標準はこれだけではありません。重要なモデリングノーテーションの1つとはとらえていますが、唯一のモデリングノーテーションではありません。Microsoftは自社の基本的なVisioダイアグラム製品からUMLまで、広範囲のモデリングツールをサポートする予定であり、これにはビジネスプロセス・モデリング表記法(BPMN)など、他の言語要件も含まれます。
Osloのビジョンが成熟するにつれて、モデリング方法に対するMicrosoftのビジョンが変化し始めている。ドメイン固有言語(DSL)に焦点を合わせたモデリングツール戦略を数年間実行したMicrosoftは、アプローチの間口を広げ、さらに多数のUML関連のモデリングツールを組み入れるようになっている。Visual StudioではかつてRational Roseのインサートを介してUMLを提供していたMicrosoftであるが、Visual Studio 10ではネイティブなUMLのサポートを現在計画中で、UML開発とより密接に連携できるようにとOMGへの加入(リンク)も果たした。
Microsoftは先週、Visual Studio Team System 2010にはUMLベースのTeam Architectツールが装備され、その想定ユーザーはアーキテクトにとどまらず、アプリケーション開発者、データベース開発者、テスターも含まれると発表した。Team Architectによって新規アプリケーションの設計が可能になるだけでなく、既存アプリケーションのリバース・エンジニアリングもサポートされるので、アーキテクトや開発者はモジュールを追加する前や、コードを修正する前に、アーキテクチャを見ることができるようになる。
SourceGear LLCの一部門であるTeampriseで上級ソフトウェアエンジニアを務めるMartin Woodward氏は、以下のように述べている(リンク)。
Team Architecture Editionの2010リリースで最も感心しているのは、トップダウンのアーキテクチャ設計とボトムアップの活動の両方に対応していることです。ボトムアップの活動とは、ソフトウェアアーキテクトが日々行っている「実際に何を行ったのかを示す」という活動です。同製品はまた、その前身よりもずっと「現実」のアーキテクチャに即していますし、数多くの技術やプラットフォーム上にもたらされる可能性のあるアーキテクチャであり、そのすべてがMicrosoftの製品スタックを必ずしも使っている必要はないのです。
Team Architectツールは、コンポジットアプリケーション向けのOsloモデリング・プラットフォームに適合することになる。Chappell & AssociatesのDavid Chappell社長によると、Team ArchitectとOsloの位置づけは次のとおりである(リンク)。
コードの記述にはVisual Studioを使わなければなりませんが、作成済みのアーチファクトをワークフローに組み立てるのにはOsloのモデリングツールを使えます。組み立てのための統合は、Osloの初期リリースにすでに入っています。
Visual Studio Team System 2010のプロダクトユニット・マネジャーCameron Skinner氏(リンク)によると、Team ArchitectとOsloの統合計画はまだ固まっていない。
この件については、検討を始めてからまだ間がありません。現在の計画は、最低でも相互運用させることです。
OsloとTeam Architectの詳細をいまだ細かいレベルで練り上げている段階であるが、Microsoftは正しい道を進んでいる、とWoodward氏は述べている。
MicrosoftがVisual Studio Team System 2010で言っていることの半分でも実現するなら、同社はこの市場に本当に革命をもたらすでしょう。これまで同製品について目にしたことの何を考慮しても、同製品が市場の形勢に変化をもたらす製品になるであろうという結論に達するのです。