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かんばんとスクラムの比較

原文(投稿日:2009/5/13)へのリンク

開発組織がアジャイルを実践する有効な手段として、かんばんには大きな関心が寄せられている。このため、多くの者が「かんばんとスクラムはどのように比較するのか?」という疑問を抱いており、Henrik Kniberg氏は、この疑問に答えようとしてきた。

Henrik Kniberg氏は、先ごろ、かんばんとスクラム比較の「実践ガイド」のドラフト版を公開した。この簡潔な論説により、Kniberg氏は、かんばんとスクラムの類似点および相違点の概要を示した。

同氏は、各方法論の概要を手短にまとめたリストでこの論説を始めている。

スクラムの概要
組織を分割し小規模かつクロスファンクショナルで自己組織化するチームにする。
作業を分割し細かく具体的な成果物のリストにする。このリストに責任を持ち、リストを優先順位で分類する者を割り当てる。実装チームは、各項目の相対的サイズを見積もる。
期間を分割し短く一定の長さのイテレーション (通常1 – 4週間) にする。その際、各イテレーション終了後明らかになる潜在的に出荷可能なコードも含める。
リリースプランを最適化し顧客との協力のもと優先順位を更新する。その際、各イテレーション終了後リリース検証で得られた予測に基づいて行う。
プロセスを最適化するため各イテレーション終了後ふりかえりを行う。

詳細は、「塹壕より Scrum と XP (Scrum and XP from the Trenches)」を参照してください。この書籍は、オンラインにて無料で読めます。私は著者と面識がありますが、彼はなかなかの人物です。http://www.crisp.se/ScrumAndXpFromTheTrenches.html

かんばんの概要
ワークフローの見える化
  • 作業を細分化し、各項目をカードに書いて壁に貼る。
  • 各列に名前を付け、各項目がワークフローのどこにあるか明確にする。
WIP (仕掛品) の制限 – 各ワークフロー ステータスで仕掛中にできる項目数に明確な制限を設ける。
リードタイム (1つの項目を完了させる平均時間、「サイクルタイム」と呼ばれることもある) を計測しリードタイムをできるだけ短くかつ予測可能にするようプロセスを最適化する。

詳細は、Karl Scotland氏の紹介を参照してください。http://availagility.wordpress.com/2008/10/28/kanban-flow-and-cadence/

以降、20ページあまりにわたりKniberg氏は、自身の比較を用いて詳細に述べており、論説の最後で見解の要約を次のように示している。

類似点
  • リーンとアジャイルである。
  • プル型のスケジューリングを使用する。
  • WIPに制限がある。
  • 透明性を用いてプロセス改善を促す。
  • リリース可能なソフトウェアを早期かつ頻繁に提供することに注力する。
  • 自己組織化を行うチームが主体である。
  • 作業の細分化が欠かせない。
  • リリース プランは経験的データ (速度 / リードタイム) に基づいて継続的に最適化する。
相違点
スクラム かんばん
イテレーションのタイムボックス化が規定されている。 イテレーションのタイムボックス化は任意である。設計、リリース、プロセス改善には、個々の速度を使用できる。タイムボックス化の代わりにイベント ドリブン方式が可能である。
チームは、1つのイテレーションで一定量の作業をコミットする。 コミットメントは任意である。
設計およびプロセス改善に対するデフォルト メトリクスとして開発速度を使用する。 デフォルト メトリクスとしてリードタイムを使用する。
クロスファンクショナルなチームが規定されている クロスファンクショナルなチームは任意である。スペシャリストのチームが許可されている。
項目は、1スプリント内で完了できるよう細分化する。 項目のサイズは、特に規定されていない。
バーンダウン チャートが規定されている。 ダイアグラムのタイプは特に規定されていない。
WIPは間接的に制限されている。(スプリント単位) WIPは直接制限されている。(ワークフローのステート単位)
見積もりが規定されている。 見積もりは任意である。
進行中のイテレーションには項目を追加できない。 余力のあるときはいつでも新しい項目を追加できる。
スプリント バックログは、1つの特定のチームが所有する。 かんばんボードは、複数のチームや個人で共有する場合がある。
3つの役割 (プロダクトオーナー/スクラムマスタ/チーム) を規定する。 いかなる役割も規定しない。
各スプリント間で、スクラムボードはリセットされる。 かんばんボードは継続的である。
優先順位付けされた製品バックログを規定する。 優先順位付けは任意である。

これまで、前述の疑問を自問した経験、あるいはこの疑問に対する第三者の回答を必要とした経験があるのなら、Kniberg氏の論説、かんばんとスクラムの一読に時間を割いてみてはどうだろう。

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