Sun は JSR296: Swing アプリケーションフレームワーク(SAF) の Java7 での提供を断念した。仕様リーダである Alexander Potochkin 氏が次のように 自身のブログで説明している。
"多くの議論を重ねた結果,今日現在の Swing アプリケーションフレームワーク API がいまだ合意に達していない事実が明らかになりました。私たちは設計作業の継続が必要であると考えています。JDK7 マイルストーン5 でSAF API を提供する予定でしたが,すでにその時が来ています。期日を守ることは不可能になりました。私たちはすべての JDK 7 マイルストーンから SAF API に関する予定を破棄しなければなりません。"
当初のマイルストーン5スケジュールを達成できた機能は,楕円曲線暗号と Swing JXLayer コンポーネントの2つだけだった。Sun がマイルストーン5と6を統合したことにより,マイルストーン5の期間は10月29日まで延長されている。マイルストーン5は機能実装完了(feature-complete)ビルドに間もなく到達し,Project Coin の新機能と Swing 用 JXDatePicker の提供,さらに Java XML スタックを構成する JAXP, JAXB および JAX-WS API の最新安定バージョンへの更新が予定されている。Sun は10月末の機能実装完了ビルド以降,(2010年2月の) リリース候補までにあと 14 回のビルドを計画している。Java 7 機能の完全なリストは OpenJDK Web サイトのここから参照することができる。
Potochkin 氏の SAF に関する発表以降,フレームワーク関連のフォーク(分岐)が少なくとも2つ(BSAF, SAFF)登場している。Jonathan Giles 氏は自身のブログに,次のようなフラストレーションを書き記した。
"オリジナルの SAF プロジェクトからの度重なる援助要請(それは Sun 側から見てもそれほど目立つものではなかったのですが)を黙殺する形で,私たちはアクティブなフォークを2つ立ち上げました。JSR-296 がまだ存在していた時点で私たちが手を貸していたなら,あるいは JDK 7 での提供も可能であったのかも知れません。しかし私たちは,そのプロジェクトが事実上の死に至るまで何もしませんでした。ですから今後,もし Swing アプリケーションフレームワークが Java リリースに統合されることになったとしても,おそらくは JDK 8 まで待たなければならないでしょう。"
Giles 氏はさらに SAF メーリングリスト で,どちらかのフォークを破棄してすべての活動をひとつのフォークに結集することを提案している。
"2つのフォークの所有者の間で同意ができるなら,いずれかひとつを選択して,それを SAF.next とします。混乱を避けるためにも他のフォークはすぐに停止するか,可能であれば破棄するべきです。"
Potochkin 氏はカスケーディングスタイルシート(CSS)ベースの Swing コンポーネントのスタイル指定についても,それが Java 7 から外されることを InfoQ に対して認めている。これは要求の多かったもうひとつの機能であり,マイルストーン5 Swing アップデートパッケージの予定機能の一部でもあった。JavaFX にはこの機能がある。また Swing 用には Ethan Nicholas 氏が包括的なプロトタイプを作成しており,そのプロジェクトについて 2008 年夏に書かれたブログ記事がある。プロジェクトの Web サイトでは,Nicholas 氏がチュートリアルをダウンロード可能なコードと合わせて提供している。