バーンダウンチャートはアジャイルチームにおいて最も有用な情報ラジエーターの一つであると考えられている。それは、残された片づけるべき作業の量(y軸)と時間(x軸)のグラフィカルな表現である。興味深い点はバーンダウンチャートの分析によって、チームがどのように活動しているか、そして、何をすればさらに改善することができるのかについて複数の指針が明らかになることである。このことは、チームがどのように進歩しつつあるかに関するよい拍動を得るのに役立つ。
Hiren Doshi氏はバーンダウンチャートが次の質問に答えることに役立ち得ると示唆した。
- このチームはどれくらいうまく計画しているか?
- このチームはあるスプリントにおける計画されたストーリーをどれくらいうまく実行しているか?
- このチームは自己組織化されているか、また、"チーム"として一体になって活動しているか?
- このチームがどのような改善を行い得るか?
Hiren氏は次のチャートを例に挙げた
青いラインに関する解説としては、チャートを見て分かるように、ラインがゼロに到達していないのでチームの計画がうまくいっていないのだ、とHiren氏は示唆した。これには複数の理由が存在し得るだろう。チームの一体感にも問題があるのかもしれないし、コーチングを必要としているのかもしれない。そのため、改善はきっと計画と自己組織化の観点から行われるだろう。
紫色のラインはチームが目標に到達はしたものの、おそらく彼らは積極的に数字を更新することをしなかったことを示す。彼らが残った作業の量を更新するのを怠ったか、スプリントの終わりに近づくにつれてたくさんのユーザストーリーが放棄されたのだ。
緑のラインはうまく計画し自己組織化された成熟したチームのバーンダウンを示していて、そのチームがスプリントを通じて忙しくい続けられるのに十分な数のストーリーを持っていた。このラインは複雑なソフトウェア開発が与えられた場合に描きうる理想のラインに近い。
同様にKane Mar氏は次のバーンダウンチャートの7つのカテゴリを示した。
- フェイキーーフェイキー(Fakey-Fakey) – 完成に向かう完璧な下り坂によって特徴づけられる。ソフトウェアプロジェクトがゴールに向かってまっすぐ進む程度に複雑である。多くの場合、このグラフは命令や統制の激しく、オープンなコミュニケーションは珍しいような環境において現れる。
- 遅い学習者(Late-Learner) – これはグラフの後ろの方にあるこぶによって特徴づけられる。効率的にコミュニケーションをとり、スクラムを学ぼうとしているチームに一般的である。
- 中間学習者(Middle-Learner) – これは中程にあるこぶによって特徴付けられ、遅い学習者に比べると成熟していることを示す。このチームは多くの作業や複雑さをスプリントの中頃に発見する。
- 早期学習者(Early-Learner) – 早期のこぶとその後の緩やかなバーンダウン。このチームは早期の発見の重要性を理解しており、チームのゴールを達成するために効果的に動いている。
- 高原(Plateau) – このチームは最初はよい進捗を見せるが、その後スプリントの後半で失速する。
- ネバーーネバー(Never-Never) – これはバーンダウンがスプリントの終わりに向かって突然上昇し始め、下りてこないようなときのことである。この遅い変化は最初に起こす必要があり、また、レトロスペクティブの一部として扱う必要がある。
- スコープの増大(Scope-Increase) – これはスプリントの間でいきなり作業量が増加することで特徴づけられる。これは普通、チームがスプリント計画会議中にコミットした作業のスコープを完全に理解していなかったサインである。
George Dinwiddie氏も一般的なバーンダウンの問題と属性について記述している。
このように、バーンダウンチャートから解析できることはたくさんある。キーとなるのははイテレーションのたびにバーンダウンチャートを分析し、その分析をもとに改善し続けることである。