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アジャイルチームにおける人のつながり

| 作者: Dan Mezick フォローする 0 人のフォロワー , 翻訳者 和智 右桂 フォローする 0 人のフォロワー 投稿日 2010年5月9日. 推定読書時間: 8 分 |

原文(投稿日:2010/04/19)へのリンク

どうやら私たちが知っているアジャイルは成長フェーズを終え、新しいフェーズに入り始めているらしい。このことを示す証拠が数多く現れてきている。


アジャイル思想リーダ
Alistair Cockburn氏

これを示すデータの一つに、Alistair Cockburn氏がAgile2009の基調講演として行った「アジャイルを葬るためにここに来た。賞賛するためではない」がある。そこで氏は次のように論じている。

アジャイルソフトウェア開発は、1990年代に同じ場所で作業をする小さなプロジェクトにおいて定義されました。それが今や、世界中の分散した巨大な商業プロジェクトに広がり、IEEE、PMI、SEI、防衛省などに影響を与えています。アジャイル開発は以前よりも広い展望の中に位置づけられたので、それに応じた見方をする必要があります。

Forrester Researchは最近「アジャイルの主流を宣言する」と題した報告を提出した。

おそらくアジャイルの主流を示す最も明確なサインは、権威から解放されていることでしょう。様々なチームが各方法論の混成物を作り出し、組織の現実に見合うように組み合わせています。より巨大な組織に適用できるように、アジャイルと非アジャイルのテクニックやプラクティスを混ぜ合わせてハイブリッドな方法論を作り出しているのです。その他の変化、例えば新しいチームのダイナミクスやビジネスアナリストといったロールの再定義が示しているのは、アジャイル導入の背後に存在する真の力学です。ソフトウェア開発のプロフェッショナルにとって、アジャイルに関して中立の立場を取ることを止める時が来ているのです。アジャイルの導入に成功した人々によれば、それによって得られるメリットは労力に値するものであり、アジャイルの適用事例が近年劇的に増えたことに伴い、アジャイルチームと一緒に、あるいはその中で働く機会は誰にとっても増えているのです。

InfoQでも、このような主流のアジャイルが広く受け入れられていることと、それが、組織、出資者、経営者、チームにとって、どのような意味を持つのかについて報告している。

基本的なアジャイルプラクティスの統合が完了しかけているのだとすれば、それは何か新しいものが始まろうとしていることを意味している。イノベーションの新しいフェーズはそこまで来ているのだろうか?もしそうだとすれば、新しい思想的リーダは誰なのか?新しいアジャイルの最先端はどこにあるのか?


アジャイルコーチ
Michael de la Maza氏

興味深い調査をしているのがMichael de la Maza氏である。氏はボストンのアジャイル指導者であり、MITの博士でもある。氏は、チームや組織における親密さといった、論議を呼びそうな話題を調査している。「お金ではなく、愛を育もう」といったブログ記事では、人が仕事をするための特別な場所を作ることは、伝統的な企業と同じように(それ以上ではないとしても)利益を生み出すことができると論じている。

ビジネスに携わるある種の人々は、ビジネススクールでは教わらない戦略を追求しています。つまり、利益を最大化するための最善の方法は、利益の最大化について考えるのを止め、代わりに人々を正しく扱うことに集中することです。つまり、お金を生み出す最善の方法は、人々を愛することに集中することなのです。

この理論に従えば、利益と人間の心理的な健康は共存し得るのであるし、実際に、新しい超生産的な世界においては共存しなければならないのだ。このような世界こそ、アジャイルの革新者たちが積極的に活動し、作り出そうとしているものなのである。

問題はどうやって仕事を組み立てるかである。それも「特別な作業場所」を経験することができ、チームが持続可能なペースで超生産的な「集中状態("flow")」に入るように促すことができるような仕事をである。

de la Maza氏によれば、Zapposのような会社はうまくやっているという。

ZapposのTony Hsieh氏はこう表現しています。「文化こそ私たちが最も優先するものです。(中略)私たちが信じているのは、文化を正しく理解すれば、その他多くのこと、例えばブランドを構築するといったことは(中略)自然と起きるということです。

de la Maza氏が示す別の例がFog Creek Softwareだ。この会社は作業場所のデザインに関する哲学を会社のウェブサイトに掲載している。

...Fog Creek Softwareは平等主義の会社です。ほとんどの技術者は技術スタッフのメンバという肩書きを持ち、自己管理したチームで独立して作業しています。中間管理職は存在しません。

...Fog Creekは毎日、スタッフ全員にランチを無料で提供します。

...平均的なFog Creekの開発者には、694インチ四方のパーティションで区切られた作業場所に、デスクトップコンピュータが2台、そしてアーロンチェアが与えられます。さらにほとんどの開発者に、窓とドアのついたプライベートオフィスが与えられます。

...2005年におけるProject Aardvarkのブログにある通り、4人の夏期インターンのチームが、Fog Creek Copilotの最初のバージョンを0から作り上げました。夏の終わりには、顧客がついたのです。このプロセスに関するドキュメンタリーは「Aardvark'd:ギークと過ごした12週間」と題され、DVDで入手できます。

...私たちのソフトウェアマネジメントトレーニングプログラム(SMTP)では、中途採用のプロフェッショナルに対して、ソフトウェア会社の経営について内側から学びながら技術経営修士を取得する機会を提供します。

de la Maza氏が書いたこれも論議を呼びそうな別の記事は「触れること」と題されており、これにはScrum AllianceのGoogleグループのサイトにおいて興味深いコメントが寄せられている。この記事で、氏はこう述べている。

人は触れることも触れられることも好きです。両親は子供を安心させるために抱き上げます。また、私たちは苦しんでいる人のことを抱きしめます。

刑務所において与えられる最大の罰の1つは、受刑者を独房に監禁することです。独房への監禁では物理的に何かが奪われることはありません。受刑者は同じ量の食事、睡眠、運動を与えられます。しかし、ほぼ一日中、人間と接触することがないのです。研究によれば、このように接触できなくなることには心理的に弱らせる効果があり、全体のおよそ3分の1のケースでは、独房への監禁が終了して他の人と一緒になった後にも効果が続くと言います。

de la Maza氏による人間同士の接触に関する記事はこう締めくくられています。

アジャイリストとして私たちが目指すべき目標の1つは、信頼、尊敬、コミュニケーション、気遣い、愛情といったものが十分にある環境を作り上げることです。そして、触れることはそのような環境を作り上げる上で最も効果がある方法の1つです。

このde la Maza氏の触れることに関する記事には、約4分のサマリービデオがつけられており、そこでは明確に「接触というテーマ」について説明され、さまざまなタッチエキササイズが紹介されている。これらはボストンで開かれたアジャイル関連のユーザグループミーティングにて行われたものである。

多くのアジャイルコミュニティは、ひいき目に見ても懐疑的ある。Acrum AllianceのGoogleグループサイトにおけるこの反応について考えてみよう。

数週間前にあなたがスクラムのリストにこれを挙げた時から、これについて考えてきました。私はこの話に対して警戒心を抱いたのですが、それがなぜかは分からなかったのです。しかし、単純にこういうことだと分かりました。これは虚飾なのです。私は非常にフィジカルな人間であり、近しいと感じたり、共感した相手には自然とハグします。それが仕事中であってもです。しかし、これは心から沸き上がるものであって、「ハグが良いものだ」とするエクササイズによるものではありません。

de la Maza氏のことを正しいとする証言はどこにあるのだろう?

そのような証言は、チームに関する権威からだけではなく、Sports Illustrated誌からも発せられているかもしれない。この著名なスポーツ雑誌では、現在、「ハイファイブ」を始めとしたプロスポーツにおける人間の接触が持つ深い意味と効果に関する記事を公開している。

Sport Illustrated誌のこれに関する詳細記事が特に多くを物語っている。これは文字通りウィニングタッチと題されたものだ。この記事は、健康的な人間の接触は、直接的に、そして直ちにチームの生産性を促進するというde la Maza氏の主張を支持するものである。

とっつきにくい題名がつけられた最近の研究、すなわち「戦略的コミュニケーション、協力、パフォーマンス:NBAに関する動物行動学的研究」は、Emotion誌において今年の終わりに出版される予定ですが、ここではCalの研究チームがNBAにおける「接触」の効果について検証しています。2008から2009年のシーズンにおける最初の2ヶ月間の間、彼らは全30チームからサンプリングした294人のプレーヤを観察し、どれほど頻繁に、またどれほどの時間、プレーヤがチームメイトに触れているかを表にしました。この接触は12のインタラクションによって定義されており、ここには(もっとも一般的な)ハイファイブの他、頭をはたくこと("head slaps")や、飛び跳ねての体当たり("leaping shoulder bumps")が含まれています。結果は?驚くものではありませんが、非常に印象的です。チームメイトの頭をぴしゃりとはたくことと、多くのゲームで勝利することの間に相関関係があったのです。

Alistair Cockburn氏のような定評のあるアジャイル思想リーダによれば、アジャイル導入の初期フェーズはおそらく既に終わっているとされている。新しいフェーズにおいては、これまで知られていない全く新しい思想リーダがアジャイルの最先端を示し、アジャイルの思想空間に実りある新しい考え方をもたらすことになるだろう。

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