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差異と学習:PMI-Agileプロジェクトの議論白熱

原文(投稿日:2010/06/11)へのリンク

アジャイルコミュニティが進化するに従って、本当に良質な情報を入手できる場所も増える。このような素晴らしい情報を見つけられる場所のひとつにPMI-Agileのヤフーグループがある。これはPMI-Agileプロジェクトから生まれたグループだ。このコミュニティには、アジャイルマニュフェストの署名者であるRon Jeffries氏、スクラムアライアンス委員会の議長であり代表者でもあるTom Mellor氏など、とても面白い人物が参加している。

InfoQは昨年、PMI-Agileプロジェクトの設立について報告した。PMI-Agileプロジェクトの目的はPMIの実践者にアジャイルの知識と技能を提供することだ。しかし、現実に行っている活動はもっと面白い。プロジェクトのYahooグループは世界観がぶつかるへと場所と進化した。このフォーラムはPMIやアジャイルのバックグラウンドを持ち、一貫した意見と、高い技術力を備えた尊敬に値する参加者が活発にアジャイルについての意見を交換する、国境地帯であり、ここでは様々な意見や価値観が解け合わさっている。

例えば、最近のスレッドではある投稿者が国防省指揮統制研究プロジェクトへリンクのを載せた。このリンクは軍事におけるアジャイルについてのInfoQの大きめの記事の基礎になった。これはこのフォーラムの投稿の質の高さを示している一例だ。

直近ではアジャイルマニフェストの署名者であるRon Jeffries氏が活発に意見や実体験を投稿している。しばしば、アジャイルを定義するアジャイルマニュフェストを編集したり改正したいと考えている人に対して幾分真剣な反論をする場合もある。InfoQは氏にインタビューし、PMI-AgileのYahooグループにどんな魅力があるのか話を聞いた。

Ron Jeffries氏が言うには、

私がPMI-Agileのグループに参加しているのは、アジャイルに興味があるものの、アジャイルについてあまり知らない人が参加しているからです。私の考えでは悪いプロジェクトマネジメントはソフトウエアプロジェクトの失敗の主要な原因のひとつであり、アジャイルは良いプロジェクトマネジメントの型なので、グループに参加している人には真のアジャイルの良質な基礎を身につけてほしいと思いますし、私はこのグループにそのようなものをもたらすことができると思います。

加えて、あまり有名ではないものの聡明でアジャイルについて豊富な知識を持っているPM/PMPも議論に貢献している。Ron Jeffries氏と直説やりとりすることもある。例えばHoria Slusanschi氏が言うには、

こんにちは、Ron。

あなたは以前、以下のように書きました。

> > PMとSMの役割は本質的に相性がよくないのでは
> > ないかと考えています。PMの考えることはアジャイルと相反することがよくあります。
> > PMの中には(ひょっとしたら多くのPM、もしかしたらほとんどのPMが該当するかもしれませんが)
> > アジャイルとは相性の悪いやり方を採用しようとする人がいます。
> > ... こうしたことはPMの役割やパーソナリティに埋め込まれたの義務的な側面ではありません。

私は、あなたの考えは少し厳しいのではないかと思います。私は幸いにも大きな組織の作法に明るく、組織の制約の下でアジャイルチームをサポートを最大限に行うことができるPMをたくさん知っています (私はHPでソフトウエアエンジニアリングの専門家を率いています)。彼らがアジャイルチームを上手にサポートできるのは、エンドユーザに届く最終的な結果に重きをおいているからです。

あなたはPMとアジャイルの相性の悪さについても指摘していますね。確かに両者の考え方の間にはいつも緊張関係があるかもしれません。しかし、私はこの緊張関係を創造的に解決する努力をするべきだと思います。

このフォーラムの参加者の差異と多様性がある種の"熱"を生み出している。Ron Jeffries氏に加えて、アジャイルコミュニティの中の他の著名人もこのフォーラムに立ち寄っている。例えば、スクラムアライアンス委員会の代表で議長でもあるTom Mellor氏その人もPMI-Agileヤフーグループに投稿したことがある。

Tom Mellor氏の投稿は、

段階的デリバリは必ずしも"製造段階向け出荷"や"出荷済"ということを意味しません。これは試行錯誤や実験、発見的問題解決法が道具として使われるような科学的手法の側面を持っています。知的労働は本質的に複雑であり、マフィーの法則やパーキンソンの法則で表されるようなことを管理し、その影響を和らげるためのフィードバックループを使います。

直線的な開発の主要な問題点は、実際に行われる検証作業が進捗上の遅延を生み出し、その遅延を解消しようとする力にも限界がありコストがかかるということです。....私は論理的稼働型組織と呼んでいる手法を使います。この手法の核心部分はチームです。チームがどういうスケジュールの中でどのような順で仕事をするのか決めます。チームは必要に応じて立ち止まり、調査をして、状況に合わせて変化していきます。チームで一緒に働くことで、可能なときはいつでも共同作業を行っていることになります。マネジメント層はこのようなチームの作業には口を挟みません。なんらかの障害を克服する手助けをするだけです。このような作業方法を実行する力を持つのは、自己組成可能で自己決定可能なチームであり、メンバが他のメンバに対する作業上の責任を持ち、集合的知識や技能を活用できなければなりません。

少しでもこのグループを訪れてみればわかる通り、氏の議論に必ずしも皆が賛成しているわけではない。ここで氏は自身が"論理的稼働型組織"と呼んでいることについて説明している。この記事の前半で述べたように、国防省は戦時におけるアジリティについて研究しているが、この研究では新しい言葉が生み出されている。それは必要アジリティという。この言葉の定義は、

...求められている適切なアジリティの程度が必要アジリティで、これは与えられた状況下でアジャイルを適用するときのコストと適用しないときの影響が釣り合っている程度のアジリティを指します。決して無制限なアジリティではありません。この必要アジリティを目標にするべきです。

論理的稼働型組織や必要アジリティはこのPMI-Agileグループに参加する先進的なリーダーたちが生み出した概念だ。このフォーラムの面白いところは、感覚や意見のとてつもない多様さが表現されていることだ。多様さが学習の原材料になるということがグループレベルでよく理解されている。PMI-Agileヤフーグループはアジャイルの発展と通じあるために必要な場所と言えそうだ。

Ron Jeffries氏もこのような見方に同意している。氏はこのフォーラムでは"指導的"な役割を果たしているが、この場所に対する注目を集めることがコミュニティに対して一番貢献できる方法だと考えている。氏が言うには、

アジャイルを初めて知った人は、少しの資料に目を通して間違った結論を出してしまう人ばかりです。その結論も"もう既にやっているよ。"というものです。このグループでの私の主要な目的はそのような人に対してアジャイルの真の姿を教え、アジャイルの適用方法を決めようとする前にこの真のアジャイルを実践するように促すことです。このように促さなければ、野球をしたことも、見たことすらないのに良い遊撃手はどんな選手か決めようとしているような事態になってしまいかねないのです。

PMI-Agileグループは毎週、"どんな議論でも生まれる"場所であり、思想的な境界線が交わる所で何が起きるのか知らしめてくれる場所だ。そして、'ウォーターフォールが経験的なプロセスコントロールと出会う"場所でもある。

近頃はほとんどのプロフェッショナルにとって、時は金なりだ。注意を向けることも何かに注力することも、そして時間自体もすべてが希少なのだ。注意を払うべきこと、無視するべきことを知っているということが、ますます価値を持つようになる。"アジリティがどこへ向かっているのか"についての最新の思潮をし知りたいと思っているPM"そして/または"アジャイルプロフェッショナルにとって、PMI-Agileヤフーグループは必須の立寄場所となりつつある。

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