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SOAの現状サーベイ2010:SOAはエンタプライズで確固たる地位を確立

原文(投稿日:2010/06/16)へのリンク

先ごろTechTargetとForrester Researchは2010年におけるSOAの現状を確定するレポートを共同で作成した。レポートがカバーする範囲は次の通り。

  • SOAがいかに拡大しているかを示す統計や数字
  • ITプロフェッショナルがどのようにそれぞれのSOA手法を実行しているか
  • どのような局面でSOAが利用されているか
  • SOAの今後について

レポートのエグゼクティブ・サマリによると:

サービス指向アーキテクチャ(SOA)は2002年に増殖し続け互換性の確保できないWeb Servicesに対する解決策として業界で注目を浴びて以来長い道のりを歩んできた。業界のバズワードとしての「SOA」は以前程大きく取り上げられている訳ではない。しかし同時に、アーキテクチャとしてのSOAや実践としてのSOAの方は種々の技術領域で明らかに深く根をおろしてきた。今日のITの世界では、アーキテクチャ部門と開発チームはアプリケーション開発や統合プロジェクトが将来的には再利用でき相互交換可能なサービスとなるよう作業を継続している・・・サーベイ結果によると、回答者の47.4%はSOAプロジェクトが進行中、30.9%は複数のSOAプロジェクトが進行中、という組織で業務を遂行している。プロジェクトの適用範囲という意味では62.6%のケースでこういった仕事はエンタプライズレベルのものと認識されている・・・「Cloud Computing」という最新のバズワードの出現にもかかわらず「SOA」の利用は落ちていない。

レポートはまた、ここ2年程の期間問題であった予算面の制約を克服するためにSOAの方向性が変化したことを示している。現在SOAはBPMプロジェクトに密接に関連付けられ、しばしばアプリケーションをモダンなものとするイニシアティブとして導入されている。レポートによると、70.5%の回答者はSOAをWebアプリケーションの実装のために使用中ないし使用を計画中であり、51.3%と48.7%の回答者はそれぞれデータサービスとしてまたレガシー統合機能として使用している。

SOAは止まるところを知らないWebサービスに歯止めをかける手段として現れたが、まさにこれらのサービスにより企業ソフトウェアのWeb対応を促しSOAへの動きを後押しし続けている。

レポートのもう一つの特筆すべき内容は65.58%(23.19%が大成功;42.39%がかなりの成功)というSOAプロジェクトの成功率である。

SOA化の努力は、通常より失敗の可能性が高く高度に投機的な事業という過去の姿から、典型的なITプロジェクトのように成功・失敗の範囲を明確に示せるメインストリームへと、幸先の良い飛躍を行っている最中なのかもしれない。

レポートはまたSOAの利用を推進する力学も変化していると述べている。2010年の主要なSOAの推進力は次のようなものであろう。

改善したデータ統合 (29.2%)、レガシー統合(26.7%)、アプリケーション開発における柔軟性(27.2%)、そして部門レベルのアプリケーション統合(21.9%)。これらの数字は今やコスト削減(20.5%)や開発者の生産性向上 (19.2%)の数字を超えている。

このレポートの結果に対するコメントとしてForrester ResearchのRandy Heffner氏は最も興味深い結果は次の事実であると述べている

... SOAイニシアティブが直面する最も大きな挑戦はSOAを超えたものであった。27%が、最も大きな関心事は「他のイニシアティブ(例:BPM、イベント処理、BI、ビジネスルール等)と統合された形でどうSOAを実践するか設計をすること」と答えた。二つ目の大きな関心事である「SOAを行うための適切なツールやフレームワークを評価選択すること」は回答者の13%にすぎなかった。つまり業界は、今はマルチテクノロジの世界であり個別のサイロ化したテクノロジ戦略ではうまく行かないことを実感しつつある。SOAは重要ではあるが、ビジネステクノロジ(BT)ソリューションにはSOA以上のものが必要であり、そこでのSOAアプローチは他のテクノロジやデザイン領域に対するアプローチと統合されたものとなる必要がある。

Heffner氏の意見では、SOA実践者たちは彼らのテクノロジ戦略のための新たな基盤を提供するためにビジネス・ケーパビリティ・アーキテクチャに向かっている。

  • 想定するビジネスの成果から始める。・・・メトリクスはビジネス成果であり、組織の成功を決定づけるものであるが、煮詰めるとバランスシート、損益計算書、現金収支計算書、そして組織力、組織としての地位や名声、マーケットにおける組織の影響力といったソフトメトリクスを組み合わせたものとなる。
  • ビジネス・ケーパビリティの進化に向けての方向付け。. ビジネスプランはテクノロジ戦略については貧弱な基盤でしかない...より良い基盤は組織のコアとなるケーパビリティ、つまり製品設計力や顧客サービス力などであり、より良いビジネス成果を得られるようにその基盤の上に構築し進化させることができる...我々は、人、プロセス、テクノロジそして物理的な資源などを、統合されオペレーション可能で測定可能な組み合わせとして用いることで(より良い基盤を)実現する必要がある...
  • ビジネスの変化に対応する設計及び実装モデルを提供する。. ビジネス・ケーパビリティ・マップは良いものであるが、ビジネス・ケーパビリティを統合された形で理路整然と総体的に実現するための設計原理と実装モデルで補う必要がある。これにはビジネス・ケーパビリティ・プラットフォーム(総体的で統合されたマルチテクノロジのビジネスに焦点を置いたプラットフォーム)という概念が含まれ、これによりBPMアプリケーションやイベント駆動アプリケーション等といった今日の単一テクノロジに焦点を置いたプラットフォームの世界を克服できる。

このレポートは、すべての副作用にも関わらずSOAが今日のIT及びビジネス事業で確固たる地位を築いたことを改めて証明している。

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