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iPhone のアンテナ問題が提起する代替インターフェース設計の課題

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原文(投稿日:2010/06/25)へのリンク

iPhone4G の下左端をユーザが持つと 受信状態が悪くなる,という問題が発生している。Steve Jobs 氏によれば "そのような持ち方をしない" か,あるいはケースアクセサリを使用すれば問題は解決する,ということだ。些細な問題ではあるが,技術とそれを利用するのに必要なインターフェースとのギャップの拡大,という課題を提起する問題でもある。また iPhone4G は解像度が向上しているので,今までより小さなコントロールを密接して配置することが可能になる。まだ報告されてはいないが,指の大きな人にとって深刻な問題になることは想像に難くない。

ハードウェア技術者は,より大きなパワーを小さなデバイスに詰め込もうと努力を続けている。しかし小型化を進める上での本当の障害は,それを操作する人間側の能力の方にある。この矛盾が今,最も目に見える形で現れているのがモバイルフォンなのだ。Hasso Plattner Institute (以前は Microsoft Research に在籍していた) の Patrick Baudisch 氏は今年初め,次のように記している。

今日では,大衆のためのコンピューティングプラットフォームはただひとつです。PC や OLPC(One Laptop Per Child) ではありません。モバイルフォンなのです - それも,桁違いに。これはエキサイティングで前途有望な事実であり,私たちが取り組むべき対象なのです。

インターフェースに関わる問題は,指の大きさやアンテナを妨害する皮膚接触以外にもある。タッチタイピングなどの技術が使えない,タッチコントロールがマウスカーソルに比べてずっと不正確である,特定の状況で使用できない操作がある(例えば運転中のタッチタイプ),などだ。

いくつかの問題に対して,考えられる解決策を紹介する: ( Communications of the ACM, feb. 2010 より抜粋)

  • 指の大きさに関する問題。前出の Baudisch 氏が現在,NanoTouch と呼ばれる技術を開発中である。これは半透明のようなモバイルデバイスの背面にタッチパネルを配置して,インターフェースが指先に隠れないようにするものだ。氏はさらに,タッチした領域だけでなくその中の指紋隆線も検出して,入力をより正確に修正することによって "現行のタッチ技術の2倍の精度" を実現する,RidgePad というプロジェクトにも取り組んでいる。
  • タッチ領域の大きさの制限に関する問題。カーネギ-メロン大学院生の Chris Harrison 氏は,モバイルデバイスが置いてある場所の表面,例えば机の上を利用して,入力可能な有効領域を拡大する研究をしている (氏はこれをスクラッチインプット /Scratch Input と呼んでいる)。デバイスに内蔵された小型のアコースティックマイクで,机を引っかいたりタップしたりする振動を検出して,入力信号として使用する。例えば,テーブルの上をつめでこすってメディアプレーヤのボリュームを上下する,というような具合だ。他にも Harrison 氏は,変形可能な面を使ってボタンやスライダ,キーパッドなどのマルチタッチ・シミュレーションを作成する作業に参加している。
  • タッチタイピングの問題。タッチタイピングは現在でもデータ入力を最も早く行う方法であり,外部キーボードが商品としていくつも販売されている。任意の平面に仮想キーボードを投射するような製品さえある。
  • 入手可能なタッチスクリーンの精度の低さ。ニューヨーク大学の Ilya Rosenberg,Ken Rerlin 両氏が IFSR (interpolating force-sensitive resistance) という技術を開発している。これはタッチスクリーン上の重なった領域でシグナルを検出することによって,センサ領域自体に比較して25倍以上の精度向上を実現するものだ。

未来のインターフェースはデバイスから完全に分離されて,私たちの体内に入るかも知れない。網膜には画像ディスプレイが,耳には直接伝導型の "スピーカ" が,そして指先には触覚センサが組み込まれることだろう。

技術的インターフェースと人間であるユーザの間に生じる 'インピーダンスミスマッチ' の問題は,最終的には技術よりもユーザによって解決される部分の方が大きい。電話の番号/文字のキーパッドの制限を回避するために新しい '言語' ("c u l8tr" = "see you later") が作られたように,ユーザはうまい方法を見つけるものなのだ。ユーザの創造性,文化の影響,毎日の経験といったものを,制約だけでなく設計へのインスピレーションとしても考慮することは,技術者にとっても有益だろう。iPhone4G をリリースするまでの数カ月間,開発技術者たちが誰ひとりとして左下角を持たず,ユーザが報告しているような信号損失を経験しなかった,ということは考えられない。そうであれば,ユーザは多分このような電話の持ち方をしないだろう,と Apple の技術者やデザイナたちは期待していたに違いない。それにも関わらず - アンテナ設計の問題として取り組まなかったがために - その考えられないことが現実に起きた,というのが実情なのだろう。

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