アジャイルマニフェストの価値と原則が書かれたのは、今から10年ほど前の2001年2月のことだ。それから10年、技術は変化し続け、環境も変化し続けたが、世界中にいる非常にたくさんの人たちは、これら12のアジャイル原則を日々の業務に適用しようとしてきた。
ノースカロライナ州立大学コンピュータサイエンス学科の准教授 Laurie Williams氏は、アジャイル原則が時の試練と使用にどのように耐えてきたのか理解しようと調査している。
彼女はまず、オリジナルの原則とそれに関連するソフトウェア開発プラクティスについて、国際的な実践者コミュニティからのインプットを得るための調査を実施した。世界中(主に北アメリカとヨーロッパ)から315人が調査に回答した。回答者は、2010年時点でアジャイルチームにとって各原則がどれくらい重要であったか、5段階評価(重要でないものが1、非常に重要なものが5)で答えた。
その結果を検討して、Williams氏は次のように論じた。
基本的に、今もなおコミュニティは12の原則すべてを強く支持しています。大ざっぱに言って、回答者の少なくとも80%は、12の原則のうち11に4か5の評価を与えています。
一番支持の低いアジャイル原則は「最良のアーキテクチャ・要求・設計は、自己組織的なチームから生み出されます」というもので、4か5の評価を与えた回答者は59%しかいませんでした。回答者のコメントによると、大きなチームの場合には開始前にハイレベルなアーキテクチャが必要であり、全体的なプロダクトビジョンがあると役に立つと感じているようでした。
「要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎します」という原則については、「要求の変更」はいつでもよいわけでなく、各イテレーションの開始時にのみ受け入れるべきだと感じている人が多いようでした。カンバンを使うことでイテレーションの記録を使わなくなるアジャイルチームもあり、その場合、変更は実際にいつでも歓迎されるはずだと感じている人もいました。
分散したチームの必然性が増すにつれ、「情報を伝えるもっとも効率的で効果的な方法はフェイス・トゥ・フェイスで話をすることです」という原則の実用性を支持しなくなる人もいました。
最後に「動くソフトウェアこそが進捗の最も重要な尺度です」という原則のために、顧客に評価されない品質の低いコードを作り続けてしまうチームがいると感じている回答者もいました。動くコードを作りさえすれば、そのチームは褒められるのでしょう。
彼女は調査を続けており、最初の調査によるフィードバックと結果に基づいて、2つの追加調査を行っている。Williams氏による追加調査のアナウンスは次のように主張する。
アジャイル原則はもともとアジャイルマニフェストの署名者のものでしたが、ここで提案された変化の解釈はアジャイルチームにとって重要なトレンドであり、アジャイルチームの行動であることが明らかにされたことに感謝します。
追加調査のひとつはアジャイル原則について、もうひとつはアジャイルプラクティスについてフォーカスしている。アジャイル原則の調査は、最初の調査の回答者の意見をふまえて、多くのアジャイル原則の改訂版に対するフィードバックを得るものだ。そして、アジャイルプラクティスの調査は、主に最初の調査結果への反応を求めるものだ。
これらの調査は7月9(金)まで回答可能だ。
調査に参加して現在のアジャイルが何を意味するか理解を進めるのに貢献することに興味のある人であれば誰でも参加することができる。
最初の調査の全結果については、こちらで見つかるだろう。