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クラウドの利用 - 2つの実例

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原文(投稿日:2010/07/22)へのリンク

クラウドコンピューティングに関する議論は,大部分が ツールやプロバイダ,経済性,あるいは セキュリティ に注目したものだ。新たに生まれた技術としては,このようなテーマも悪くないだろう。しかしアプリケーションの実例やケーススタディ があれば,クラウドコンピューティングの価値を理解するのはもっと簡単になる。IBM は今月,2つのクラウドアプリケーションを発表した。開発とテスト (development-and-test) のためのクラウドと,アニメーションレンダリングのクラウドだ。

ニッセイ情報テクノロジーと IBM は,日本生命の開発テスト環境構築に共同で取り組むと 発表した。このプロジェクトにクラウドの需要弾力性を用いる根本的理由は,その発表によれば次のようなものだ。

一般的な企業が開発とテストに割り当てる技術的インフラの割合は,全体の 50 % にも達しています。しかしその 90% までが,通常は使用されていないのです。IBM は,開発とテスト用の環境にクラウドコンピューティングの利点を活用することで,IT 関連人件費の 50% 削減,品質の改善,市場投入時間の大幅な短縮が可能であると考えています。

新たなクラウド環境によってニッセイの開発者は,以前であれば1ヶ月を要していたテストと開発の環境を,数時間で入手できるようになるのです。

新しい環境には IBM の UNIX サーバ と Power System,Tivoli サービスオートメーションマネージャが使用されている。

週を同じくして IBM と Multimedia Development Corporation (MDeC) は, "アニメーションクラウド (animation cloud)" の構築計画 を明らかにした。MDeC がホストするこのクラウドは,マレーシアにおける新興分野であるグラフィックス産業やアニメーション産業での使用を想定したものだ。米国のテレビ番組や映画の多くが,グラフィックスのレンダリング作業をアジアにアウトソースしている。MSC Malaysia Animation and Creative Content Centre,略称 MAC3 は,マレーシアのビジネスがこの市場でシェアを獲得するための生産能力構築を使命としていて,2010年4月には MAC3 Cloud Rendering Farm の建設を完了させている。

MDeC 内外における創造的コンテンツ企業の急速な増加と,拡大を続けるレンダリングサービス需要に対処する MDec アニメーションクラウドは,中央集中型の設備とプログラムを提供することによって,マレーシアのアニメータや視覚効果アーティスト,さらにはマルチメディアを学ぶ学生たちが,自身のアイデアをディジタルコンテンツ空間で結実させるための支援をします。

MAC3センタには,地元企業のレンダリング能力の大幅な拡張とコスト削減が期待されている。

この2つのクラウドプロジェクト例では,クラウドベースのアプリケーションを検討中の企業が求めるものが達成されている。それは需要の不確定性 ("テスト環境は 90% の時間,使用されていない")と,大規模な計算ニーズ (MAC3 はアーティストに "一般的なワークステーションの8倍のレンダリング速度を提供する") という,クラウド環境が最も適すると思われる2つの重要な要件だ。さらに3つめの要件が,広範に分散した顧客基盤に対するサービスの要請である。これには日本生命の例よりも MAC3 での例がより当てはまるだろう。MAC3 の機能は,多数の独立した契約者やアーティストに利用されるものだからだ。

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