これまでFSF(Free Software Foundation)は、GoogleのAndroidに対するOracleの特許訴訟について静観してきた。しかし今週になって、FSFのコンプライアンス担当エンジニアであるBrett Smith氏は、FSFがこの訴訟に反対していることを述べたが、Googleに対する支援はいくらか消極的なものだった。
2006年にSun MicrosystemsがJavaのオープンソース化にGPLライセンスを採用して以来、FSFはそれが破られる行動がないか常に関心を抱いてきたことに注意しなければならない。Oracleにとっての勝利は、Javaを他のところでも使えるようオープンにしておくこと、そして、GPLに対する、いわゆる「パテントトローリング」への道を開くことだろう。
Oracleの訴訟は、SunがJavaをオープンソース化して以来 「築き上げてきた善意すべて」を脅かすものであるとSmith氏は主張している。
フリーソフトウェアの偉大な恩恵のひとつは、オリジナルの開発者のだれもが予想だにしなかった方法でプログラムを組み合わせることで、新しいエキサイティングなものを生み出せることです。Oracleは、Javaによってこれを実現する能力に制限をかけると世界に発信しています。これは不当なことです。
Smith氏は、Oracleの訴訟に反対する人は、彼らがパテントに対する姿勢を変えていることを指摘してベンダーに手紙を書くよう勧めている。Oracleは1994年の米国特許商標庁に対するレターにおいて、ソフトウェアの特許性について反対して、「急速なイノベーションが起こり、相当の資本投資なしに作ることができ、既知の技術の独創的な組み合わせになることの多い」ソフトウェアのような産業には特許はそぐわない、と主張していた。そして、次のように続く。
ソフトウェア特許調査には、先行技術調査の限界、特許商標庁の審査官の離職率、ソフトウェア領域における新規性と革新性の曖昧さが障害となります。そして、国際的に多様な特許法があることから、問題はさらに深刻なものとなります。これはコストを押し上げるとともに、特許権保護の問題を混乱させます。
JRubyの開発リーダーであるCharles Nutter氏を含む多くの人が、Oracleの訴訟が根拠としている7つの特許のほとんど、あるいは、すべてが従来技術によってカバーされるはずだと主張した。もちろん、このレターが書かれた時点では、Oracleは今日のようにデータベース市場のトップではなく、Sybase、IBM、Ingresなど確固たる競合と争っており、SQL Server開発のためのAshton-Tate、Sybase、Microsoftのパートナーシップという新たな脅威と直面していた。
Smith氏とFSFはOracleに集中砲火を浴びせているが、Googleもまたソフトウェア特許に対する明確な姿勢を示していないこと、そして、Sunのオリジナルコードに基づいたもうひとつのGPLライセンスの実装であるIcedTeaでなく、ApacheライセンスのHarmonyに基づいてAndroidを構築していることを批判されている。Smith氏はこう続ける。「FSFはGoogleに、Oracleの申し立てに対して争い、あらゆるソフトウェア特許に対して信念のある態度をとることを勧めます」