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社外学とスクラム

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チーム部外者とのコミュニケーション

障害は時として,スクラムチームの外部からもたらされる。スクラムチームをスムーズに機能させるためには,他の部署による微調整や方針変更が必要となる場合もあるだろう。プロフェッショナルなスクラムマスタは,チームを妨げる障害について議論する場合,スクラム用語の使用を避けるようにする。スクラムミーティングで説明に使われる "ニワトリと豚(chickens and pigs)" といった類のスクラム用語が,効果的なコミュニケーションにとって良くても困惑,悪ければ障害にさえなり得るからだ。スクラムチーム以外の者に援助を求めるには,さまざまなコミュニケーション上のテクニックが役に立つ。非暴力コミュニケーション (NVC/Non-Violent Communication) がそのひとつだ。NVC スキル開発に関する議論は,www.cnvc.org という Web サイトで見ることができる。

"Getting to Yes: Negotiating Agreement Without Giving In (邦題:ハーバード流交渉術)" の共著者である William Ury 氏は非暴力コミュニケーションについて,"当事者双方のニーズを満たすためのコミュニケーションとして,シンプルだが強力な方法論である",と評している。このテクニックは共感能力の発達を促進し,提案,援助の要請,相違に関する議論,その他に関与するすべての個人的要求に注目する。このように NVC は,効果的かつ効率的なコミュニケーションに価値をおくスクラムマスタとチームメンバにとって,有用なツールとなり得るものだ。

チーム全員で共有するビジョンの創出

チームはひとつのユニットとして,プロジェクトに対するビジョンを共有しなければならない。それは製品であり,真に機能する成果である。"Software For Your Head" という書籍の共著者である Jim McCarthy 氏は,ビジョンの共有を次のように定義している。

複数の参加者が同じことを予見し,想像する状態。

"Recharge Your Team" の著書である Jay Vogt 氏による定義は次のとおりだ。

[チームの] 目的地と,そこに到達したときに行うべき目標に関する方向性の共有。

Jay Vogt 氏のテクニックはグランデッド・ビジョニング(Grounded Visioning) と呼ばれ,共有するビジョンを短期間に,通常は4時間以内で作り出すものだ。このテクニックは価値向上探求 (Appreciative Inquiry ) - 最高の機能状態にある人間を活性化させるものの研究に基づくものだ。

プロトコルに基づくコミュニケーション

スクラムチーム内の結束レベルを向上する,もうひとつの有効な方法は,プロトコルに基づくコミュニケーションである。Jim McCarthy 氏はかって Microsoft で C++ チームを率いていた時に,チームとその有効性に関する論文を同社に残している。その成果がコアコミットメント (Core Commitment) と コアプロトコル (Core Protocol) である。この2つは,チームが偉大なことを成し遂げる上での助力となる,相互作用構造を構成する。コアプロトコルには,コミュニケーションへの関与維持を約束する [チェックイン(Check In)] と,完全な関与が不可能な場合に関係を絶つ方法である [チェックアウト(Check Out)] などがある。

[チェックイン] とは,コアコミットメント実行の約束に他ならない。コアコミットメントとは,個人の考えや感想を把握し開示すること,既存のアイデアを向上 (あるいはよりよいアイデアの提示) し得る場合にのみ発言すること,などといった,ある種の行為の方法に関する11個のコミットメントである。

コアコミットメントには,それぞれ特定の意図がある。出所に関わらず最良のアイデア提案を支持すること,結果/努力比を一般的に向上できる場合にのみ発言すること,などだ。コアプロトコルの根幹を形成する11のコミットメントを示す。

1.私は次のように誓約します。

私に望み,考え,感じることがあるならば,それを知り,明らかにすることを約束します。

常に有益な援助を求めます。

非論理的で感情的なメッセージは提供を辞退し,受け入れを拒否します。

現行のアイデアより優れたアイデアを持っている,あるいは知っているならば,速やかにそれを提案して受諾あるいは拒否を得るか,または/あるいはアイデアの改善を明確に求めます。
 

誰のものであるかに関わらず,最善のアイデアを自身で支持します。もっとよいアイデアを後で得られると思う場合でも,代わるべき優れたアイデアを持たない場合でも,変わることはありません。

2. 理解されることよりも理解することを求めます。

3. 困難な作業を実施するときは特に,チームを頼ります。

4. 結果/努力比の一般的な向上を確信し得る場合は必ず,そしてその場合にのみ,意見を述べます。

5. 合理的かつ結果指向の行動とコミュニケーションのみを提供し,また受け入れます。

6. これらのコミットメントを守り得ない場合,そして他の場所での誓約がより重要である場合には,非生産的な立場から離脱します。
 

7. 最終的に行われるべきことが効果的に実行できるならば,今,それを実行します。

8. 自分の行動をアクションに向けてバイアスすることによって、ひとつの目標に向かって前進します。

9. 可能であればコアプロトコル (あるいはそれ以上のもの)を使用します。私はプロトコルチェック(Protocol Check) プロトコルの適時かつ適切な使用を偏見なく申し出て,受け入れるものです。

10. 私はこれらのコミットメントに対する何人の忠誠心が傷つけることも,また傷つけられることも許容しません。

11. 私は故意に,愚かな行為を取ることはありません。

これらのコミットメントは重要であり,ミーティングでその使用を同意するすべてのグループ,およびそれらグループ間においては,実質上は誓約のレベルにもなり得るものだ。ここではすべての関係者が自主的に,100% 自由意志の参加によって行う,というルールが使用される。

McCarthy 氏の著書 SOFTWARE FOR YOUR HEAD は,PDF 形式のものが GNU ライセンスの下,完全に無償でダウンロードできる。この本には [チェックイン] や [パーフェクションゲーム(Perfection Game)] など,関連するコアプロトコルすべての説明と論理的根拠が述べられている。さらに,Jim および Michele McCarty 両氏が約5年間にわたって 300 チーム以上の研究に従事した “ブートキャンプ (bootcamps)” の実施を通じて,これらのコミュニケーションプロトコルを開発するまでのストーリーが紹介されている。

400 ページを越える SOFTWARE FOR YOUR HEAD は,こちらから無償ダウンロードが可能 だ。

非暴力コミュニケーションとコアプロトコルは,スクラムの適用効果を大幅に増大する潜在能力を秘めた,社会学的ツールの実例である。これら2つの手法に関する情報は,オンラインで入手可能だ。アジャイルフレームワークの業務適用を考えているか,より効果的なアジャイル適用方法を望んでいるのであれば,Jim および Michele McCarthy 両氏の成果に遠慮なく触れてみるのがよいだろう。

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