MonoDroidはMono仮想マシンすべてをAndroidにもたらし、.NET開発者がGoogleのモバイルOS用のアプリケーションを書くことを可能にする。そしていまや開発者はiOS、Android、Windows Phone 7を対象としたアプリケーションをつくることができる。
MonoDroidはMonoTouchに似たフレームワークであり、C#言語とMono仮想マシンを使ったAndroidモバイルオペレーティングシステム用アプリケーションの開発を可能にする。MonoDroid APIは、Silverlightに含まれる主要ライブラリをUIインターフェースを除いて提供し、種々のセンサー、カメラ、Bluetoothなどのデバイス特化機能にアクセスするためのネイティブAndroid Java APIへのバインディングも提供する。
Windows上でAndoroid用の開発を行うためには、プラグイン、SDKに加えてVisual Studio Professional以上が必要である。SDKはAndroid SDKを参照しており、Android SDKはJava SDKを利用する。Mac OS X上での開発はMonoで開発されたクロスプラットフォームIDE MonoDevelopのPreview 10 からサポートされている。Linux上の開発も近々MonoDevelopでサポートされる計画となっている。
MonoDroidは.NET開発者にAndroidの世界への道を開く。 .NETと Monoを使って、Windows Phone 7、iPhone OS、Android用のアプリケーションを同時に開発することができるが、ことは開発者が好むほど簡単ではない。UI APIと特殊なデバイス機能はプラットフォームごとに異なるため、同一のコードを一度書けばどこでも動くことを期待すべきではない。コードはビジネスロジックとUIロジックを明確に分けておく必要があり、UIロジックは各モバイルOS用に書き直す必要がある。それでもなお、これは開発したアプリケーションをできる限り広く市場に届けたい.NET開発者にとっては前進である。
MonoDroidのロードマップでは、いつバージョン1.0が利用可能になるのかについて特定してはいないが、Miguel de Icaza氏は“Android用Monoを完成させるべくできうる限り早く、そして懸命に作業を行っている”と述べている。MonoDroid 1.0 はMono 2.8を利用し、C# 3.0、.NET 3.5、ガベージコレクション、マルチスレッド、そして、LINQといった他の標準的機能もサポートする予定である。OpenGLもそのオブジェクト指向ラッパであるOpenTK APIを通じてサポートされる予定だ。OpenTKはMonoTouchにも含まれており、OpenGLコードをAndroidとiOSで共有可能である。
de Icaza氏によれば、MonoDroidはクロスプラットフォームゲーム開発エンジンDeltaEngineでiPhone、Android、Windows Phone 7、XBox 360上でゲームを動かすために利用されている。CES 2011では他にもデモがあり、NVidiaはTegra 2デュアルコアチップをベースにしたAndroid携帯LG Optimus 2X上で動くゲームSoul Craftを発表した。このゲームはMonoDroid上で動いていた。
MonoDroidは商用製品となる予定であるが、その価格はまだ公表されていない。参考となるものとしては、MonoTouchの価格は最安のStudentエディションが$99、Professionalが$399、5シートエンタープライズライセンスが$3,999となっている。