ThoughtWorksは2011年1月版 (PDF)のTechnology Radarを発表した。これは現在のソフトウエア技術の動向を簡潔にまとめた文書だ。
ThoughtWorksが定期的に発表しているTechnology Radar(PDF)の今回の版では、前回のRadarで発表した技術の動向を示すのではなく、最新の技術動向に注目している。この文書は4つに分類されている。技法、ツール、プラットフォーム、言語だ。そして、それぞれに4つの区分がある。採用、トライアル、評価、保留の4つだ。この4つの区分はそれぞれの技術をどうするべきか示している。
技法
いくつかの新しい技術を試してみることを勧めている。その中にはアジャイルの実践もある。技術的負債の分類と優先順位付けは“変数に値を設定することでユーザストーリーと同じように負債回収の優先順位を付ける”ことだ。旅に対する自動テストとはユーザストーリーではなく、旅をテストすることだ。旅とは関連するユーザストーリーをまとめたものだ。データベース配置の自動化はデータベースの配置と/またはアプリケーションの変更を完全に自動化することを意図している。プログレッシブエンハンスメントは“魅力的なユーザエクスペリエンスを構築するためにウェブ技術のレイヤを利用するデザイン戦略”だ。同時並列性の抽象化とパターンは現在のコンピューティングでの同時並列性の問題に対処することだ。この文書ではClojure、Erlang、Retlang、イベントパターンなどで見つかるモデルを推奨している。また、DevOpsも挑戦するベき技法に分類されている。これは開発チームと運用チームを調和させようとする動きだ。
評価に分類されているのはスマートシステムだ。これはスマートフォンや類似のデバイスのことだ。
スクラム認定とデータベースに基づいた統合は保留に分類されている。
ツール
ツールの分野に新しく現れたのはコードとしてのインフラだ。これは“バージョン管理の制御下にあるファイルでインフラの構成を記述する手法であり、制御可能な方法でデータセンターに発行にファイルが発行されることで変更が適用される。”ふたつのオープンソーステクスチャルDSL、ChefとPuppetを使ってこの方法を採用することを勧めている。
また、Splunkが新しくトライアルに分類された。これはログファイルの分析ツールであり、システム管理を楽にしてくれる。
評価には今まで出てこなかったツールが3つある。DeltacloudはAmazon EC2、GoGrid、Rackspaceなどの複数のIaaSクラウドを管理するためのRESTベースAPIを提供する。Vagrantは分散仮想配置環境をOracleのVirtualBoxとChefまたはPuppetを使って構築するツールだ。WCF HTTPはHTTPサービスを構築するためのAPIだ。このAPIの開発プロジェクトはまだ初期の段階だが、この区分に分類されている。それは“コミュニティがこの分野で.NETプラットフォームを使って開発を進めることができる”からだ。
この分野ではESBが保留になっている。
言語
採用することが推奨されているのは2010年8月に発表された前回のRadarと同じだ。すなわち、Ruby、JRuby、C# 4.0とJavaScriptだ。
4つの言語がトライアルに分類された。HTML5、Scala、HAML、そして“SASS、SCSS、LESS”だ。最初のふたつは一般的だが、最後のふたつがトライアルに分類されているのは驚きだろう。HAMLは“インデントを使ってHTMLの構造を記述する言語”であり、タグの階層を構築するときに便利だ。SASS、SCSS、LESSはCSSの拡張でウェブページのスタイリングが素早くできる。
プラットフォーム
プラットフォームの分野には新しい技術が多く加えられた。仮想化技術であるKVM、配信プロトコルであるAtomは採用することを勧めいている。“美しくシンプル”なPaaSであるHeroku、iPadやその他のタブレット、モバイルウェブは試してみるよう勧めている。GPGPUすなわちGPUによる汎目的計算、イベント駆動IOフレームワークであるNode.js、VMwareのPasSであるvFabric、クラウド用オープンソースOSのOpenStackは評価に分類されている。
WS-*、GWT、RIAは保留だ。