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Kanbanの神話

原文(投稿日:2011/01/24)へのリンク

Alan Shalloway氏は、Kanbanに関する「共通の神話」と自身が呼んでいるもののリストを作成した。このリストには、次の項目が含まれている。

  • リーン開発は、社会システムで働く上での規範的なアプローチである
  • Kanbanでは、直線的な仕事が示唆され、あまりに多くの受け渡しが必要となる
  • 明示されている方針は固定的で、変化するのが難しく、柔軟性がない
  • Kanbanは成功していたのは、初期採用者によって実施されていたからだ
  • まずはScrumから始めて、それからKanbanを始める方がよい
  • Kanbanは、他のアジャイル手法ほどには人に敬意を表さない
  • Kanbanは、十分に人に気を配らない
  • 大きな変化をもたらすためには、革命的(revolutionary)でなければならないが、Kanbanは進化的(evolutionary)である
[...]
  • Kanbanは、イテレーションをしないScrumである
  • Kanbanは、補助的な位置に置くのがおおむねよい
  • Kanbanによって生み出されるのは、変化しないチームだ
  • 方針が明示されているとアジャイルの世界で意味をなさないので、Kanbanはうまくいかない

Shalloway氏は、「Kanbanの神話」ページ上で、これらの神話の一部を払拭するために最善を尽くしている。

Alan Dayley氏は、対応力に関する神話を引用している。

私が最もよく耳にした神話は、WIPリミット(仕掛り制限)に関するものです。

「限界が近づいていると、Kanbanによって、顧客にすばやく対応する能力が減少します。」

Adam Sroka氏は、タイムボックスに関する神話をこのリストに加えている。

Kanbanはタイムボックスではない、という考えによく出会います。

人によっては、これを望ましいと考えます(これは通常、2週間はあまりに短いと考えていることが原因です)。しかし一方では、規律が失われてしまうことを意味すると考える人もいます。

しかし、どちらの考え方も間違っています。たしかに我々のリズムは、2週間ではないかもしれれません。それでも、リズムを持ちたいとは考えていますし、リズムがどのようなものであるかも知っているのです。我々は人為的にタイムボックスを課したりはしません。しかし、物事を行うのにどのくらい時間がかかるかを測り、平均値を最小化しようとするのです。

Matthias Bohlen氏は、Ken Schwaber氏の次の言葉を引いて、これをKanbanについての神話であると見なしている。「なんということでしょう。ウォーターフォールの中であれば、一服する方法が見つかっていました。これは休憩するためにも、創造的であるためにも、必要なことです。それなのにリーンとKanbanを用いると、そうした隠れ家が取り去られてしまいます。我々はもはや、立ち止まることなくデスマーチを進んでいかなければなりません」。 これに対して、Bohlen氏は次のように答えている

「立ち止まることなく進んでいくデスマーチ」などというものはありません。必要なときはいつでも、ひと休みしてコーヒーを飲んでよいのです。人は、休むと決めたら休むものです。他のどの手法と比べても、Kanbanの方が人間を搾取しているということはありません。Kanbanは手法ではないからです。Kanbanでは、チームがすでに手にしている既存の手法を利用して仕事が行われます。Kanbanによって仕事はより透過的になりますが、Kanban自体は手法ではありません。お望みなら、non-methodと言ってもよいでしょう(少なくとも、私はそう考えています)。

Kanbanは、「立ち止まることなく進んでいくデスマーチ」とは正反対なのです。受入テストを行うチームを想像してください。このチームの義務は、プロダクトオーナを助け、バックログの項目が正しく実装されたとわかるようにすることです。ここで、テストチームの全員がインフルエンザにかかってしまったら、どうなるでしょう?開発チームにはWIPリミットがあり、それがここで限界に達します。テスタが病気になって、すでに開発されたものを開発から受入テストへとプルすることができないからです。そうなると、これらの項目は「開発中」のままとなります。

次に何が起こるでしょう?開発者は自分自身のWIPリミットに敬意を表し、開発をやめます。そして、休みをとるのです!開発者は本を読み、トレーニングに出かけて、彼らのソフトウェアをリファクタリングし、自分たちがいつも学びたいと思っていた、なにか新しいものを学ぶといったことをするのです…。テスターがインフルエンザから回復して仕事に戻っても、休んでいる間に、開発者によって大量の仕事が追加で作られてはいません!もはや「デスマーチ」はありません。テスタは単純に自分たちの仕事を再開して、項目を開発者からプルします。そして、開発者は自分たちの仕事を再開し、ラインは再び流れ始めるのです。

Kanbanについてのこれらの「神話」は、本当に神話だろうか?読者は、Kanbanについてどのような神話を聞いたことがあるだろうか?

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