IBMは最近、IBM Cloud Computing Reference Architecture 2.0 (CC RA) (.doc) を Open Group の Cloud Architecture Projectに 提出した。このドキュメントは、「IBM中の多くのクラウド実装からの実世界の入力」を基にしたもので、クラウド環境を構築するためのガイドラインを提供するのが目的である。アップデート:CCRAの著者の一人である Heather Kreger氏にインタビューした。
CCRAは、クラウドコンピューティングとSOAの相乗効果を強調して、次のように言っている。
クラウドコンピューティングの本質的な特色は、オンデマンドなセルフサービス、広範囲のネットワークアクセス、リソース プーリング、素早い回復力、測定されているサービスにある。これらの特色は、今日の様々な組織における要求とSOAソリューションに見ることができる。これらの特色は、SOAにはオプションで、クラウドには必須であるが。
CCRAは、クラウド コンピューティングに使うべく提案している、4つの構造的レイヤを概略している。
- オペレーション層が基本的なクラウド コンピューティング インフラを持っている
- サービス層 がクラウド サービスを提供する。IaaSがインフラを提供するサービス、PaaSがミドルを提供し、SaaSがアプリケーションを提供すると考えられている
- ビジネスプロセス層。IBMは、BPaaSと呼ばれる新しいタイプのサービスを導入し、SOAが提供しているものと似たようなサービスとして、ビジネスプロセスを提供する。
- コンシューマ層。 これは、上記の層によって生成されたすべてのサービスを消費する層である。
CCRAによれば、クラウド環境の高レベルな見え方は以下のようである。
CCRAは更に、最も多くのコンポーネントを持っているCommon Cloud Management Platform (CCMP)を含んだ各セクションの図を詳説している。
CCRAは、ELEG ( 効率、軽量、規模による経済性, 汎用性)原則の上に作られている。
- クラウド規模の効率性を目指した設計: クラウドの特徴である回復性、セルフサービス アクセス、柔軟な調達を認識すると、クラウド設計は厳格に、クラウド規模の大きさによる効率性と短い配信時間/変更時間を目指すようになる。(「効率性の原則」)
- 無駄のないサービス管理をサポート: CCMPは、無駄のない、軽量なサービス管理ポリシー、プロセス、技術を発展させる(「軽量の原則」)
- 共通性の認識と活用:クラウドサービス設計におけるあらゆる共通性を識別し、活用する(「 規模による経済性の原則」)
- 汎用的にクラウドサービスのライフサイクルを定義し、管理する: I/P/S/BPaaSを通して汎用的であり、「利用」の仕組みを提供して、共有された、共通の管理プラットフォームを使って様々なクラウドサービスをサポートする(「汎用性の原則」)
アップデート。以下は、CCRAの著者の一人である Heather Kreger氏との短いインタビューである。
InfoQ:なぜこのリファレンス アーキテクチャを公開したのですか? 何を達成したいのですか? なぜ Open Groupなのですか?
HK:クラウド ソリューションの設計と配置でIBMが経験してきたことをベースに、我々は、蓄積してきた実りのあるアーキテクチャのベストプラクティスをOpen Groupへの参照アーキテクチャという形で提供したいと考えていたわけです。 これは、Cloud Architectureワーキンググループで進んでいる標準化プロセスへのインプットになると思っています。Open Groupを選んだわけは、我々は本当にOpen Groupをアーキテクチャ標準への求心力を持っていると考えているからです。彼には、TOGAFがあり、これは、成功していますし、標準化作業のために、たくさんの有能なアーキテクトを集めています。そこで開発されている他のクラウド関係の標準と合わせて、Open Groupには、CCRAのような参照アーキテクチャを開発、保守、発展させるのに最適な人々、勢い、専門性があります。
InfoQ: IBMは、 OpenCloud Manifestoを支持しています。OpenStackに関して、IBMの立場はどうですか?彼らは、クラウドコンピューティングのリファレンス実装をつくろうとしていますが。
HK: 彼らが実装を作成しようとしていますが、既存の標準化作業に結びついていないことを知っています。我々は、彼らが Open Group Cloud Architectureの開発に参加することを望んでいます。
InfoQ: IBM内部では、リファレンス アーキテクチャを使っているのですか?
HK: はい、IBM内ではCCRAが複数の目的で使われています。一つ目が我々のフィールド実務者が顧客のために、構造化、設計、実装するクラウド実装の青写真として使っており、業界におけるSOAとクラウド実装での広範囲な経験を基にアップデートしてきました。
二つ目に、IBMがホストしているクラウドでそれを使っています。これらのクラウドには、内部使用のものと外部顧客に提供しているものとがあります。我々は多くのことを学びました。そしてOpen Groupと一緒に経験を積んでいきます。進化の急速なクラウドの世界を考えると、この「閉ループ」は非常に重要だ、と考えています。
InfoQ: クラウドのインフラを作るのにあなたがたのリファレンス アーキテクチャを使っている会社はありますか?
HK: はい、我々とサービス契約している会社、そしてIBMがホストしているクラウド サービスを使っている会社ですね。
InfoQ: リファレンス アーキテクチャを使って、IBMのクラウドコンピューティング環境において、サービスを提供、消費している会社はありますか?
HK: 我々は様々な業界の多くの顧客と仕事をしていますが、すでにCCRAは、実際に妥当で価値があることが証明されています。ええ、我々のホストしているクラウドは、CCRAをベースにしてますし、CCRAは、そのようなクラウドを利用しよう考えている人達の役にたつのです。