Googleのエンジニアリング部門のVPでありAndroidグループの長であるAndy Rubin氏は同社のオープンネスに対する献身とAndroidのポリシーについてメディアに最新のコメントを寄せた。モバイルOSの分野でもGoogleはオープンネスと健全なエコシステムの両方を追求している、とコメントしている。
BusinessWeekは先月、別途発表があるまでGoogleが最新のAndroidのバージョンであるHoneycombのソースコードを公開せずに保持したままにすることに決めた、と報じた。この決定に対して、今までGoogleやAndroidを特徴づけてきたオープンソースの精神から離れていくのではないかという指摘があった。この決定はAndroidデバイスの主要な製造業者には影響はない。“HTC、Samsung、 Electronics、Motorola Mobility Holdingsやその他の大きな製造業者はすでにHoneycombにアクセスできている”からだ。しかし、“このOSを数ヶ月も待たなければならない多くの小さなハードウエア作者とソフトウエア開発者”には影響がある。Androidのコードが本当のオープンネスの精神の下にいつでも利用できるべきだと考えるオープンソース支持者はこの決定に困惑した。
BusinessWeekは一週間後、GoogleがAndroidの方針を厳しくしたという続報で注目を集めた。“Androidの被許諾者に対して"非断片化条項"に従うことを要求する。これはGoogleがAndroidのコードをどのように変更するかについてGoogleが最終決定権を持つということだ。これは新しいインターフェイスを実装し、サービスを追加するためだ。また、パートナーの中には”、としてFacebookとVerizonの事例が紹介されている。
例えば、Facebookはスマートフォン向けにAndroidの独自のバージョンを作っていた。同社の幹部はこの実装に対してGoogleのレビューを受けることなるので憂鬱になっている、と匿名希望でふたりの関係者が明かした。また、この事情に詳しいふたりによれば、GoogleはVerizon(VZ)のAndroidデバイスのリリースを止めようとしている。このデバイスはライバルのMicrosoft(MSFT)のBing検索エンジンを搭載する。
BusinessWeekはNokiaのCEOであるStephen Elop氏のコメントを紹介している。氏は“真のオープンソースプラットフォームがAndroidが始まった地点のはずですが、そこが目指す地点ではありません。”Googleの直接のライバルからのこの強い言葉は割り引いて聞く必要があるだろう。BusinessWeekは“結論 : 不満はあるものの、GoogleのAndroidモバイルOSはまだオープンであり続けている。ポリシーが厳しくなっただけだ。”と結論づけている。
Googleのエンジニアリング部門のVPでありAndroidグループの長であるAndy Rubin氏は最新“透明性の精神を持って誤解をただすため”この問題を明確にしようとした。というのは、“エコシステムにおけるAndroidとGoogleの役割についての報道には間違った情報がたくさんあったから”だ。
氏が最初に述べたのは、“品質と一貫性”が依然として“最優先事項”だということだ。これは次の事実のヒントになるだろう。すなわち、市場に出ているAndroidデバイスの中にはAppleのデバイスと比べて低く評価されているものもあり、また、あまりよくないデバイスだというレポートが原因でGoogleのモバイルデバイスに対する顧客の評判を落ちる可能性もある、ということだ。
氏はAndroidはメーカーが好きなように変更してよいが、“Android互換”の製品や“Googleのアプリケーションを含む”製品を市場に提供したいのなら、“基本的な互換性の仕様を満たさなければならない”というGoogleの立場を繰り返した。氏が強調するのは、Androidの互換性の仕様は始めから存在していて、これはプラットフォームの断片化を防ぐのが目的で、“Open Handset Allianceの設立メンバは全員、設立当初の2007年からAndroidが断片化してしまうを容認していませんでした”。氏はデバイスメーカーと開発者にあたらめて下記を保証しようとしている。
私たちのアプローチは変わっていません。UIをカスタマイズすることについては何の制約も禁止事項もありません。ひとつのシップセットアーキテクチャに合わせてプラットフォームを標準化しようとはしていません。今後もすることはありません。
以前に、BusinessWeekはHoneycombのソースコードのリリースの遅れについての氏の発言を引用した。
タブレットの発表スケジュールを作成するため、デザインのトレードオフをしました。携帯で同じソフトウエアを動作させるのに必要なことについて考えたくなかったのです。このことを考えていたら、さらに追加のリソースがたくさん必要でスケジュールも当初妥当だと考えていた以上に延びてしまったでしょう。私たちはショートカットしたのです。
氏はスマートフォン向けの開発が終了すれば、GoogleはHoneycombのコードを利用できるようにすると繰り返した。
私たちはオープンソースプラットフォームを維持し続けますし、準備ができたらソースコードも公開します。私がこれを書いている今でも、AndroidチームはHoneycombの新しい特徴を携帯電話にもたらそうと奮闘しています。この作業が終わったらすぐにコードを公開するつもりです。一時的に遅れたのは戦略を変えたからではありません。多くのデバイスに対してAndroidをオープンソースプラットフォームとして提供するという方針は変わりません。
Googleの問題は健康的でオープンなエコシステムを維持するための苦闘を表している。Androidがオープンな形で始まった一方で、その後の開発でAndroidの断片化した実装とさまざまな受け入れ方を生み出した。これはAndoridの将来にとっては良くない。望ましい健康的なエコシステムを作成ためにGoogleは互換性のルールを厳しくして、初期のソースコードは主要なデバイス製造業者だけが利用できるようにするようだ。小さなメーカーや一般が利用できるのは数ヶ月後になる。これは純粋なオープンソース主義者を困惑するだろうが、Androidデバイスをより高品質で一貫性のあるものにするだろう。