GPU.NET 2.0 に Mono のサポートが追加された。すでにサポートされている Windows に加えて,Linux や Mac OS X でも,計算集約型アプリケーションの構築や配布が可能になる。
GPU.NET は,GPU 上で動作する計算集約型の .NET アプリケーションを開発するためのマネージド・ソリューションである。独自のコンパイラとランタイムを備え,速度低下の原因となる中間ライブラリを使用せずに,複数のシステムで動作可能なクロスプラットフォームバイナリを生成する。現在サポートされているのは C# と F# のみだが,VB.NET のサポートも追加される予定だ。GPU.NET は CUDA 4.0 NVIDIA グラフィックカードで動作し,AMD デバイスのサポートが現在開発中である。また GPU.NET は,Visual Studio 2010 に統合されている。GPU.NET で GPU が使える (Targeting the GPU with GPU.NET) という記事には,GPU.NET の動作方法やプラグイン・アーキテクチャについての詳しい情報がある。
バージョン 2.0 の主な追加項目は Mono のサポートだ。これによって GPU アプリケーションが Linux および Mac OS X で利用可能になる。それ以外の拡張としては,オンデバイスの乱数発生や倍精度のサポートなどがある。
GPU.NET を開発する TidePowered では,CUBLAS (PDF) と CUFFT (PDF) という2つの NVIDIA 数学ライブラリの追加を予定している。CUBLAS は基本線形代数サブプログラム (Basic Linear Algebra Subprograms / BLAS) を,CUFFT は高速フーリエ変換 (Fast Fourier Transform / FFT) をCUDA 上に実装したものだ。
同じような傾向のソリューションとしては,オープンソースの WebCL がある。これは並列計算ハードウェアリソースを要するような計算集約型の Web アプリケーションを,JavaScript を使って開発可能にするバインディングだ。