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アジャイルはハードウエア開発でも有効か

原文(投稿日:2011/10/21)へのリンク

近頃、多くの論者がハードウエア開発でのアジャイルの実践について論じている。
Neil Johnson氏はEETimesでアジャイルハードウエア開発はナンセンスか必要かと題した記事を執筆している。

氏は下記のように疑問を投げかけている。

ハードウエア開発にアジャイルを適用するのは、よく考えてからのほうがいいのでしょうか。ソフトウエア開発チームを導いてくれる価値や原則は、同じようにSoC [System on Chip]チームも導いてくれるでしょうか。それともソフトウエア開発とハードウエア開発の原則は大きく異なっているのでしょうか。

この記事の中で氏はアジャイルマニュフェスト(www.agilemanifesto.org)について論じ、このマニュフェストがどのようにしてアジャイル開発の基礎をなしているのかを説明する。そして、これがハードウエア開発についても上手くいくのかと問う。

ハードウエア開発を創造的なプロセスだと考えている人は誰でも、マニュフェストの価値を直接当てはめられることを否定するのは難しいでしょう。しかし、この価値をそのまま適用するだけでは明らかに不十分です。抽象的な価値を実践の場に転換しなければなりません。幸運にもソフトウエア開発チームはアジャイルの価値を具現化する多くの実践方法を作ってきました。これらの方法の多くはそのままハードウエア開発にも移植できます。

氏はソフトウエア開発とハードウエア開発との違いを認め、その上でハードウエアの領域に適用できるアジャイルの実践を導入するよう勧めている。

例として、氏が挙げたのはアジャイルソフトウエア開発の継続的デリバリだ。

特に注目すべきは、顧客への早期かつ継続的開発の実践です。多くのアジャイルソフトウエアチームにとって、継続的開発は開発を成功させるためのとても重要な要素です。残念ながら、ハードウエア開発にこの継続的開発を適用するのは–あるいは適用できないのは–アジャイル全体の評判を落としてきました。特にASICの開発では、継続的開発は明らかに現実的ではありません。しかし、ある実践が現実的でないからといってアジャイルのすべての実践を放棄するべきではありません。アジャイル開発のすべての特徴を備えたチームはソフトウエア開発にもいません。同じようにハードウエア開発チームもすべてのアジャイルの特徴を備える必要はありません。

氏はハードウエア開発を行う企業に変革を求めて記事を締めくくっている。

ハードウエア開発にも変化が起きています。仕様の変更、従業員の離職、チームの変化や新しい技術など、どのような原因で変化が起きようと回避することはできません。より良く働くために“不要な仕事と不可解な方針というディルバート的兆候”を排除したチームは再び焦点を合わせて、アジャイルマニュフェストが提案より人間的なハードウエア開発を実践すれば変化を長所にできます。そうでないチームはプロセスを現在のハードウエア開発に当てはめようとする不毛な実践をし続けることになります。

Larry Maccherone氏も同じようにハードウエア開発でアジャイルを実践するときの10の質問を書いている。

氏は質問と回答を一覧し、ハードウエア開発にアジャイルを適用するときの意思決定を支援しようとしている。

  1. アジャイルの実践とプロセスは非ソフトウエアプロジェクト(ファームウエア、電子機器、機械など)でも有効ですか。
  2. このようなプロジェクトへのスクラムの導入を成功させるにはどのような調整が必要ですか。
  3. 顧客にとっての価値のある最小の機能や創発的設計などへの期待値にはどのような調整が必要ですか。
  4. ユーザストーリーに対する期待値にはどのような調整が必要ですか。
  5. エンドユーザへの価値に基づいて厳密にユーザストーリーの優先順位を決めることについてはどうですか。
  6. 要求を管理する道具はユーザーストーリーだけにするべきでしょうか。
  7. しかし、スクラムではユーザーストーリーは必須ではありません。なぜ従来の要求管理方法を使い続けるべきでないのでしょうか。
  8. ある基板(あるいはプロトタイプの一部)を製造過程に送らなければならないが、その製造がひとつのイテレーション内で終わらなそうな場合はどうすればいいですか。
  9. 依存関係とクリティカルパス分析はどうなりますか。
  10. 継続的にクリティカルパス分析を行う必要はないかもしれませんが、チームに常に必要というわけではない専門家がいます。どのように扱ったらいいでしょうか。

各質問に対して、氏は短い回答とアジャイルとハードウエア開発の潜在的なミスマッチとその対処の実践的な方法の説明を提供している。


アジャイルはハードウエア開発でも有効だろうか。成功させるにはどうような変更が必要だろうか。

Shane Hastie氏 アジャイルコーチ、トレーナー、コンサルタント。オーストラリアとニュージーランドにあるSoftware Education社所属

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